「日本語ラップ」という言葉が世に生れ落ちてから、気付けば随分と時間が経った。ある時には時代に愛され、ある時には嫌悪されてきた「日本語ラップ」。その歴史をここで語るには少々文字数が足りないが、そんな「日本語ラップ」の今を象徴するかのようなアルバムが昨年末、DJ SOULJAHによってドロップされた。
『Be My Guest』と題された本作には、KOHH、MARIA(SIMI LAB)、ERA、鎮座DOPENESS、環ROY、AKLO、ILMARI(RIP SLYME)といった錚々たるMC達がタイトル通り、"ゲスト"として参加。本場NYからの逆輸入とも言えるDJが放つファースト・ソロ・アルバムとしては、あまりにもDOPEな1枚だ。
そして今回、ファッションと「日本語ラップ」を愛する我々、EYESCREAM.JPは本作のリリース及び、2月15日に渋谷 VISIONで行われる本作のリリースパーティーの開催を記念し、エクスクルーシヴな対談企画を敢行。『Be My Guest』にも参加を果たし、DJ SOULJAHとはManhattan RecordsでおなじみのLEXINGTON Co.,Ltd.繋がりということで縁の深いNITRO MICROPHONE UNDERGROUNDのS-WORDと、次世代の日本語ラップシーンの核とも言えるSALUを招集し、ヒップホップ、そして「日本語ラップ」の未来について、大いに語り合ってもらった。
Photo:Takuya Murata、Text&Edit:Keita Miki
「ここしか録れない」って思うと、言いたい事は全部伝えちゃうクセがついてるんでしょうね、多分。(DJ SOULJAH)
— まずは先日リリースされたアルバム『Be My Guest』の話から伺っていきたいと思います。アルバムの制作はいつ頃からスタートしたのでしょうか?
DJ SOULJAH:2014年のアタマの方。大体2月くらいからですね。
— そこから収録曲が全て出揃うまでにどのくらいの時間が掛かったんですか?
DJ SOULJAH:全部揃ったのは、ほんとに発売の2週間ぐらい前(笑)。リリース前に発売日を決めて、そこから逆算して動いてはいたんですが、結果的にかなりギリギリになってしまいました………。
— では、まずシングルを切って、その後にアルバムを出すってことは制作をスタートさせる時点である程度決まっていたんですね。
DJ SOULJAH:そうですね、ちょっと今までに自分がしていないような出し方でやりたいなと。それで今回はアルバムが出るという告知よりも先に、どんどん曲を出していくっていうスタイルを取りました。
— すると感覚としてはアルバムを作るというよりも、目の前の楽曲をとにかく作っていくっていう感じになるのでしょうか?
DJ SOULJAH:いや、見え方としては当然そうなっていたと思うんですが、アルバムを作るって前提は最初からあったので。参加してもらうメンバーに関しても二転三転というよりは、ある程度最初に「この人とやりたい」って考えがあって、スケジュールの問題等で実現出来なかった方々もいましたが、ほぼ実現出来たかなと思います。
— 今日は折角S-WORDさんとSALUさんがいるので、皆さんに伺いたいんですが、DJがアルバムを作る時と、ラッパーがアルバムを作る時ではどんな違いがありますか?
DJ SOULJAH:DJ側としては、アルバムってやっぱり人選ありきなんですよね。「この人に合うトラックはこれ」って考え方で曲を作っていくから、人選を決めて、トラックを作るってことがどうしても優先されるんです。
S-WORD:たしかにそうだよね。感覚としてはMIXに近いもんね。
DJ SOULJAH:そうそう。でもラッパーの場合はまずトピックというか、歌詞のテーマが先にあるでしょ? そう考えると作り方は真逆なんだよね。
SALU:そうですね、僕もまず自分のやりたいことがあってって感じです。
S-WORD:俺の場合はもう分かんないな(笑)。逆の時もあるし、逆じゃない時もある。客演とかは自分で考えて呼んでるの?
SALU:はい。自分がやりたい人を中心に。
S-WORD:客演を考える時はDJと感覚が近いよね。この曲だからこの人数で、この人とマイクリレーがしたいとか、そういうことを考えるもん。ソロの時はあくまでも自分の世界観ありきだから。少し話は変わるけどさ、「このリリックに合うトラックを作ってくれ」って依頼したことある?
SALU:はい、10回ぐらい………(笑)。
S-WORD:あるんだ! いや全然良いと思うんだけど、それってデモトラックを乗せたあとじゃなくて、文字から発注をかけるの?
SALU:文字からトラックを作ってくれる人が1人だけいるんです。「こういうトラックが欲しい」って僕の想いを文字から汲み取ってくれる人が。
S-WORD:すげぇ~、そんなこと出来る人いるんだね。字からでしょ? マジでよろしく言っといて(笑)!
SALU:僕もそういう人には初めて会いました。口で説明して、リリックを読んでもらって、こういう音が欲しいって言うと、イメージにバッチリのものが来るんですよ。
DJ SOULJAH:それ、すごいね。その人はラッパーでは無いの?
SALU:昔はラップもしてたみたいですけどね。基本的にはトラックメーカーです。
S-WORD:じゃなきゃそんな事出来ないよね。海外のトラックメーカーでも、元ラッパーで今はトラックを作ってますって人の方がしっくり来たりする時あるもん。
— 『Be My Guest』がリリースされた後、こうして3人でアルバムのことを話すのは初めてですか?
DJ SOULJAH:そうですね、終わってみて思う事っていうのもあるし。作ってる最中はとにかく無我夢中で、全然分かってなかったんじゃないですかね。
S-WORD:でも他の媒体でのインタビューとか見てて思ったんだけどさ、やっぱりプレゼン能力とか、日本人離れしてる部分は多々あるよね。ラッパーのディレクションって難しいと思うんだけど、ちゃんとコントロールしてたもん。
DJ SOULJAH:その辺に関しては、向こうにいる時、レゲエで言うところの「ダブとり」みたいなことをずっとやっていたので、その延長線上で(笑)。
S-WORD:なるほどね。だから、スタジオの独特の空気の中でも「こうして欲しい」みたいなことがパッと言える訳だ。
DJ SOULJAH:そうですね、ダブとりだと、その場で全部答えをもらっておかないといけなくて、後で来てくれって言っても実現はしないので、「ここしか録れない」って思うと、言いたい事は全部伝えちゃうクセがついてるんでしょうね、多分。
SALU:なんて言うかこう、鉄を叩くのが早かったですもんね。「熱いから、今叩け!」みたいな。
— SOULJAHさんがDJとして活動し始めたのはいつ頃からなんですか?
DJ SOULJAH:初めて人前でDJをやったのは、14歳とか15歳。僕、高校出てないので。
S-WORD:そうなんだ、超楽しいね、その10代。
DJ SOULJAH:途中までは高校通ってたんですよ。でも辞めて、その後すぐにレコ屋で働きだして、クラブに通うようになって。平日は地元のレコード屋で働いて、夜はクラブに行く、みたいな生活でしたね。
— その後、NYに行くことになる訳ですね。
DJ SOULJAH:当時NYに行った人がみんな「面白かった」って話してたから、NYに行きたいって気持ちはずっと自分の中にあったんですけど、直接のきっかけになったのは、18歳の時に渋谷のHARLEMで見たKid Capri。それでNYに行こうって決意したんですけど、
「お話し中すみません! JTよりキャメルの新製品のご案内をさせて頂いてもよろしいですか!」
一同笑
S-WORD:お姉さん、すごいタイミングで入って来るね! いや、ほんとすごい人だと思う! 分かった俺、説明聞くよ!! なに!? キャメルがどうしたの!?
たばこのサンプリングのお姉さん:ありがとうございます!(中略)という訳で今、新製品のサンプルをお渡ししているんです!
S-WORD:オッケー(笑)! じゃあ俺、折角だからキャメル吸うよ! 現在進行形でこの会話もガンガン録音されてるけど、俺、キャメル吸うよ!!
たばこのサンプリングのお姉さん:ありがとうございます! それでは新製品のサンプルをお渡しさせて頂きたいんですが、その前にお兄さんたちに質問です。お兄さんたちにとって「ナチュラル」ってなんですか?
S-WORD:うーん、なんだろうな………。寝起きかな。寝起きの俺、すごいナチュラル!
一同笑
たばこのサンプリングのお姉さん:なるほど! それではキャメルの考えるナチュラルをご説明させて頂きます!(中略)ということで、こちらをオススメさせて頂いているので、お兄さん達もぜひ試してみてください!
S-WORD:ありがとう! 試してみるよ! ところでお姉さん、お名前は?
たばこのサンプリングのお姉さん:あ、ミナミです。
S-WORD:オッケー! ここ、ミナミの発言ってことでインタビューに入るんで。お姉さんはヒップホップとか聴く? クラブとか行ったりする?
ミナミ:いや、あまり詳しくないんですよね………。クラブはお仕事で行ったりはしますよ。
S-WORD:あー、一緒一緒! 俺もクラブには仕事で行くもん! 最近どこのクラブ行ったの?
ミナミ:渋谷だとHARLEMとか行きましたよ!
S-WORD:あー、一緒一緒!!
一同笑
S-WORD:いや~、お仕事中ごめんね! お姉さんは、ほんとどこ行ってもやっていけると思うよ! 全く動じないもん。これからも頑張って!
ミナミ:はい! 貴重なお時間頂きありがとうございました。これからもJT商品をよろしくお願い致します。
DJ SOULJAH:………で、何の話でしたっけ?
一同笑