— 今回のアルバムには「MOUSE-COLORED CAT」というサブタイトルがアルバムに付いていますが、これはどういう意味なのでしょうか?
DJ EMMA:いや、全然大した話じゃないんですけど、何かサブタイトルを付けようって話になって、僕の好きな言葉とか熟語とか、色々考えたんですよ。例えば「reflection」とか考えたんですけど、マネージャーから「『EMMA HOUSE XIX reflection』は重い」とか散々言われて(笑)。それで代案として「catとか入れてみたら?」と言われまして、「なるほど!」と………(笑)。
HUE:たしかに「cat」って言葉を入れると、ぐっとくだけますね(笑)。
— そういう話を聴くとすごく親近感が沸きますよね。
DJ EMMA:もうこの話をすると興醒めなんですけど、うちで飼っている猫、どんどん大きくなっていくに連れてネズミ色になっていくので「チュー太」って名前なんですよ。だから、そこから取って「MOUSE-COLORED CAT」。
一同笑
DJ EMMA:でも、今親近感が沸くって話が出ましたけど、DJ=スターみたいな扱いってみんな勝手にそう思ってしまっているだけですからね。僕も神輿の上に乗せられていただけであって、GOLDなんて特にそうですよ。あれは僕の力では無いですから。色々な人の協力があったからこそ、ああいうみんなの記憶に残るものが出来た訳で、そこだけは勘違いしないようにしようと今でも思っています。最近のDJ=スターみたいな扱いにはすごく違和感を感じるんですよね。僕が好きだったDJ達は、どこまでいっても音楽係なんですよ。だから格好良かったし、どんなジャンルにも詳しかった。本来DJはミュージシャンとは別の枠のものであるし………って、こういう話は以前のインタビューでもしましたよね(笑)。
— HUEさんから見て、EMMAさんってどんな人なんですかね?
HUE:物事を色々知っているけど、すごく柔軟性がある人。本当に真面目で誠実な人ですよね。今話していたようなクラブやDJのあり方とか、音楽性の話とか、そういう部分に対する考え方はすごく勉強になります。あとは見た目も中身も、とにかく若いです。
DJ EMMA:若作りしてるからね(笑)。
— EMMAさんは来年でDJ活動30周年を迎えるという話でしたが、一方[DELUXE]は昨年10周年を迎えたばかりです。HUEさんにとってのこの10年はどんな時間でしたか?
HUE:僕の場合はやっとスタートラインに立てたのかなって感じですね。自分がブランドを始めた時、他の10周年を迎えたブランドを見て「10年か。すごいな、頑張ろう」って思っていたけれど、試行錯誤を重ねているうちに気付いたら目標であったはずの10年が経っていて。「あれ?もう10年?」っていうぐらいの感覚。10年かけてやっと基礎が出来てきたのかなって思うので、これからはその上に積み重ねていく作業になります。
DJ EMMA:あっという間でもあるけどさ、やっぱり10年間何かを続けるのって大変だよね。
HUE:そこに関しては本当に皆さんのお陰だと思っています。大事にしていきたいですね。歳のせいもあるのかもしれないけれど、やっていく内に良い意味で丸くなるというか、柔軟性が出てきたので、もう少し時間が経てばEMMA君ぐらいの柔軟性が出るのかなって。いつかEMMA君に追いつけるように頑張りたいですね。
— 音楽もそうですが、ファッションを取り巻く状況はこの10年で大きく変わりましたよね。
HUE:ファストファッションと、あとはEMMA君が話していたことと重複しますが、震災の影響っていうのはすごく大きいですよね。ああいう状況において、衣食住の中で洋服の優先度が最も低いことは明らかですが、それを言葉にしてしまうと自己否定にも繋がる訳で。けど、ファッションで人の心って動かせると思います。音楽もそうだけど、自分たちのやっていることは人の心を動かせるって自負を持ちながら、色々な事を伝えていければなと思います。