完全に「対自然」
— サーフィン以外に別の事をして遊んだり、っというのは?
荒木:たまに飲みに行ったりはしますけど、深酒とかしちゃうと次の日の午前中がまるまるつぶれちゃったりするじゃないですか? だったら飲みに行かないで、次の日の朝からサーフィン行きたい。
— もうホントどっぷりな感じですね。なんとなくは理解できるんですが、何がそこまで楽しいんですか?
荒木:調子がいいときは、ボチボチ乗れるんですよ。
そういう時は波が良かったりだとか、人が少なかったりだとか、プラスの要因が多い場合で。でも、次に行くと全然うまくいかないことが多い。同じことがまったく出来なくなってたり。
その差が激しいことがくやしくて、それがハマっちゃう理由かな。
それと一番面白いのは、他人からはそんなに変わってないと思われてるんだろうけど、自分の中の感覚が変わる瞬間があって。イメージ通りに出来たときや、イメージを超えたことが出来ちゃったときの、あの感じがたまらないです。
— そういう瞬間っていうのは、まだまだありそうですか?
荒木:ありすぎます。全っ然。まだまだ全然これからです。
— スケボーやスノボはやらないんですか?
荒木:昔やってましたね。実家から海よりもスキー場が近かったんで、スノボは高校生の頃やってたんですけど、東京に出てきてからは全然行かなくなっちゃって。なんか寒いのがイヤなんですよ。
— あぁ。あとスノボはウェアや道具を揃えて、滑るまでにもいろいろと必要ですが、サーフィンは板一枚あれば、とりあえずは楽しめますもんね。
荒木:サーフィンって自分の力で波に追いついて、そこではじめて乗る事ができるでしょ。
ものすごい水の力とか、風の力、自然の影響を受けますし。
マニアックな話になるんですけど、満月の日は大潮になって満ち引きだけで波が立ったりとか、風の吹き方で一気にコンディションが変わったりとか。
— そういった事はどうやって調べてるんですか?
荒木:波情報のサイトがあって。それを暇さえあれば見てる(笑)
でも、波情報じゃなくて、天気図を直接見てそれがわかるようになりたい。
— ちなみに海で怖い思いをした事はないんですか?
荒木:ありますよ。『死ぬ…』みたいな。あと、友達が溺れかけて、それを助けるのがすごく大変だったり。先日もアタマを6針縫うケガをしましたね。ちょっと油断しちゃって(笑)
—笑えないですが…(笑) 冬でも行ったりします?
荒木:全然行きますね。
— その寒さっていうは、スノボの寒さとは違うんですかね?(笑)
荒木:違いますね(笑)それよく言われるんだけど(笑)
とにかくリフトに座ってジーっと待ってるのがイヤで…。
— 波待ちだって一緒じゃないですか(笑)
荒木:ははは(笑)
— まぁ、楽しいかどうかってことなんでしょうね。
荒木:スノボは昔やってたからちょっとは滑れるけど、サーフィンはスゴく頑張んないとちょっとも乗れなくて。それがかなり燃える。
— あぁ、なるほど。宇佐美氏(編集部注:スタイリストの宇佐見陽平氏)も言ってたんですよ。「今までどんなスポーツをやってもある程度出来たのに、サーフィンだけはなかなか出来ない」って。
荒木:ホントに出来ないんです。野球やってもサッカーやってもバスケやっても、それなりに形にはなるんですよ。でも、サーフィンはホントに出来なくて。そんななかで、一応出来ないなりにもちょっとずつは出来るようになってきて。
じゃあ、それがまた出来るかって言ったら、全然次は出来ないんですよ。
『あっ、この技出来そうだな』って思った瞬間から、実際に出来るようになるまで2年くらいかかる(笑)
この前、千葉公平さんたちとバリに行ったときに『こういうのが出来るようになるまで、あとどれくらいかかりますかねぇ』って聞いてみたんですよ。自分の中では『あと2〜3年くらいで出来るようになるんじゃない?』なんて答えを期待してたんだけど、サラっと『10年くらいちゃう?』って(笑)『マジっすか…』みたいな。
— そんな中、同じくらいのタイミングで始めた人の中で「この人うまいなぁ」とか「上達早いなぁ」っていう人はいます?
荒木:上達っぷりで言ったら熊谷さんと宮島さん、あとJFKKさん。みんなどんどんうまくなってますね。
— うまくなるセンスとかってあるんですかね?
荒木:センスはあると思うんですけど、行かないと絶対にうまくならないから。
行ける環境がつくれる人ですかね。長い時間入ってる人はうまくなる。あとは思い切りのある人かなぁ。
— ちなみに1回行くとどれくらい乗ってるんですか?
荒木:3時間くらいは入ってますね。
— 仕事のスタート時間が遅めだった場合は、仕事前にも行っちゃう感じですか?
荒木:全然行っちゃいますね。馴れちゃえば辛くはないです。
— 最近のサーフィンブームについては、どう思います?
荒木:あんまり気にならないですね。ただ、あんまりサーフィン人口が増えすぎると海が混み混みになっちゃうんで…。自分の周りには増えて欲しいんですけど(笑)
— サーフィンに行ったら必ず寄るご飯屋さんみたいのってありますか?
荒木:あぁ、あります、よ…。
— あぁ、教えたくないんですね(笑)失礼しました。他に何か海に行くプロセスの楽しみ的な事はありますか?
荒木:行きとか帰りの道のクルマの中が好きなんですよ。
一人で乗ってるときは、頭の中でいろんな事を整理できるし。往復で大体3時間ぐらいかかるんですけど、一日でそんなにゆっくりと考えられる時間ってなかなかないじゃないですか?
あと宮島さんとか中根さんと一緒なら、仕事の相談とかもできますし。
— 茨城ばかりで湘南方面などは行かないんですか?
荒木:行きますよ。でも、神奈川は低気圧とか台風がないとなかなか波が上がらなくて。
千葉とか茨城は、わりとコンスタントにいい波があるから。とりあえずは波のサイズとか混み具合とか、自分のレベルとかその時々で一番楽しめそうなポイントをチョイスします。
— 割合的にはやっぱり千葉・茨城方面が多いって感じなんですね。
荒木:これから台風シーズンになってくると湘南の方もすごく良くなってくるんですよ。台風とか低気圧とかが通るとすごく良い環境になるんで。
次のページは『自身のスタイリングにおけるサーフィンの影響』です。