奈良:そうですね、なかったといえば嘘になるかな。けど高校になったらもう“何かできる”んですよ。中学校の時は生徒手帳の校則がチラついてできなかったなあ。
宮藤:校則に書いてありましたか?
奈良:“不純異性交遊はやめましょう”って書いてあった。だからそこだけ赤い線を引いてね、「俺が気を付けなきゃいけないのはここだな」と。
―宮藤監督はそうした経験は?
宮藤:僕はないですね。中学の時なんて一回もないですね。女の子と横になったことも縦になったこともないですよ。
客席:(笑)
宮藤:すごいですよねえ、奈良さん。なんか中学生円山じゃないかもしれないなあ。どっちかっていうとモテモテの方だったんじゃないんですか?
奈良:そんなことないですよ。中学生のときは全然モテなかった。
客席:中学のとき「は」?
奈良:高校のときは結構モテたんですよ!
客席:(笑)
奈良:いや本当に。もっとかっこよかったし。
宮藤:高校のときがピークだったんですか?
奈良:ピークでしたね。いろいろ悪いこともやり尽くした感じでした。
―宮藤さんのピークはちなみにいつですか?
宮藤:僕はもう、今ですよ。…今でしょ!(林修の言い方で)
客席:(笑)
宮藤:「今でしょ!」なんて、僕、今初めて言いました。言ってみると気持ちいいもんですね(笑)。
それではもう一つ伺います。「一番好きなシーンは何でしたか?」という質問です。
奈良:そうですね、やっぱり一緒に横になるところかな…。
宮藤:またですか!(笑)
奈良:映像が美しいとか、ストーリー展開上「おおっ!」とかいうのとは少し違って、自分の思い入れになっちゃうんですけど、やっぱり横になるシーンですね。
宮藤:僕あのシーンで印象的なのは、隣でお母さんが韓国語の練習をしてるじゃないですか。「ファンです」っていうたった一つの文章しか覚えられないんですけど。お母さんが隣の部屋にいるのに、横になって、隣に気になる女の子がいて、自分がいてっていう。そのシチュエーションにちょっと興奮するんですよ。
奈良:わかります。
宮藤:もっと言うと、途中で気が付いたんですけど、そのとき時計が示してる時間が4時の…
奈良:32分!
宮藤:そう! 32、3分なんですよ! もう、そのことに興奮するんですよ。「まだ4時半だぜ!?」って思って。
客席:(笑)
奈良:多分ね、同じものを見てる。っていうか作った人だから当たり前だけど。
宮藤:いやいや、僕もね、最近気が付いたんですよ。「助監督エライな!!」と思って。
奈良:(客席に向かって)4時32分、覚えてた人いる?
宮藤:おお、結構いますね! 何時なの?って気になりますよね、あんなことになったらねえ。お母さんは隣の部屋で韓国語の練習をしている。同じ団地に憧れの女の子がいて、横になって、そのときそばにある時計の時間。「彼にはあと何分あるの?」という。6時になったらお父さんが帰ってきちゃうから、90分くらいしかないんですよ。面白いですよねえ、映画って。…まあ助監督さんのこだわりなんですけど。僕は全然指定してないんですけどね(笑)。
奈良:アハハ(笑)。
宮藤:それでは次の質問を。「中学時代は柔道部員で」…あら、そうだったんですか?「柔軟が得意だったという奈良さん。“届いた”ことはありますか」?
奈良:柔軟じゃなくて寝技が得意だった。そして残念ながら、ないですね。でもやろうと思ったことは幾度となく、やっぱりそういうのが話題にのぼる時期だったから。まあ“届かなかった”けど、そういう努力する快感を覚えたね。
宮藤:届くかもしれない、という?
奈良:うん。「かもしれない!!」、「届いたらどうしよう?」みたいなところで、夢をみることを覚えたかな。
宮藤:“届くかどうか”でですか!?
客席:(笑)
奈良:そう。実現できなかったとしても、努力することがいかに大切かっていう。