5月18日(土)の封切り以来、大好評上映中の宮藤官九郎監督・脚本最新作映画『中学生円山』。その公開とヒットを祝し、第1夜には主演・平岡拓真ほか、第2夜には草彅剛、第3夜にはヤン・イクチュンをゲストに開催されてきたトークイベント、『中学生円山はお前だ!聞き手・宮藤官九郎』。去る6月12日(水)の第4夜には世界的美術家の奈良美智を迎え、大いに盛り上がりを見せた。“東北出身”、“ロック好き”、そして“妄想”に溢れた思春期時代を過ごすなど、数々の共通項で結ばれた宮藤監督と奈良氏のトークの模様を、今回は全文掲載でお届けする。
―宮藤官九郎監督、そして夜な夜な“妄想”していらっしゃる画家の奈良美智さんです。どうぞ。
宮藤官九郎(以下、宮藤):おはようございます。宮藤と申します。よろしくお願い致します。
奈良美智(以下、奈良):どうも。今日のことも昨日、“妄想”してきました。
―それでは予習はバッチリなんですね(笑)。楽しみにしております。本日は豪華なツーショットで、今日限りの…
宮藤:そんなことないですよ、別に。「今日限り」なんて言ったら金輪際みたいな。
客席:(笑)
―すみません(笑)。今日が初対面でいらっしゃると伺ったので。それでは始めましょう。本日は『中学生円山はお前だ!聞き手・宮藤官九郎』というイベントなので、宮藤監督から奈良さんに質問を投げて頂ければと思います。
宮藤:こういうトークイベントで、司会の人から質問を受けて「ああ、それはですね…」とか言うの嘘臭いじゃないですか?だから俺が質問しようかなと思って。
奈良:ああ、それでいいんじゃないですか(笑)。
宮藤:という訳で、ちょっとやってみます。よろしくお願い致します。え~(と質問表を見ながら)…診察みたいになってますけども。
客席:(笑)
宮藤:え~…「今回のトークイベントを引き受けてくださった理由は何ですか」?
奈良:そもそもね、なんでコメントの依頼が来たんだろうと思って。しかもパンフレットに載せる文章も書いてほしいと言われて。俺ってそういう風に見られてるんだなあ、そう思われてるんだなあ、と…。
宮藤:“そう思われてる”って、どう思われてると(笑)?
奈良:「こういう中学時代を送ってきたんだろうな、この人は」と。
宮藤:ああー、なるほど。「この映画は貴方にピッタリです!」と診断されたような(笑)。
奈良:そうそう。あとこの間『東北六魂祭』というのがあって、“TOHOKU ROCK’N BAND”として参加することになって、その時のギターやってくれてたある人が、宮藤さんのバンドでもギターをやっているある人で。(※富澤タク氏のこと)
宮藤:(客席の最前列を見遣り)はい、今日もそこで白い帽子を被っている。なんで白い帽子なのか…
客席:(笑)
奈良:だからここで断ったらバンドもうまくいかないだろうなと思って。
宮藤:それは大丈夫です!
奈良:あ、そうなの(笑)。
宮藤:と、いうわけで、“グループ魂”の遅刻さんがここにいらっしゃいます(笑)。よろしくお願いします。
遅刻:(手を上げて挨拶)
客席:(拍手)
宮藤:でもそうなんですよ。なんでコメント頼んだかっていうと、気に入ってくれそうな感じがしたんですよね。
奈良:いやぁ、気に入った以上です。
宮藤:ありがとうございます(笑)。それでは伺います、「“円山のモデルがご自分であるというのが嘘とは思えないほど共感する物語である”とコメントして頂きましたが、一番共感したのはどんなところですか」?
奈良: 僕が共感したのは、女の子と二人、一瞬横になるけど何もできないっていう。
宮藤:ええっ、あそこですか!ほほーう(笑)。
客席:(笑)
宮藤:何もできないものですよね。
奈良:何もできないものですよねえ。
―そんなご経験を中学時代にもうされていたんですか?