古き良きものは新しい。
大人の遊び心をくすぐる『ALEC』
どうしても海の話題が多くなる三人も、このガレージに来れば“男子モード”にスイッチが入る。
かといって女性の好奇心も放っておかないのが名車『ミニ』の魅力。熟練エンジニアの手で丁寧に整備され息を吹き返したクラシックミニには、見事なカラーリングがほどこされ、その風貌は「美しい」の一言。
すべてがまっさらな新品の感じとは違い、いい具合に歳を重ねた余裕に上乗せされた“遊び心”を醸している。
「めちゃくちゃ触りたいけど、触っちゃいけないも風格があるよね」と言って、男たちはギリギリまで顔を近づけてフォルムに見入っている。
ガレージ『ALEC』を取り仕切るのは、エンジニア人生ミニ道一筋の西尾忠幸氏。
「最初は佐助っていう鎌倉駅の向こう側にある町で10年やって、こっちに移ってきたのが1993年だからもうかれこれ34年くらいかな」
1階はガレージ、2階は千差万別のパーツがところ狭しと並んでいる。ステアリングやメーター類、工具などの隙間に西尾氏お気に入りのものと思われる古い地球儀やビンテージグッズなどが置かれている。一見無秩序に見えるが、男の子の脳内を具現化したような店内は、心踊らされると同時にどこか落ち着くから不思議。カウンターの中には大量の“カルテ”が見える。
「(お客の)なかには30年来の人もいるから。お客さんだけどもう仲間だよね。今は長生きの時代だからさ、みんな車より元気なんだよ(笑)」
若い人たちも来るか聞いてみると、「今は免許も取らない人が多いからね」と首を傾げたが、「どういうものを見てきたかっていう世代の流れにもよるよね。親や近い人に好きな人がいたら若くても来るし、逆に好きだったんだけど手が出せなくて、成長して少しゆとりがでてきた人が人生の愉しみとして買いに来るというのもあるよ」
「人生の愉しみ」。たしかに、『ダブルドアーズ』に差す光を堪能している人たちも、サーフィンライフを満喫する人たちも、愛するクラシックミニを乗り続ける人たちも、このエリアには、「人生を愉しむ」という時間があちこちに転がっているようなところがある。そういった空気を求めてはるばる“南下”する人たちが多いのも頷ける。
三人は、再び車に乗り込んで彼らのホームとも言える七里ヶ浜へ。広い駐車場からはビーチへと降りる階段がある。
晴天の日の黄昏時、その場に居合わせた人たちだけの特権的な時間が訪れる。
柔らかい残照に包まれながら、ケータイを手にする者もなく、静かに海を眺める。三人が愛する鎌倉の地でもっともその恩恵を受ける瞬間。海がある街の。
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