Clusterでは、ブランドのデビューから一貫してオススメしているニューヨーク発のブランド『バークマン ブラザーズ(Burkman Brothers)』。「旅」からインスピレーションを得て作成されるアイテムの数々は、アメカジ愛好家のみならず、幅広い層を魅了しています。
そして今回、デザイナーであるカナダ人兄弟、ベン・バークマン(Ben Burkman)とダグ・バークマン(Doug Burkman)の来日に合わせ、インタビューを敢行。2011年春夏コレクションについて、話を伺ってきました。
スリランカのリゾート地をイメージソースに、例年以上にオリエンタルな雰囲気のアイテムがラインナップされる今シーズン。そのクリエイションの秘密に迫ります。
旅は常にわれわれのインスピレーションの源でしたから、旅に焦点をあててコレクションを製作するというのはとても自然な流れでした。(Doug Burkman)
— まず、今シーズンのコレクションテーマ「East Meets West」について教えてください。
Ben:シーズンごとに新しい国へ旅行に行くんですが、今回はスリランカに行きました。"East"はそこから来ています。対して"West"は、アメリカの美学、審美眼というか…。East Meets Westは、つまりEastの素材がWestのスタイリングに出会う、といったような意味ですね。
— 毎シーズン旅先のなかでコレクションのアイデアを見つけるということですが、その旅行先はどのように決めているのでしょうか?
Ben:これといって方法はないんですよね。そのときどきの気分や思いつきで決めてしまいます。"降りてくる"という感じですかね。例えば去年は釣りをテーマにしようと考えていましたので、「じゃあアジアの中で面白い釣りの文化があるのはどこだろう?」と調べて、スリランカに行くことを決めました。ルックブックでも使っている写真の彼らのように、竹の柱に座って釣りをする日もあれば、漁師たちと一緒に舟に乗って釣りをした日もあったり。それで釣った魚をホテルで調理してもらったり、素敵な日々を過ごすことができました。
— 『バークマン ブラザーズ』を始める前から、旅はお二人にとってのライフワークだったのでしょうか?
Doug:そうですね。旅は常にわれわれのインスピレーションの源でしたから、旅に焦点をあててコレクションを製作するというのはとても自然な流れでした。
— それはやはりバカンスも兼ねているのでしょうか?
Ben:ええ(笑)。もちろん仕事、新しいコレクションの製作が最優先ですが、居心地のいいホテルに泊まってリラックスしたり、ホテルで映画を観たりもしています。スリランカのゴール(Galle)にアマンガルというリゾート施設があるんですが、そこは歴史的な建造物をそのまま利用してるんですね。4〜500年前のものだと思うんですけれども、オランダの統治時代にオランダ人が建てた城塞があって、その内側にホテルがあるんです。昔のヨーロッパの街並みたいで、すごくいいところでした。他にはビーチにある別の建物にも泊まりましたね。
— 今回のスリランカへの旅で、とくに印象に残っていることはありますか?
Doug:島の自然の美しさですね。熱帯雨林があって、海もすごくきれいなんです。あとサファリもよかったですね。車に乗って野生のゾウ、ヒョウ、ワニ、サルなんかをたくさん見ました。
— 旅行好きのお二人にとっての必需品とはどんなものでしょうか?
Ben:カメラ、それにiPhoneですね(笑)。
— デザインの方に話を戻します。お二人のあいだでデザインにおける役割の違いはあるのでしょうか?
Doug:デザインは共同でやっています。二人とも似たようなアイディアを持っていることもあれば、まったく違ったアイディアが出てくることもあるので、それぞれをまとめて形にしている感じですね。
— 最近『H&M』をはじめとしてさまざまなコラボレーションが盛んですが、お二人はそれについてどう思われますか?
Ben:私たちもコラボレーションはいくつか進行しています。『ミアンサイ(MIANSAI)』というアクセサリーブランドとはベルトを一緒に作りました。これはオンライン限定で(burkmanbros.com)販売する予定です。
他には『グキ』とコラボしたサンダルもあります。これもオンライン限定です。それと、アメリカ(メルローズ)と日本のロンハーマンでしか販売しないショーツも作りました。10着ずつ、合計20着のみです。素材もパターンも特別仕様になっています。
Doug:いま市場にはたくさんのコラボレーションがありますよね。飽和していると言ってもいいと思いますが、その中で意表をつくブランドの組み合わせで新しいものが生まれるのはいいことだと思います。少なくとも私たちは、コラボレーションに関してオープンマインドでやっていきたいと思っています。
— もし、ユニクロやH&Mからカプセルコレクションのオファーがあったら、受けたいと思いますか?
Ben:もちろん前向きに考えます。
— 洋服以外の、例えば靴やアクセサリーといったものをデザインすることにも興味はありますか?
Ben:将来的には。いま取り組んでいるコラボは、そのためのプラットフォームになるものですね。
— ランウェイショーでのコレクション発表については?
Doug:そうですね、それもいつかは。いまは展示会にモデルを入れて、コレクションを見せるという形でやっています。キャットウォークはなしで。アメリカだとだいたい20人のモデルを使ってやりますね。ブランドが大きくなればランウェイショーも考えますが、いまのわれわれぐらいの規模だとこのやり方が一般的でしょう。
— バークマン ブラザーズというと、ファーストシーズンからシャツが非常に印象的なのですが、特別なこだわりがあったりするのでしょうか?
Ben:われわれは元々、二人ともシャツのデザインをしていました。他にも手掛けるものはありましたが、シャツをデザインするのはすごく好きでしたね。長年携わっていますから、ひとつの専門と言ってもいいかもしれません。バイヤーのみなさんはわれわれのシャツを気に入ってくれてますし、ビジネス的にもうまくいっています。ですから今度の春・夏コレクションでは、ショーツやニットの方に力を入れました。ドーバー・ストリート・マーケットのバイヤーさんは、ショーツがとても素晴らしいと言ってくれて、ショーツだけ購入されたんですよ。
— 今季コレクションのなかでも、とくに気に入っているおすすめのアイテムを教えてください。
Doug:バイヤーさんに人気が高かったのは、シャンブレーのシャツですね。それからカメラショーツも人気でした。それと、ニットのような肌触りになっているジャージも人気です。素材を絞ってあるんですけどね。いま手元にないんですがイカットショーツもいいですよ。
— 適度にリラックス感のある素材使いはバークマン ブラザーズの特徴のひとつだと思いますが、どのように選んでいるのでしょうか?
Ben:スリランカやインドのローカルなマーケットに足を運んで、直接生地を買い付けてます。生地を買って、それを現地の職人に織ってもらうこともあります。われわれのベンダーはインドにいるので、スリランカで買った生地もインドの工場で織ってるんですけどね。
— ご自分達以外で好きなデザイナーはいますか?
Ben:ラルフ・ローレンをとても尊敬しています。ネクタイの行商からビジネスを始めて、あそこまで大きなブランドにした人ですからね。ジュンヤ・ワタナベも好きです。自分で着ることはないんですけど、彼の持っている視点はいいですね。
— ちなみに、来日は何度目ですか?
Doug:僕は5回ぐらいかな。
Ben:僕は12、3回は来てると思う。
— 日本はどうですか?
Ben:大好きです。アジアで一番好きな国ですね。いまのところ東京にしか来たことがないんですが、食べ物はおいしいし、住んでいる人の人柄も良くて。清潔でいろんなものが規則正しく機能しているところもいいですよね。アメリカよりも物事がスムーズに運びます。もちろんファッションに関しても面白いですよ。じつは明日京都に行く予定だったんですが、台風のおかげで行けなくなってしまいました。
— 好きな日本のショップはありますか?
Ben:ジャーナル・スタンダード・ホームステッドが好きですね。それからザ・ノースフェイスのパープルレーベル、ビームス プラスとか。
— 日本で買い物はしましたか?
Doug:僕はビームス プラスでパンツを買いました。
Ben:僕もビームス プラスでジャケットと財布、あとインセンスを買いました。今日はこれから代官山に行きます。
— 最後に、日本のBBファンにひと言お願いします。
Ben:日本で良い反応をいただけていることがすごく嬉しいです。日本人男性のファッションスタイルは素晴らしいと思います。そこで受け入れてもらっているというのは、とても喜ばしいですね。
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