対談:Budamunk × jjj

by Mastered編集部

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90年代のいい部分を吸収して、今の時代に合ったことをやりたいと思って作っているつもりなので、昔と同じことをやってると思われるのはイヤですね。

— それから、エヴィデンスもそうですけど、いま若い世代の間では90年代のヒップホップがリヴァイヴァルしてますよね。

Budamunk:俺が90年代に70年代の音楽が新鮮に感じたように、今の若い子たちにとって、90年代のヒップホップは新しく聞こえると思うんですよ。

jjj:自分の好きなアーティストの作品を掘り下げて、90年代の作品を聴いてみると、当時と今とではラップのノリも変わっているから、スタイルの進化の過程が分かって面白いですよね

Budamunk:それこそ、2000年代に活躍しているプロデューサーも90年代はアンダーグラウンドで活動してたり。

jjj:声質も昔は張ってたのに……。

Budamunk:歳取って、落ち着いた声になったり(笑)。エヴィデンスなんかはその進化が分かりやすいですよね。声だけじゃなく、ビートも昔はすごいシンプルだったのに、今はもっと複雑だったりするし。アルケミストなんかも昔とかなり違うよね。

jjj:そう。あと、モブ・ディープのプロディジーとか。

Budamunk:歴史が浅かったこともあって、90年代にはスタイルの変遷を追うような聴き方はしてなかったけど、ヒップホップの進化はものすごいものがあるから、今はそういう聴き方も面白いと思うし、例えば、そうやって、90年代のヒップホップの影響を受けたプロエラ周辺の音を聴いても、自分にとっては新しく聞こえるんですよね。彼らがどういうつもりでやっているのか。仮に90年代の音を真似してやろうとしても、彼らは違う時代に育っているわけだから、全然違うものが自然に生まれるんだろうな、と。

jjj:みんな、プロエラを聴いて、「90年代のヒップホップが戻ってきた」みたいなことを言ったり、それこそ、Fla$hBackSのアルバムを出した時も同じように言われたんですけど、昔のことを知らない自分にとってはいまいちピンと来ないというか、むしろ、新鮮なものとして聴いているし、やっているんですけどね(笑)。

Budamunk:昔と今とでは使っている機材も、音の鳴りも全然違いますからね。自分の作品に関しても、90年代のいい部分を吸収して、今の時代に合ったことをやりたいと思って作っているつもりなので、昔と同じことをやってると思われるのはイヤですね。

— Budaくんの場合、家でヴォーカルが録れる制作環境のもと、これまでの作品制作は自宅作業で完結していましたが、今回のアルバムでは外部のスタジオも使ってますもんね。

Budamunk:そうですね。今回はもっとプロフェッショナルなやり方で前に出たいと思ったので、初めての試みとして、外部のスタジオを使ったんです。もちろん、家で録る荒い音も好きなんですけど、今までとは違うやり方で作ったらどうなるのかなということにも興味があったし、実際、その違いが音に表れているんじゃないかな、と。

jjj:ヴォーカルの出方がこれまでの作品と全然違いますよね。

Budamunk:トラックも家で録ったものを外のスタジオでミックスしているので、細かい部分は変わってないかもしれないけど、聴く人が聴けば、クリアになっていることが分かってもらえると思います。まぁ、ずっと同じことをやってても、自分のなかで飽きちゃいますからね。

jjj(Native Instrumentsの最新ビート・プロダクション・ツール)MASCHINEも使っているんですよね?

Budamunk:そうそう。インタールードのビート、それからSick Teamとmabanuaをフィーチャーした「Keep It Movin’」って曲は、今年入ってから使うようになったMASCHINEで作ったし、編集ソフトも今まではずっとGarageBandを使っていたんだけど、今回はLogicを使ってるんだけど、それによって、また出音が変わりましたね。

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