『対談:Bill Wall Leather×BEAMS』 – シルバーアクセサリー業界に“大政奉還”を起こすべく立ち上がった両雄に、その真意を問う!

by Mastered編集部

1985年、ウィリアム・クレイグ・ウォール(William Craig Wall)がカリフォルニア州マリブにてスタートさせたシルバーアクセサリーブランド『ビルウォールレザー(Bill Wall Leather)』。アクセル・ローズ、エリック・クラプトン、エリザベス・テーラーといったロックスターをはじめ、世界中に多くのファンを持つこの老舗ブランドが、本年、創立25周年を記念し、ビームスとスペシャルなコラボレーションアイテムをリリースしていたことを皆様はご存知でしたでしょうか?数あるビームスのラインナップの中でも一際異彩を放つこのコラボレーションの秘密を探るべく、今回、当サイトではその仕掛け人とも言える、ビルウォールジャパンの田中裕喜也氏とビームスの鷲尾龍志氏による特別対談を実施。これまで、Clusterではあまり触れてこなかった“シルバーアクセサリー”というジャンルの今と、その行く先を垣間見ることが出来る貴重なインタビューとなりました。それでは、シルバーアクセサリー業界に“大政奉還”を起こすべく立ち上がった、両雄のお話をたっぷりと伺って参りましょう!

写真:MINORU SAWABE

そういう背景をクリアにするというか、例えるなら大政奉還して、あるべきところに戻す。そのスタンスがビルウォールジャパンとビームスに共通しているものなんです。

— まずは今回のビームスとビルウォールレザーによるコラボレーションの経緯について、お話を伺えますでしょうか?

ディズニー ミーツ ビル ウォール レザーの
リング
102,900円
(インターナショナルギャラリー
ビームス)

鷲尾:今回の“OWL Collection”がリリースされる前、2009年のクリスマスシーズンに、前段階としてディズニーとのコラボレーションがあったんです。その時は、そろそろ既存のモノばかりを展開するのではなく、ビームスでしかやれないことがないかなという本当に単純な発想だったんですよね。

はじめは、ビル(ビルウォールレザーのデザイナーであるウィリアム・クレイグ・ウォールの愛称)にお願いして別注のアイテムか何かを作ってもらおうかな、というくらいのつもりでスタートしたことだったんですが、改めて考えてみると、店頭に来てくださる顧客の方はそれぞれ皆さまがカスタムアイテムをお持ちになっている。なので、その中で別注アイテムをリリースしてもそんなに新鮮味がないのかなというのがありましたし、他の販売店さんでも別注はすでにやられているので、ただの別注ではあまり差別化にもならないのかなと。
そこで何かもっと面白いことを、と考えたときに思いついたのが、ディズニーとのコラボレーション。当時、弊社がディズニーと色々仕事をしていたというのもあったのですが、全く相反する両社を繋げてみたら面白いんじゃないか、という発想から生まれた企画ですね。ただ、内輪で盛り上がっていたところで、作り手さんそれぞれの意見というものもありますから。でも、本当になんとなくなんですが、いける気はしたんですよね(笑)。

— 長年ビルウォールレザーに携わっている、鷲尾さんならではの勘と言うわけですね。

ディズニー ミーツ ビル ウォール レザーの
リング
50,400円
(インターナショナルギャラリー
ビームス)

鷲尾:それで、まずはビルに話を投げて、ミーティングをしたんです。もちろん、僕らの中では怒られることを前提にしてたんですが、意外にもビルは、にやっと笑って「面白いね、ぜひやりたい。」と言ってくれて。ただ、それにあたって、「自分がやるのであれば、当たり前の造型にはならないよ。」ということも同時に言われました。ディズニーには、例えばミッキーマウスにこういうことをさせてはいけない、とかそういった世界レベルの基準があるんですよね。ですので、皆さんの思い描くミッキーマウスのイメージにまとまらない造形で、なおかつ、ディズニーの基準にも沿っているもの。つまりは、ビルウォールレザーのファンの方にも、ディズニー側にも納得していただける線引きをまず探さなければならなかったんです。

とにかく、そこをどうクリアしていくかというのが一番大変だったんですが、ディズニー側から1つヒントを頂まして。フランスのディズニーの企画で「Runaway Brain」という作品があって、その物語の中ではミッキーマウスが普通のルックスではなく、マッドサイエンティストの実験によって怪物と脳を入れ替えられてしまうんです。ファンタジーの象徴ともいえるあのミッキーマウスの表情が、少し変わったニュアンスで表現されている異色の作品なんですが、そこに基づいてコレクションを展開させるのであれば、了承をいただけるというお話でした。なので、これはもうやるしかないと。

— デザイン面ではいかがでしょうか? 苦労したポイントというのは何かありますか?

鷲尾:全部をデザインしてしまうのはすごく簡単なんですよね。「今回、デザイナーが考えたのはこのデザインです」といって出せば良いだけなので。ただ、今回僕らが重要視したのはこれまでのブランドのファンの方も納得する仕上がりで、且つ、これまでビルウォールレザーに興味を持たなかったお客様も取り入れられるデザインにするという点。いわゆる、オールドファンの人たちを納得させるための“ビルウォールレザーらしさ”を残しつつ、ちゃんとアップデートした部分も見せる、という部分は重きを置いたところですね。

— 実際の反響はいかがでしたか?

鷲尾:このコラボレーションは反響も頂けましたし、リリースから2年ほど経過した現在でも、未だにお問い合わせを頂いたりもします。実はなんとなく前半の売れ行きを見ていて、ある程度反応があるのは分かっていたんですが、だからといって商業的な動きをするのもどうかと思ったので、あまり数は作らなかったんです。当初の話だと第2弾、第3弾というのも可能性はあったのですが、あえて1回で終了しました。その時に、今後も、合間合間でこういった企画をはさむことでビルウォールレザーの新しい一面を見せられたら良いなと思ったんですよね。

— なるほど。それが今回の“OWL Collection”へと繋がっていくと。

ビルウォールレザー×ビームスのリング
77,700円
(インターナショナルギャラリー
ビームス)

鷲尾:そうですね。その名の通り、“フクロウ”をモチーフとした企画だったんですが、ディズニーとのコラボレーションを終えた後の話だったので、当初はそれ以上に話題性のあるモノを、という考えも頭の中にはありました。どうしても男性的かつハードなイメージが強いブランドなので、ライオンだとか、アメリカの象徴でもあるワシだとか、そういった誰が見ても強いアイコンをイメージしがちなんですが、男性の場合は特にアクセサリーを着用している時間が長いと思うので、“身に着ける”ということを意識した結果、出てきたのがフクロウだったんです。

フクロウという動物自体、色々な哲学的意味を持っていますし、捉え方も人それぞれというところがあったので、お客様ご自身に何かしらの意味を考えてもらえたり、自分と関連性をもたせてコーディネートに取り入れてもらえるのかなと。
そのアイデアをビルに話してみたところ、すごく意外だったのですが、フクロウは彼自身がブランド発足当時にデザインをしたいと考えていたモチーフの1つだったらしいんですよ。その時、ビルは「なんか今、自分の中でも忘れかけていたモノが急に引き出されたような変な感じだ。」って驚いていましたね。

— “OWL Collection”に関しては、実際の店頭でのお客さんの反応はいかがでしょうか?

鷲尾:実を言うと出足はすごく遅かったんですよ。でも、今回は逆にディズニーの時よりも更にブランド自体にそんなに興味が無かったりとか、今まで情報としては知っていたんだけれど、どうしてもクリエーションの部分で合わないなと思っていた方に多く支持されているように思います。価格帯もビルのほうがすごく譲歩してくれまして。普通はこういったスペシャルな企画のものだと、どうしてもコストの部分で値段が跳ね上がるというのが常識のようになっていると思うのですが、ほぼレギュラーのアイテムと変わらない価格帯で出すことが出来ました。その反面、せっかく出来たモノが安っぽく見られないように、出し方と伝え方という部分には気を配るようにしていますね。

—今まで想定していなかったユーザー層にリーチが届くというのは、ブランド側にとっても嬉しいことですよね。

ビルウォールレザー×ビームスの
キーチェーン
134,400円
(インターナショナルギャラリー
ビームス)

田中:もちろんです。ビルウォールレザーが正式にビルウォールジャパンを立ち上げたのは昨年の8月でして、25年間続いてきたブランドを過去を否定することなく、進化させていくことをコンセプトに立ち上げた会社ではあるんですが、本当に今鷲尾さんがおっしゃった通りでこういったご時勢ですから、なかなかハードなものは手に取れないというお客様が多くいらっしゃるかと思います。そういったユーザー層にリーチするためには、レディースを作ってみるだとか、サイズダウンをするというアプローチが一般的ですが、今回ビームスさんがやってくださったのはブランドのバックボーンを踏まえた上で、切り口や角度を変えるという方法論なんですよね。それによって、新規のお客様が取り込めているというのは非常にありがたいことですし、ブランドとしての嘘が無い分、すごくストレートに伝わるのではないかなとも思っています。

僕がこんなことを言うのもなんなんですが、これだけ良いものが出来ているのにディズニーとのコラボレーションにしても、“OWL Collection”にしても、ビームスさんでは明確な答えを出していないんですよね。お客様にある種、答えを問いかけているというか。それが嫌味なく出来ているのはすごくかっこいいことだと思います。

ビルウォールレザーというブランド自体は非常にハードコアなブランドであって、日本に上陸したときには、まぎれもなくファッションの最先端として上陸したんです。しかし、1990年代以降、いわゆるシルバーアクセサリーブーム、シルバーバブルというのが来て、各ブランドがファッションではなくシルバーアクセサリーというカテゴリの中だけで各々ご飯を食べられるという状況が、良くも悪くも出来上がってしまった。本来、シルバーアクセサリーはエッジーであって、身に着ける人にもそれなりの覚悟があり、身に着けることによって自分を鼓舞するような付加価値的な意味合いが強かったのですが、いつの間にかどんどん角が取れていってしまっていったんです。そういう背景をクリアにするというか、例えるなら大政奉還して、あるべきところに戻す。そのスタンスがビルウォールジャパンとビームスに共通しているものなんです。クリエイターに対しての最大限のリスペクトとそれを受け取るお客様に対しての最大限のリスペクト、この架け橋をいかにスムーズに、嘘無く進めていくかというところにスポットをあてなければならないと常日頃から思っています。

—ビームスが一番最初にビルウォールレザーを取り扱うようになったキッカケを教えて頂けますでしょうか?

鷲尾:実はその時点で既に日本には『クロムハーツ(CHROME HEATS)』が入ってきていました。うちがビルウォールレザーを取り扱う少し前に、ユナイテッドアローズさんが契約を締結されて。80年代後半から90年代にかけて大きなシルバーブームがあったので、もちろん、ビームスも「一番自分たちらしいところとやっていこう」ということで、検討は進めていたんですよね。そういった中でビルウォールレザーに白羽の矢が立つわけですが、当然、情報としてはまだ日本に入ってきていない時期ですし、ビルウォールという人間が存在することもほとんどの日本人は知らなかったと思います。ビームスは現地のアテンダントの紹介を通して知ることになるんですけれども、ビルウォールレザーというブランド独自の姿勢が担当者にとってはすごく面白く映ったんでしょうね。
怖かったと思いますよ、当時の担当者は(笑)。
今でこそちゃんと仕事の話が出来ますけど、その時はどうやってキッカケをもらったのかなというくらい、怖い雰囲気でしたからね、ビルは。

—逆にビルウォールレザー側が、ビームスをパートナーに選んだ理由というのは何かあるんでしょうか?

田中:ビームスさんとビルウォールレザーがお付き合いをはじめた時、僕はこの両社を、1ユーザーとして憧れの目で見ていた人間なのでその当時の詳細というのは分からないのですが、やはり今でもビルの工房に行くと、設楽(現(株)ビームス代表取締役、設楽洋。)社長に招待していただいて日本に来たときの写真が大事にとってあるんです。彼も口数が多い人間ではないので多くは語らないのですが、自分の重要なターニングポイントとして認識しているんだと思いますよ。
もともとビル自身は決して素行の良い青春時代は過ごしていないですから(笑)。
でも、親分肌というか、とかく面倒見が良いんです。本当に今でもそうなんですが、例えば自分のところのスタッフがギャンブルで負けて、このままだと大事なバイクを手放さなきゃいけない、とかそういう時にもポンとお金を渡すんですよね。それに対して見返りを一切、求めていないんですよ。受けた恩に関しては100%返すんですが、自分のしたことについて見返りを求めない。そういうところが信頼に繋がっているんだと思います。

—そういったビル自身の人間性も、ブランドの価値や空気感にリンクしているように思います。

田中:誤解を承知で言うならば、僕個人としては、ビルウォールレザーというブランドはアクセサリーを生業にしているとは思っていないんです。お客様も当然、銀という素材が1gあたりいくらなのかとか、そんな事は当然調べるわけで誰でも分かるんですよ。では、なぜ高いお金を払っても、お客様がビルウォールレザーのファンでいてくださるかというと、空気感であったりとか、歴史であったりとかっていうものも含めて販売していると思っているんです。僕たちビルウォールジャパンの周りに居てくださる方々ってそれ以外のカルチャーというか、アメリカの空気だったり、その時代時代のとんがったカルチャーにすごく興味を持っている人たちが多くて、それを認識しているからこそ、ビルウォールレザーのストーリーテラーたれるというか。それこそ、ビームスさんとの今に至るまでのウチの関係性というものも含めて、お客様に伝えていきたい部分だとは思っていますね。

—Clusterユーザーの中にはこの対談をきっかけにビルウォールレザーを初めて知る方もたくさんいらっしゃると思うのですが、そういったユーザーに向けて、それぞれが思うビルウォールレザーの魅力を語っていただけますか?

1979年、横浜市生まれ。
約7年間 Bill Wall Leatherのディストリビューションを手掛けた後、デザイナーBill Wallより命を受け、2010年8月 Bill Wall Japanを設立、社長に就任。現在に至る。好きなモノはChopperとMetal。

田中:決して万人受けするものではないと思っているんですよ、僕も。マスでは決して無いですし、生活に必要なものでもない。これを付けていなくても街は歩けるのですが、もし今回の“OWL Collection”やディズニーとのコラボレーション、このインタビューを通じて、ビルウォールレザーに少しでも興味を持っていただいた方がいれば、まず“お出掛け”してほしいですね。

こんな話をClusterさんでするのも失礼かとは思うんですが、僕が若い時は、1日で渋谷から代官山、原宿までを2往復ぐらいしていました。結果、手にするのは古着のTシャツ1枚だったりするんですが、それでもすごくワクワクして地元に帰っていたんですよ。情報は今の方が格段に多いですが、外に出て、現場で手に取っていただいて、身に付けていただくからこそ分かる、ビルウォールレザーが25年続いてきた理由というのも必ずあると思いますし、それこそがブランドの魅力だと思っています。

鷲尾:僕はこの手のモノが好きで、ビルウォールレザー以外のシルバーブランドも通っていますし、自分でアクセサリーを作っていたような時期もあるので、「このブランドはここが持ち味だ」というのは自分なりにですが、一応ジャッジは出来ていると思っているんです。そういった立場から魅力を語らせてもらえるとするならば、ビルウォールレザーの持ち味は、良い意味で洗練されていない部分ですね。

ビルって経歴上、宝飾デザイナーであったことは1度も無いわけで、勉強をして、専門的知識を得た訳でもないんです。言ってしまえば、ヤンチャな人が自分でバイクをいじるとか、服を改造する延長でやっていたことが、たまたまブランドになったという言い方のほうが正しいと思うんですが、そこに込められているモノってやっぱり「らしさ」なんですよ。本気でビジネスとして機軸を整えていくのであれば、専門職の人を雇えば良いわけで、彼はただのブレインであればいいわけです。でも、彼はその創作意欲とそこから出てくるものを魅力として伝えたいからこそ、現場の第一線にいるわけで。その気持ちが込められた造型というのは、やはり非常に魅力的なんですよね。
それこそデザインが良かったり、洗練されているモノって他のブランドでもたくさんありますし、下手すると更に安価なもので十分完成度が高いというモノもあると思います。でも、型抜きされたコップよりも、誰かしらが作ってくれたグラスのほうが愛着ってやっぱり沸くんですよね。当然、ここから育っていった同門の人たちからはなんとなく近いニュアンスも感じるんですが、ビル本人もいまだにアップデートしていて、魅力が一向に衰えない。それがモノ作りに生きていると思っています。

—これからの将来も含めて、具体的にそういったビルウォールレザーの魅力をビームスとしてはどう伝えていこうと考えていますか?

鷲尾 龍志/わしお りゅうじ
1999年ビームス入社。インターナショナルギャラリー ビームスにて販売を担当する傍ら、店舗イベントの企画・運営なども携わる。2005年より「BILL WALL LEATHER」の仕入れ・企画を担当。現在は同店舗内コーナー“The Viper Salon”のバイイングと販売を兼任。

鷲尾:ビームスではカスタムオーダーを承っていないんです。というのもいわゆる既製品としてデザインを組んだものが、ビル本人、もしくはビルウォールレザーという工房から出てきたモノだと僕は考えているので、いくらそこのパーツを使っていても、僕はそこにビルの魂はこもっていないと考えています。もちろん、色々なモノを手にとられている方が最終的に行き着いたのがそのスタイルというだけであり、別にその方の考えや理想を否定するつもりはありません。

ただ、ビームスでご紹介していくモノに限って言えば、あくまでもビルウォールの中から出てきたモノを伝えていきたい。それが僕はこのブランドの魅力だと思いますし、そこがズレなければどんなにブランドが新しくなって、やることが変わっても基本は同じだと思うんですよ。先ほど、田中さんもおっしゃっていましたが、当時日本に入ってきた時のビルウォールレザーのニュアンスであったり、ブランドイメージというのを僕はすごくかっこいいと思っているんです。もちろん25年もあれば、色々なことがありますが、彼自身がやってきたことを繋いでいけば、そこに絶対軸は通っているわけで、ぶれないんですよね。だから、そこにあまり他人が考えたニュアンスは入れたくないし、そうやって紹介していきたいとは未だに思っています。僕は自分たちがカッコイイと思っていたビルウォールレザーのニュアンスを大事にしていきたいんです。

—それでは最後の質問になりますが、先ほどお話していたようないわゆる“シルバーブーム”と呼ばれるものが今はある程度落ち着いている状況だと思います。お2人は今のシルバーアクセサリーの状況をどう感じていらっしゃいますか?

シルバーアクセサリーの未来を担う
若き2人。
これからの活躍にも大いに期待したい。

鷲尾:当時シルバージュエリーブームを経験して、今もその気持ちが続いていらっしゃる方というのは、既に各々お気に入りのブランドがあると思うんです。そういう方々は恐らくこの先もご贔屓のブランドを大事にされるでしょう。なので、先ほどおっしゃられていたみたいに、今までキッカケが無かった方をどう取り込むかということが、これからの大きなポイントになのかなと。
数多くあるシルバーブランドの中で、それを自分らしいと思って落ち着く方もいれば、違和感を感じて別のブランドに興味を示す方もいる。たぶんそれは車なんかと同じで、最初は人に言われたり、世の中のイメージで買ってはみたものの、自分には運転しづらいとか、自分らしくないというところから新しいものを探していくんじゃないかなと僕は思いますね。それぞれのブランドに独自の持ち味があるので、あとはそれをどうスタイルとして自分に取り込むかの勝負だと思います。

変な話、興味を持つか持たないかが大前提じゃないですか。今は男性がアクセサリーをつけるのが普通になっていて、その分シルバージュエリー以外の選択肢も色々と存在しています。なので、アクセサリーに興味をもつかもたないか、そこからシルバーにいくかいかないかってところで枝葉は分かれてしまうので。そこで、出来るだけシルバージュエリーというものに興味を持ってもらえる何かを、本来我々は発信していかなきゃいけないんじゃないかとは思っています。それはたぶんデザイナーの仕事でもないし、ブランドの仕事でもない。それをどういう風に伝えるかというのが販売店ないし、ディストリビューターの仕事であり、自分たちにとっての大きな課題でもありますね。
シルバーをつけてること自体がちょっとイケてないと言われた時期もありましたから。それでも何かしらの対応ができる準備であったり、紹介の仕方をしていかないといけないのかなとは考えています。

田中:多分、その質問に対する答えとしては「いやぁ、きついよ。」っていうメーカーさんばかりだと思うんですが、僕は全然そんなことは無いと思っています。ビルウォールレザーをはじめ、シルバーブランドというのはすごく多くのファンに囲まれていて、何かを発信をすれば、それをファンは敏感に感じ取って、マーケットが出来上がる。そんな状況に居させてもらえている以上、きついなんて言っていられないと思うんです。今のシルバーアクセサリーの状況を見て、きついといっている人たちは何か大事なものを忘れていますよ。

これから先のシルバーアクセサリーの意義について、ビルウォールジャパンとしてはコミュニティベースの発信が重要であると考えています。ビルウォールレザーを通じて、バイクで繋がるのもいいですし、ファッションで繋がるのもいいですし、音楽で繋がるのでもいい。そういった統合的なコミュニティの形成自体がいわゆるカルチャーになってくるんだと思うんですよ。どこまでいってもそのカルチャーの強みを徹底して追及して忘れないでいるということが今後、もっと大事になっていくんじゃないでしょうか。最近はアジアマーケットのことが盛んに言われていますが、恐らく今後アジアを含めた世界ののマーケットの中で、日本はプレス国になっていくと思うんです。日本で扱っている、評価されている、根付いているというのがアジアのマーケットに対して、訴求効果を持ち始める。今後、各国への更なる進出を考えていますがまずは、ここ日本からもビルウォールレザーをひとつのカルチャーとして発信していく、というのがビルウォールジャパンの掲げるビジョンの一つです。自分達のバックグラウンドを改めてもう1度見直すことが、今後のシルバーアクセサリー業界のあり方なんじゃないかなと思いますね。

International Gallery Beams

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