ベルリンに行って、クラブに行かないなんて何よりも損！と言えるほど、現地のクラブのクオリティーは相当のもの。世界最高峰と呼ばれる有名クラブから耳の肥えたローカルクラバーが集まる小箱まで多数存在する。クラブの場所を把握しているタクシーに24時間運行のトラム、人気のクラブは30分以上並ぶことも当然だが、エントランスフィーが高くても10ユーロ前後という安さに、DJは大物ばかり。1本1ユーロの瓶ビール片手に語らいながら待っていれば苦にもならない。今回短い滞在の中で実際に足を運んだクラブを現地ライター松井理恵子さんの協力のもと紹介します。

Berghain / panorama bar

えり抜きのレジデントDJ、ゲスト・アーティスト陣は勿論のこと、音響、照明、サービス、客層等、全ての要素において世界最高水準を誇る。2Fがよりハードなテクノ中心でゲイ人口率の高いベルグハイン、3Fがハウス、テクノをはじめ、よりダンサブルな音楽中心でストレート人口率の高いpanorama barとなっている。

1Fは通常エントランスとbarのみだが、ゲイのフェティッシュ・パーティ専用で一般向けには元旦のみオープンするLab.oratoryという別のクラブが存在している。ベルグハイン / panorama barの土曜のパーティーは深夜に始まって月曜早朝までエンドレスに続き、フロアは常に、ベルリンの地元っ子および世界中から集まったダンスミュージック・フリークたちで溢れ返る。エントランス・セキュリティが厳しいことでも有名で、いかにも観光客ノリの集団だったりファッションが場にそぐわなかったり、ひどく酔っ払っていたりすると、仮に1〜2時間以上並んだとしても、やけに存在感のあるドアマンら独自の審美眼により無情にも入場を断られる、という光景もまま見られる。またフロア内での写真撮影は厳禁。エントランス料金は、通常12ユーロ。

Berghain / panorama bar
Am Wriezener Bahnhof
10243 Berlin
http://www.berghain.de/

Club der Visionaere

規模こそ大きくないが、シュプレー川の河岸沿いに建ったボートハウスのような造りも風情がある人気bar/クラブ。

夏場はオープン・テラスになるので開放感に溢れてさらに気持ちが良く、平日の早い時間帯から豪華ラインナップでパーティーを繰り広げている。ゲスト陣のレベルの高さと比例しない良心的なエントランス料金も魅力。シークレット・ゲストとだけアナウンスされていて、行ってみたら超大物級DJが突然プレイしていることも。

Club der Visionaere
Am Flutgraben 1
12435 Berlin
http://clubdervisionaere.com/

Hard Wax

ベルリンミュージックを語る上で忘れてはいけないのがレコードショップ。クラブ同様にアーティストを支える重要な役割を果たしている。レコードショップと言えば、店内に大量のダンボールが積み重なり、ボロボロのボックスにレコードが並んでいる埃っぽいショップを想像しがちだがとんでもない。高級ブランドを置いても絵になるような内装に、レコードのセレクトにもこだわりを持つショップばかり。いかにも観光客な雰囲気で行くと嫌がられてしまうので、本気でレコードを探しにきたんだと分かるクールな雰囲気で行って欲しい。

Basic Channel の Mark Ernestus が経営する、言わずと知れた大御所レコード店。店内に足を踏み入れると瞬時に、その洗練された空気を感じ取ることができる。厳選された密度の濃い品揃えが魅力で、テクノ12インチ、レゲエ7インチなどのラインナップがとくに秀逸。スタッフ、客層なども含めて、硬派度はNo.1。一流アーティストを招いてのインストア・イベントを開催したりも。ベルリン・テクノ界の中心地と言える。

Hard Wax
Paul-Lincke-Ufer 44a
10999 Berlin
http://hardwax.com/

melting point

ダンスクラシックスから四つ打ちまで、クラブミュージック全ジャンルにおける中古盤の品揃えが素晴らしい、生粋の音楽マニアのオーナーが個人で営むレコード屋。

中古盤はほとんどが一枚5ユーロだが、10枚買うとなんと半額の25ユーロになるので、ヴァイナル・ジャンキーにはたまらない。店構えは決して大きくないにも関わらず、一流DJをはじめとして根強いファンも多く、ディグにハマり出すと3〜4時間は余裕で過ぎてしまう。

melting point
kastanienallee 55
10119 berlin
http://www.facebook.com/pages/Melting-Point-Record-Store/171282914938?sk=info

筆者プロフィール

宮沢香奈（みやざわ かな）
セレクトショップでのプレス経験をもとに、インディペンデントなPR事業をスタート。ファッションPRと音楽PRの二本を軸にフリーランスとして奮闘中。2012AWより国内初となるUNITED NUDEのPRに就任。その他、フリーライターとして執筆活動も行う。

http://www.houyhnhnm.jp/blog/miyazawa_kana/ 、 http://www.higher-frequency.com/blog/author/20

筆者プロフィール

松井理恵子（まつい りえこ）
ハードコア・クラバーおよびフロア・ダンサー、フリーランスライター。幼少期よりクラシックを始めとする音楽、ダンスに親しみ、当時在住していたニューヨークにてダンス・ミュージックの洗礼を受ける。アーティストPR、日本での様々なイベントや取材時の通訳等の経験を経て、2010年よりクラブ・カルチャーのメッカ、ベルリンに移住。探求を続ける日々。

http://dtmg-universal.blogspot.de/