BEAMS Tと共に探る、ロンドンストリートシーンの現在(後編)
~ スニーカー、スケート、異端の者。 ~

by Mastered編集部

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Dominic OwenとJasper Dunkという2名の若者が2014年からスタートさせた[HERESY(ヘレシー)]は、これまでのロンドンブランドとはちょっと毛色の違うクリエーションを展開する、要注目のニューカマー。

彼らが拠点とするロンドンはPeckhamの友人宅にて、DominicとJasperがゆっくりとその想いを語ってくれた。

ただ単にスローガンやアートをプリントしたTシャツを作っている訳では無く、アイテムそれぞれにストーリーがあるんです。(Jasper Dunk)

— ブランドを始めたのは何年から?

Dominic:正式にブランドとしてスタートしたのは2014年からです。

Jasper:10年ほど前から、自分たちでスクリーンプリントしたTシャツを作ったりはいていたんですけどね。

— 2人はいつからの知り合いなんですか?

Jasper:15歳から。高校、大学と一緒だったんです。

Dominic:2人とも大学ではイラストレーションを学んでいて、その頃から良く2人でコラボレーションをしていました。

— ファッションを仕事にしようと思ったのはどうして?

Jasper:単純にイラストレーターとして食べていくのが大変だと感じたからですね(笑)。違う分野で何か出来ないかと考えた時、自然とファッションに辿り着きました。でも、Dominicは周辺ではちょっと名の知れたイラストレーターとして活躍していたんですよ。

Dominic:ブランドを始める前は、お互いフリーランスとして活動していたんです。

— なるほど。少し話は変わりますが、[HERESY]というブランド名にはどんな意味が込められているんですか? 日本人にはあまり馴染みの無い単語ですが……。

Jasper:直訳すると”(宗教や教会に対する)異端者、反逆者”というような意味になりますね。僕らは宗教や魔法といった目に見えないモノは信じない主義なんです。

— “アートとファッションの融合”というテーマを掲げたブランドは[HERESY]以外にもたくさんあると思いますが、[HERESY]ならではの強みはどんな部分になるのでしょう?

Jasper:[HERESY]では毎シーズン、コレクションの根幹となる寓話にインスパイアされたイラストを描いていて、例えば今シーズンはアメリカ南部の寓話を題材にしています。ただ単にスローガンやアートをプリントしたTシャツを作っている訳では無く、アイテムそれぞれにストーリーがあるんです。そこが他のブランドとの一番大きな違いと言えるのかもしれません。

— 毎シーズン、どれくらいの型数のアイテムをリリースするんですか?

Jasper:今は全部で15型くらいですね。オンラインで購入してくれるお客さんも多いですよ。

— ブランドを始めてみて、ファッションに対する考え方に変化はありましたか?

Dominic:ロンドンは物価が高いので、色々と難しい部分もありますが、この2年でようやく自分たちの基礎が出来てきたかなと。客観的に見ても[HERESY]はこれから新しいことをするにあたって、良いポジションにいると思うんです。

— お互いアートやファッション、音楽に関して好きなモノは似ているんですか?

Dominic:そうですね、アートやイラストレーションのテイストはすごく似ていますね。音楽に関しては僕はメタルが好きで、Jasperはノーザンソウルなんかが好きなので、共通点はどちらもサイケデリックなところくらいでしょうか(笑)。

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— お2人とも拠点はずっとロンドンなんですか?

Jasper:僕もDominicも生まれはロンドンですが、実家はロンドンのはずれの方だったので、今僕たちが拠点にしているPeckham(ペッカム)というエリアに来てからは5年目になります。

— このPeckhamというエリアには若いクリエイターがたくさん住んでいるそうですね。

Dominic:本当に素晴らしい場所ですよ。常に何か新しいことが起こっているので、毎日がとてもエキサイティングです。

Jasper:ロンドンの中でも、Peckhamは1つの村のような独特の感覚を持ったエリアなんです。皆がインディペンデントに何かをしようという空気があって、非常に気に入っています。

— コレクション制作の際は、先ほど話の中に出て来た、寓話にインスパイアされたイラストから手を付けていくのでしょうか?

Dominic:そうですね、最初に寓話のリサーチから始めるんです。なので、最初のステップは、とにかくたくさんの本を読むことになりますね。

Jasper:まず、大英図書館に行くんです。興味のある本を選んで、テーマを決め、2人でテーマに合ったイラストを考える。その後、テーマに関連した音楽を聴いて、更にイメージを膨らませます。

— クリエーションに関して、2人の意見が合わないようなこともあるのでしょうか?

Dominic:幸いなことに、今のところはまだありませんね(笑)。随分と長い間一緒にいるので、感覚としては兄弟に近いのかもしれません。

— [HERESY]としての将来的な目標は?

Jasper:ブランドを必要以上に大きくする気は無いですし、常に自分たちのやりたいアートを作り続けるというのが最も重要なことだと考えています。

Dominic:そうそう。僕たちのアートを理解して、気に入って、買ってくれる人がいればそれで十分満足なんです。

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