BEAMS Tと共に探る、ロンドンストリートシーンの現在(前編)
~ 長場雄とTHE GOODHOOD STORE ~

by Mastered編集部

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— 美大では何を専攻していたんですか?

長場:立体系のデザインですね。プロダクトももちろんですし、都市計画の勉強をしたりもしました。美大では自分の守備範囲を広げた感じですね。その守備範囲が無駄にならないように、今後何とかしなきゃなとは思っています。

— 少し話は変わりますが、意外にも今回のTHE GOODHOOD STOREが長場さんにとっては初めての海外での個展だったそうですね。率直にどんな感想ですか?

長場:良かったと思いますよ。デビュー戦にしては手応えがあったかなみたいな。だけど、英語はもっと喋れた方が良いなという反省もありました。

桑原:長場さんの作品はコミュニケーションのきっかけになりやすいですからね。海外でもウケるんじゃないかと思っています。

— たしかにそこは大きな強みですよね。長場さんのことを知らなくても、ジョン・レノンを知っていれば誰でもコミュニケーションを取れる。そういう意味では新しいカタチなのかもしれないですね。

長場:そうそう、絵をあまりシリアスな方向に持って行っていないのにもそういう理由があるんですよね。ちょっと抜けてて、笑える感じにしたいというか。

桑原:男女関係無く、ファンがいますしね。あとは今回Instagramを見て来てくれたって人もすごく多かったですよね?

長場:それは嬉しかったよね~。ロンドンにいる間に600人ぐらいはフォロワーが増えたもん。海外でこういうことをするのって結構大変なんだけど、新しい広がりが出来るからその価値はあるかなって思いました。

桑原:パリでテロがあった時にピースマークを発表して日本でも有名になったJean Jullienも作品も買いに来てくれたんですよ。彼が持ってる他のアーティストの作品は長場さんと誰だけなんだっけ?

長場:僕とStefan Marxだけ(笑)。

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— 今回の個展では壁に絵を描いていましたけど、ああいう時はどういう手順で描いていくんですか?

長場:作風的にフリーハンドで描くと思われがちなんですが、自分より大きい絵の場合は全体のバランスを取るのが難しいんです。プロジェクターがあればそれで投影して、下書きしてから色を塗っていくんですけど、今回は無かったので、原寸大で出力したA3の紙を繋ぎ合わせて、カーボン用紙でそれをトレースしていきました。すごく大変でしたね。

桑原:こっちのスタッフもフリーハンドで描くと思っていたらしくて、「早く描いてよ」みたいな雰囲気があったもんね。実際やり始めたら「簡単に見えるけど、色々なプロセスを踏んでやっているんだね!」って感心されたりなんかして(笑)。

— 先ほど少し挙げていましたが、今回の個展での反省点は他に何かありましたか?

長場:次はもっと大勢の人が来られる場所でやりたいなっていうのが1つと、作品のバリエーションももっと増やさなきゃいけないかなと。まだまだやることはあって、自分が全然追いついていかないですね。あとは今回、瓶にフリーハンドで絵を描いたんですけど、そういう立体物に絵を描くっていうのは、今後もっとやっていきたいと思っています。

桑原:それこそ今後海外でビッグな買い手が現れたら、そういう機会は多くなりそうですね。

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— BEAMS Tとしてもロンドンでのイベントは初めてのことでしたが、桑原さんはいかがでしたか?

桑原:長場さんもそうですけど、BEAMS Tとして、今後色々なアーティストの方と一緒にアートショーというパッケージを実現出来そうな予感を感じましたね。ただ、先ほど長場さんが話していたように、あくまでも舞台はショップになるので、アーティストサイドとしてはどうなのかなという心配はありますけど。

長場:でも、僕はファッションからアートに入って行くのってすごく良いことだと思うんですよね。若い子も入ってきやすくなるし。

桑原:色々な国の人に長場さんを紹介していきたいですね。

— 長場さんとして最終的な目標はどこにあるんですか?

長場:言い方は悪いかもしれないですけど、作品がきちんと高値で売買されるようなアートを作っていきたいなと思いますね。聞こえは悪いですが、高値で取引されるってことは自分が世界レベルに上がってきているという証拠でもあるので。その分、プレッシャーもあるとは思いますが、楽しいうちはずっと絵を描いていくかなと。

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