—注目アイテムについて教えてください。
古内:中箸さん、eVentのジャケットってどうですか?
中箸:なかなか売れてますよ。
古内:アパレルサーフブランドとしてスポーティーなだけじゃなく、機能素材を使いながら、ファッション的な要素を加えたイチオシのアイテムなんですよ。eVentのお客さんの認知ってあるんですかね?
中箸:Gore-Texと比べると、まだまだ認知はないですが、今後発展していきそうな印象ですね。
矢野:不勉強で申し訳ないんですが、いわゆるGore-Texみたいに、湿気は逃すけど雨、水は入らないって感じですかね?
古内:そうです。ただ透湿性で言えばGore-Texの3倍くらいと言われています。なので、秋冬だけじゃなくて、雨の日の春夏なんかでも、蒸れないし汗を逃すっていう機能性はすごく高いですね。あとはGore-Texは中国の工場で作られていますが、eVentは日本でつくられた生地っていうのも、大きな違いではありますね。
中箸:サーフっていうイメージをあまり感じさせないアイテムもありますよね。マウンテンパーカーのようなクラシカルな印象で。
古内:これはサーファーの知恵が詰まっているってところがポイントで、サーファーにとっては秋冬何着たらいいんだっていうのは悩ましいところなんですよ。今は、アウトドアっていう一つの大きなくくりとして、本来真逆なんですけど、ビーチは山を向いていて、逆に山もビーチの方向を向いているような気がしてて。バックボーンにはサーフがありつつも素材としてはアウトドア全般で使えるっていう発想で、これも一つの新しい角度からの提案なんです。[BANKS]の秋冬の必然性ってすごいあるんですよ。春夏に[BANKS]のTシャツ買ってくれた人が、秋冬は違うブランドの服を探して着るっていうのは、僕は違うなって思ってて。秋冬に海に着ていく、街に着ていく[BANKS]らしいアイテムとしてこういったものをどんどん提案できたらなと思っています。
矢野:そういう意志がプロダクトから見て取れるブランドってなかなかありそうでないですよね。夏、冬っていうイメージが強いブランドさんだと、反対側にある季節が弱いっていうのが伝わって来ちゃうなっていうのもありますけど、それとは違う。コンセプトがあって、それに合わせてしっかり作っているのがすごいなって。難しいと言われてたサーフブランドの冬物でも[BANKS]は普通に答えを出すというか。必然的にアウトドアに寄っていったというのも納得できます。
古内:そうですね。今の話が、”Everyday journeys.”っていう[BANKS]を表すキーワードと結びついてくると思うんですよ。この言葉は意味っていうよりも、そのワードを聞いて、旅をするからこういうものが必要だ、サーフィンするからこういうものが必要だっていうのを連想しながら、アイテムを見て、「あ、イコールだな。」って感じられるような[BANKS]をイメージする言葉として打ち出しているものなんです。このイメージをお客さんと共有できれば、[BANKS]の提案がより強く伝わるのかなって思います。
—BARNEYS NEW YORK での別注も控えてるんですよね?
古内:はい。別注Tシャツの製作をいま進めています。
中箸:2016年の春夏はキラキラしたものっていうのがトレンドになると思うんですね。ゴールドだったりシルバーだったりラメっていうのがすごく旬だと思うので、今回の別注ではそういった要素を取り入れたTシャツを4月末に発売予定です。16春夏のトレンド感が全部入ってる内容だと思うので注目してみてください。
—キラキラしてるものの流行はもう徐々に始まっているんでしょうか?
中箸:少し前から兆しはありましたね。[adidas(アディダス)]さんがシルバーとゴールドのスニーカーをリリースしたり、インディアンジュエリーの流行もそうだと思うんですよ。シンプルなものが流行ってる中で、それに飽きた人たちが、明るい色を取り入れたくなるタイミングに、キラキラしたものっていうのはちょうど時代の気分にあった要素になってくると思います。
古内:イベント当日とその後のTシャツの売れ行きから見ると今回も動きが早いんでしょうね。
中箸:やっぱりロゴTシャツが人気なんですよ。変な話、知らないブランドなのにロゴから入りたいっていうのは、すごく力があるなって感じます。
矢野:BARNEYS NEW YORK=高級というイメージだけが先行して、それが実は誤った方向で伝わっちゃってたりすることもあるので。そういった意味では、今までバーニーズは自分には関係ないやって思ってた方々が「こういうのもあるんだ!意外と全然いいじゃん!」みたいに思ってくれるといいなって。実はハイブランド~ストリートカジュアルまで品揃えのテイストにも幅があるので。新しいきっかけとして、お互いに間口を広げるという意味でも、本当に良かったなと思ってます。
—それでは最後に、[BANKS]をどんな風に楽しんでもらいたいですか?
古内:着こなしはGERLACHスタイルでもいいですし、普通に海に着て行って、そのまま街に出かけたり、自由な感じで楽しんでもらいたいです。でも、ずっと着ていただきたいなっていうのが一番の想い。サスティナブルな素材もそうですけど、長く着てもらうことが最高の環境に対する配慮ですから。あと、[BANKS]って言葉にもメッセージが込められていて。これはサーファーが使う言葉で、海底にできる砂山をBANKって言うんですけど、良い波が立つところには、必ず海底に良い形で砂がはまって、良い地形ができる。これをGOOD BANKって言うんですよ。ここから取ったブランド名が[BANKS]で、アイコンも海底の砂山をイメージしてるんです。だから僕らは、この洋服のブランドを通してファション業界でも、アパレルとして良い波が[BANKS]から始まるように、良い波の割れ方をするように。そして、いろんな人に対してのGOOD BANKであればいいなって思います。
中箸:綺麗に締まりましたね。あと何も言うことないです(笑)
矢野:いい波来たね〜(笑)