2013年秋のブランド大特集 VOL.03:[DIGAWEL]

by Mastered編集部

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—今回のブランド特集は「10年後の東京のメンズシーンを支える人」というテーマで人選をさせてもらったんですが、西村さん、そしてDIGAWELの10年後のビジョンを伺えますか。

西村:僕個人としては、基本的には今が楽しいかどうかっていうのが第1としてありますね。ブランドに関しては一貫して言っていることだけど、僕たちはモノを作っている人間な訳で、そうである以上、好きな人だけが買ってくれれば良いって考えは一切持っていません。中学2年生からおばあちゃんまで、幅広い人が買ってくれるものを作っていきたいし、そういう人達に分かってもらえるような戦術、PRを考えていきたいですね。で、前回のインタビューと重複しますけど、世界制覇(笑)。もちろんここで言う世界っていうのは、僕自身が見ている世界のことですけど。

—幅広い人が買ってくれるものを作っていきたいということは=マスに向けたデザインにも興味があるということでしょうか? 大量生産だからこそ生み出せるモノというか。

西村:いや、そこに関しては大量生産だろうが、ハンドメイドだろうが、あまりこだわりは無いですね。ただ、ハンドメイドは偉くて、大量生産はクズみたいな価値観は、個人的には間違っていると思いますよ。どうしても”手のぬくもり”だとか、”メイドインジャパンの誇り”みたいなものに夢を見がちだけど、大切なのはそこじゃない。作り手の中で何が起こっているのかが大切だし、何を表現したいのかってことが最重要なんだと思います。

—これまでにも色々なデザイナーの方に質問してきたことですが、もし西村さんが[H&M]からコラボレーションのオファーを受けたらOKを出しますか?

西村:たくさんの人に自分の作ったものを届けたいとなると、当然そういう方法もあるんでしょうね。でも、僕の場合は僕のチームで、つまりは自分がやりたいことを100%やれる環境じゃないと、作りたいものが作れないんです。経営という面で考えれば、そういう大資本は大切ですけど、失うものも大きい。そういう意味では、オーナーデザイナーってことに関しては、強いこだわりを持っているのかもしれないですね。自分のお金でやるからこそ、全て自分の責任で出来るというか。

—西村さんはいつまでブランドを続けたいですか?

西村:それは考えたことが無いですね。面白くなくなったら辞めるし、継続するための努力みたいなものは一切しない。毎日が楽しい。その積み重ねで良いと思うんです。洋服って正直なメディアだから、売れるものは正しいと思うし、僕がそれをどんなに間違っていると思っても、売れているという事実があるのであれば間違っているのは僕の方。だけど、そういう洋服を作りたいかっていうのは、また別の話ですよね。でも買う側からすれば、すごく良い時代だと思いますよ。

—そうですね。でも洋服を一番買うであろう、若い人が少なくなってきているっていうのは大きな問題ですよね。

西村:うん、DIGAWELってキッズからしたら少し大人だと思うんだけど、でも僕自身、本当は10代のキッズ達に売りたいんですよね。でも、そのキッズ達が今何を買っているかって言ったら、さっき話に出てきた[H&M]だったり[UNIQLO]だったりする訳だから。頑張らなきゃなと思いますよ。出来るだけクオリティを高く、値段を安く、タイミング良く買えるように。その先に何か新しい世界があれば良いなと思うんです。

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