ものづくりの最もベーシックな形であり、基礎とも言えるこの原則を理想的な形で実現しているのが、[HERMES(エルメス)]という偉大なメゾンだ。1837年、パリの馬具工房としてその歴史をスタートさせた[HERMES]のアイテムは時代を超え、性別を超え、国を超えて愛され、2016年現在もなお、世界中の人々の憧れであり続けている。
そんな[HERMES]が今秋、”The Nature of Men”をキーワードに、メンズの世界観を紹介すべく、様々なイベントを実施。EYESCREAM.JP エクスクルーシヴでお届けしていく本企画『僕らとエルメス』では、僕らが選んだ「現代を生きる男性たち」にフォーカスし、彼らと[HERMES]の関係性を紐解いていくことで、最新コレクションで[HERMES]が描いた”The Nature of Men”という特異な世界観に迫る。
最終回となる今回登場してくれるのは、雑誌、広告、アパレルなど、多岐の分野に渡り、独自の作品性で存在感を示している人気イラストレーター、長場雄。
Photo:Takuya Murata
Text&Edit:Keita Miki
■僕らと[HERMES]。 長場雄 編
— [HERMES]の存在を認識したのは、いつ頃のことですか?
長場:映画か何かで見た『バーキン』とか、『ケリーバッグ』が最初ですかね。なので、最近までは「女性のもの」というイメージが強かったです。大人になってから、「きちんとしたものを持ちたいな」という意識が生まれて、海外旅行の際なんかに[HERMES]のお店をのぞいてみるようになりまして、そこで初めて、メンズのアイテムも変わらず素晴らしいんだなということに気付いたというか。今回の企画を通して、新たに知った部分もたくさんあります。
— 今回は取材の前に、[HERMES]の旗艦店、銀座メゾンエルメスの内部にあるアトリエを特別に見学させてもらいましたが、実際にものづくりの現場を見て、どんな感想を抱きましたか?
長場:まず、リペアを受け付けているということに驚きましたね。完全に偏見なんですが、ハイブランドの人達は「古くなったら新しいものを買えば良い」って考えなのかなと勝手に思っていまして(笑)。メゾンとして、自分たちのアイテムをお客さんに長く使って欲しいと考えていることが良く伝わりましたし、そういうところが、個人的にはすごく良いなと思いました。[HERMES]の今まで見えなかった部分というか、メゾンとしての姿勢が、あのアトリエに詰まっていたような気がします。
— アトリエとは別に、10月に都内某所で開催された”The Nature of Men”の世界観を体験できるスペシャルなイベントにも参加してもらいましたが、そちらはいかがでしたか?
長場:[HERMES]のようなハイブランドのイベントって、すごく堅いイメージがあったんですけど、演出1つ1つにユーモアが溢れていて、「粋だな」と思いました。[HERMES]のお店にも言える事なんですが、[HERMES]はいつもユーモアのセンスがすごく良くて、感心させられますね。
— 銀座メゾンエルメスのギャラリースペース、フォーラムの展覧会も鑑賞されましたが、こちらについてはどんな印象でしたか?
長場:天井が高くて、すごく気持ちの良い空間ですね。僕が伺った時は、フランス人作家、ミシェル・ブラジーの展示をしていたのですが、壁を直接作品にしたり、作品の中でカタツムリを用いたりと、普通の美術館ではNGになってしまうであろうものが多数見受けられました。そういう、アーティストがやりたいことを最大限尊重してくれるギャラリーって、決して多くは無いので、本当に素晴らしいことだと思います。僕も意外と「こうしたい」って要望は多いタイプなので、もし機会があれば、いつかこのギャラリーで展示が出来たら嬉しいですね。
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