ファッション業界で一番ダサいTシャツを探せ! 『ダサTわらしべ長者』 第4回

by Nobuyuki Shigetake and Mastered編集部

春夏秋冬、1年365日のうち、リアルに340日ぐらいはTシャツを着ているMastered編集部だからこそ、気付いたことが1つある。
最近、世の中のTシャツがちょっとお洒落になりすぎた……。
人々の”安くてお洒落なTシャツ”への需要に応えるかのように、Tシャツのシルエットは改善され、”どん詰まり”の首もとは淘汰され、グラフィックは洗練されたものへと変化。気付けば、地方の土産屋のTシャツでさえ、「なんだよ、思ったよりお洒落じゃん……」、という始末である。
ダサい、どう着てもダサい、目も当てられないほどダサい。だけど、なんだか笑えるくらいにダサくて、いつまでたっても捨てられない。そんな僕らの愛した”ダサT”たちは、一体何処へ消えてしまったのだろうか。
”深イイ話”ならぬ”ダサイイTシャツ”は、最早、絶滅危惧種なのだろうか。
上記のような無駄に熱い”ダサT”への想いを胸に、Mastered編集部がお届けする連載『ダサTわらしべ長者』では、毎回、ゲストに自慢の”ダサT”を持ち寄ってもらい、それを現在編集部が所持している”ダサT”と物々交換。この物々交換を続け、”キング・オブ・ダサT”を見つけ出そうという青春系企画であります。
第4回には、渋谷のヴィンテージショップ・BOYのオーナーである奥冨直人さんが登場!

Photo:Kazuki Miyamae

前回のおさらい

前回は十河幸太郎&チューソン夫妻が所持していたお揃いで買った娘の名前が入ったTシャツをゲット!

今回はこのTシャツと、奥冨さんの自慢の”ダサT”を交換してもらいます。

奥冨直人(BOY ショップオーナー)

”FASHION&MUSIC”をコンセプトに掲げる渋谷・宇田川町のヴィンテージショップ、BOYのオーナー。店頭で取扱う音源のバイイングも手掛けており、ミュージシャンとの親交も深い。このほかにもDJ、スタイリング、文筆業など、多岐にわたり活動中。愛称はTOMMY。

— 人生で初めて自身で購入したTシャツを教えてください。

地元の古着屋で買ったHOUND DOGのバンドT。

— Tシャツが似合う有名人と聞いて思い浮かぶ人は?

イチロー選手が着ているTシャツは目で追ってしまいますね。

— この夏イチオシのTシャツを教えてください。

リンガーTシャツやラグランTシャツを着たい気分です。

— 何かお知らせがあればどうぞ!

BOYと古着屋十四才のポップアップ企画『転校生』、次回でいよいよ完結です。お楽しみに。

奥冨直人さんのダサT – ”ヨン様”のプリントTシャツ

ハモニカ横丁の入り口のロックTシャツ屋さんや清水寺のお土産屋さんにかつて売っていたような、ぺ・ヨンジュンのTシャツ。『冬のソナタ』全盛期の頃におばちゃん向けに作られたものだと思います。4XLサイズくらいの”ビッグママ”サイズや、両面同じプリントなのに、表はカラー、裏はモノクロ、というところも愛おしいですね。

これは……ラスボス級ですね(笑)。『冬のソナタ』が日本で一世を風靡したのは2003年、およそ17年前のことです。一見すると”アリ”のようにも思えますが、奥冨さん的にはどの辺りが”ダサTポイント”なんでしょう?

まだヴィンテージにもなれていない、時代との距離感の近さと、一時のブームとして過ぎ去った”韓流”モチーフであることが生み出している”世間的なダサさ”ですかね。ただ、個人的にはもう何周も回って”カッコいい”のキャパシティが広くなっているので、このTシャツもDJの時に着るくらい、お気に入りの1枚だったりします。この手の1990年代後半〜2000年代前半の芸能系Tシャツって、ぼくや大阪の古着屋十四才がずっと大事にしている文化なんですけど、まだまだ価値が見出されていないところがあって、ちょっと早すぎるのかもしれませんね……。実は、これに近しいもので、私物Tシャツで唯一まだ着れていない、ヤバすぎるTシャツがあるのですが、今回はお蔵入りということで。

あれもかなりの代物でした。本当にこの連載が終わってしまうので、勘弁してください……。

ということで、第4回ではお揃いで買った娘の名前が入ったTシャツと”ヨン様”のプリントTシャツを交換!

次回は、この”ヨン様”のプリントTシャツと、自慢のダサTを交換してくれる方を捜索し、ゲストとしてお迎えしてお届けします。

それでは皆様、第5回もお楽しみに。