ファッション業界で一番ダサいTシャツを探せ! 『ダサTわらしべ長者』 第11回

by Keita Miki

春夏秋冬、1年365日のうち、リアルに340日ぐらいはTシャツを着ているMastered編集部だからこそ、気付いたことが1つある。
最近、世の中のTシャツがちょっとお洒落になりすぎた……。
人々の”安くてお洒落なTシャツ”への需要に応えるかのように、Tシャツのシルエットは改善され、”どん詰まり”の首もとは淘汰され、グラフィックは洗練されたものへと変化。気付けば、地方の土産屋のTシャツでさえ、「なんだよ、思ったよりお洒落じゃん……」、という始末である。
ダサい、どう着てもダサい、目も当てられないほどダサい。だけど、なんだか笑えるくらいにダサくて、いつまでたっても捨てられない。そんな僕らの愛した”ダサT”たちは、一体何処へ消えてしまったのだろうか。
”深イイ話”ならぬ”ダサイイTシャツ”は、最早、絶滅危惧種なのだろうか。
上記のような無駄に熱い”ダサT”への想いを胸に、Mastered編集部がお届けする連載『ダサTわらしべ長者』では、毎回、ゲストに自慢の”ダサT”を持ち寄ってもらい、それを現在編集部が所持している”ダサT”と物々交換。この物々交換を続け、”キング・オブ・ダサT”を見つけ出そうという青春系企画であります。
第11回には、Masteredでも様々な企画に登場してくれているスタイリスト・TEPPEIさんが登場!

Photo:Kazuki Miyamae

前回のおさらい

前回はTA-1さんが所持していた”東京”Tシャツをゲット!

今回はこのTシャツと、TEPPEIさんの自慢の”ダサT”を交換してもらいます。

TEPPEI(スタイリスト)

2002年、高校卒業と同時に上京し、都内の専門学校スタイリスト学科に入学。卒業後2年間の古着屋勤務を経て、スタイリストとしてのキャリアをスタート。2000年代中期までの東京ストリートカルチャーにおける画一的な存在として注目を浴び、ジェレミー・スコットやベルンハルト・ウィルヘルムがスタイルサンプリングしたことでも知られている。現在は、スタイリストとして数々のアーティストイメージやブランドビジュアルのディレクション、ドバイ万博2020における日本館公式ユニフォームのビジュアルスタイリング、2019年秋冬シーズン以降のANREALAGEのメンズコレクションやChildren of the discordanceのコレクションスタイリングを手掛けており、特に国内のメンズファッションシーンにおいて代表的な作品発表を続けている。

— 人生で初めて自身で購入したTシャツを教えてください。

中学2年生の時に平和堂で買ったナンバリングTシャツ。

— Tシャツが似合う有名人と聞いて思い浮かぶ人は?

星野源さん。

— この夏イチオシのTシャツを教えてください。

自粛期間中にネットオークションで購入した映画『BROTHER』のTシャツ。後ろの”kitano”フォントも良いムードで、気に入っています。

— 何かお知らせがあればどうぞ!

近日、offshore tokyoにて、自身の企画展を開催予定です。詳細に関してはoffshore tokyoのInstagramにて発表されるかと思いますので、お楽しみに。

TEPPEIさんのダサT – 『SKA Of It All』のオフィシャルTシャツ

1998年に開催された音楽フェスティバル『SKA Of It All』のオフィシャルTシャツです。まず初めに弁解しておきたいのは、このフェスティバル自体は本当に素晴らしいイベントで、僕自身、このイベントのライブビデオを青春時代に擦り切れるくらい見て、音楽面、カルチャー面においては多分に影響を受けました。SCAFULL KING、KEMURI、YOUNG PUNCH、POT SHOTなど、当時のスカパンクシーンを象徴するバンドが集結しており、『AIR JAM』と並んで今でも語り草になっている伝説のフェスなんです。が、その思い出補正が全くと言っていいほど効かないのが、このTシャツ。

懐かしい名前が色々と出てきましたね。個人的には迷彩ボディのTシャツを見ると、インリン・オブ・ジョイトイさんを思い出します。

Tシャツって熱量を込めやすいアイテムだと個人的には思っていて、あれだけ当時熱中したシーンに関連したモノだと必然的に良く見えるはずなんですが、このTシャツに関しては何周回っても”ナシ”なんですよね。先ほど話したライブビデオのパッケージが迷彩に赤の文字っていうデザインで、そのデザインルールをそのまま踏襲しているだけなんですけど、謎にタイトフィットというか”軍人フィット”で(笑)。コスプレっぽく見えるところもダサTポイントですかね。未だに街で着ている人を1人も見たことは無いのですが、不思議と所持はしておきたいダサT。

90年代はインターネットも無かったし、販売場所も当日の会場のみってパターンがほとんどだったかと思うので、今のフェスよりもマーチャンダイズに対する意識が低かったのかもしれませんね。良くも悪くも適当というか(笑)。あくまでスーベニア的なアイテムで、フェスのTシャツをタウンユースするっていう文化も無かったように思います。なんだか、そういうバックグラウンドを考えて見てみるとすごく意義のある1枚に見えますね! 素敵なダサTをありがとうございました!

ということで、第11回では”東京”Tシャツと『SKA Of It All』のオフィシャルTシャツを交換!

次回は、この『SKA Of It All』のオフィシャルTシャツと、自慢のダサTを交換してくれる方を捜索し、ゲストとしてお迎えしてお届けします。

それでは皆様、第12回もお楽しみに。