裏原世代ど真ん中だったという近江さんが最も影響を受けてきたというのが、NUMBER (N)INEの宮下貴裕さんやスタイリスト伊賀大介さんが90年代当時に発信していたスタイルだという。
そのなかには今ではよく見るようになったスタイルのひとつ、ジャケットにパーカを合わせた装いがあり、ファッションのルールを壊している感じがすごく新鮮だった。
レザーシューズでありながらスニーカーのようなソールが使われていたり、スポンジ部分まで染め上げるアヴァンギャルドな雰囲気もまた、それらから影響を受けたカルチャーが十分に反映されている証拠といえるだろう。
「非常識で変なTシャツを着ているのに、しっくりハマっていたり。こんなことしていいんだなとか、こんなことしてもおしゃれになるんだとか、王道じゃないものを王道として着てしまうのがよかった」
さらに記憶は幼少期の風景にも遡る。
「最初に作ったブルーのシューズは、今日も空が青くて気持ちいいなとか、小さいときの記憶に色として残っている、地元の岩手の港町の空や海のカラーがテーマ」