めくるめく「スナック」の世界。東京のスナック 第9回:中野区東中野・あんぽんたん

by Nobuyuki Shigetake

諸説はあるけど、全国に約16万軒以上存在していると言われており、コンビニが全国で約6万軒だから、その2倍以上の数。途轍もない数字であることは、言うまでもない。日本中"どこにでもある"けど、日本にしかない、日本独自の文化。それがスナックだ。
日常的に目にしているはずなのに、僕たちは思っている以上に、その実状を知らない。それどころか、一度も行ったことない、なんて人も多いのではないだろうか。それは、もしかしたらとても損をしているかもしれない。
この連載では、東京近郊のスナックにフォーカスし、名物ママへのインタビューや店舗の情報など、スナックに行く上で知っておいた方が良いことを、撮り下ろしの写真とともにご紹介。第9回は中野区東中野のスナック・あんぽんたん。さあ、重い扉を開き、中へと入ってみよう。

Photo:Atsushi Fujimoto | Text&Edit:Nobuyuki Shigetake

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ハイブリッドな街、東中野

新宿から総武線で2駅。名物や名店の印象は薄いながら、その卓越した交通の便を活かしてハイソサエティな方向へ舵切りをしたがっている、そんな様子が窺える中野区は東中野。

整備された歩道や清潔感のある駅ビルからは、明らかに沿線の大久保や中野、高円寺との意図的な差別化を感じ取れるが、ポレポレ東中野や能楽堂といった文化的なスペース、そして映画のセットばりに昭和の飲み屋街然としたムーンロードなど、中央線の系譜がそこかしこに漂うハイブリッドな街並みは、ある種リアルな”東京っぽさ”がある。

東中野駅前。

昭和風情な飲食店が雑然と並ぶムーンロード。

山手通りと線路の交差によって街は東西南北に区切られ、駅前からの移動には階段や坂の利用が不可欠となっている。どうにも、年配のひとが生活しにくそうな雰囲気。

向こうには新宿が見える。

山手通り。

そんな東中野駅を東口から出て、腕白少年たち御用達の定食屋、大盛軒を右手に見つつ、30段ほどの階段をくだった所にあるのが、今回の舞台、あんぽんたんだ。