実は取材を観光した8月15日は『諏訪湖祭湖上花火大会』の日でもあり、街はお祭りムード。それもあってか、2軒目、3軒目として訪れた酔客たちで、店内は徐々に盛り上がりを見せてきた。
そんな中、日付も変わる頃にデキあがりきった5人組のサラリーマンがご来店。
ボトルキープの残りを頂戴し、デュエットへの乱入、艶話……かと思えば仕事の話から名刺交換と、濃厚に絡んでいただいた。
「困ったら俺のところ来いよ! 俺、六本木住みだから(?)」と、酔客特有の漢気溢れる念押しがアツい。
気が付けば時刻は2時。乱痴気騒ぎの店内をママもマスターもカウンター端へすっと引いて見守っている。まるで湖の向こう岸から乗り込んだ人たちをこちら岸へ渡す、静かな遊覧船みたいに。
そういえば、お酒や果物のサーブも灰皿の交換も、さりげなく行われていたな。
常連さんがボトルに名前を入れながら「昨日も書いた気がする……かなわんな」と、ひとりごちていた。
宿に戻り、ここちよい酔夢から目覚めると、帰り際にマスターがくれたマッチと5人分の名刺に、夏の朝日が差していた。
「東京みたいに、なにもないからね」
あれは、ママのとびっきりのジョークだったんだと思う。
長野県諏訪市大手2-16-5
営業時間:19:00~2:00
定休日:なし
チャージ:800円
カラオケ:200円/1曲
※支払いは現金のみ。