めくるめく「スナック」の世界。東京のスナック 第7回:長野県諏訪市・スナック 園

by Nobuyuki Shigetake and Mastered編集部

諸説はあるけど、全国に約16万軒以上存在していると言われており、コンビニが全国で約6万軒だから、その2倍以上の数。途轍もない数字であることは、言うまでもない。日本中"どこにでもある"けど、日本にしかない、日本独自の文化。それがスナックだ。
日常的に目にしているはずなのに、僕たちは思っている以上に、その実状を知らない。それどころか、一度も行ったことない、なんて人も多いのではないだろうか。それは、もしかしたらとても損をしているかもしれない。
この連載では、東京近郊のスナックにフォーカスし、名物ママへのインタビューや店舗の情報など、スナックに行く上で知っておいた方が良いことを、撮り下ろしの写真とともにご紹介。第7回は夏休み編ということで、東京からも比較的アクセスしやすい長野県は諏訪市、諏訪湖畔のスナック 園。さあ、重い扉を開き、中へと入ってみよう。

Photo:Atsushi Fujimoto | Text:Eri Nasuno | Edit:Nobuyuki Shigetake

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美酒と湖の街へ

映画『君の名は。』の聖地としても知られる諏訪湖。

新宿から特急あずさでおよそ2時間。甲州街道に真澄・舞姫・麗人・本金・横笛の五蔵が立ち並ぶ酒の街、そして三島由紀夫『愛の疾走』で恋物語が仕掛けられる湖の街・諏訪。
 
お盆シーズン真っ盛りの8月、いたるところに帰省らしき人々の姿がちらほら。同窓会の集まりなのか、鬼顧問がどうとか、初恋の○○チャンがどうとか、そういった類の青い会話が蝉時雨に混ざって聞こえてくる。
 
そんな元・少年少女を尻目に、まずは腹ごしらえと駅前の郷土料理店へ。2階の座敷で馬刺しや鯉の甘煮、わかさぎなど地元の味を楽しんだ。昼から大瓶5本を空ける客にも分け隔てなく与えられる、素敵な接客が幸先良い。

鯉の甘煮。信州を中心に郷土料理として愛されているそう。

さながら”どこでもドア”のようなルックスの扉。

実はアートの街、という側面もある諏訪。