スナックをスナックたらしめる要素の一つに、ママの存在がある。ユニークなママがいるお店には、いつだって多くの人々が集まる。暖を取るために、1つの炬燵に入る家族のように。
例に漏れず、ここのんのもそういった類のお店と言える。50年もの間、カウンターの向こう側から数え切れないほどの人々と接し、時には別れを繰り返してきた。
「24歳の頃から40年以上通い続けてくれているお客さんもいるし、もう亡くなっちゃったお客さんもいる。その人は、もしかしたら今もカウンターで飲んでるかもしれないけどね」と笑いつつ、奥の戸棚から何冊かのフォトアルバムを出してきてくれた。
ここ数年で、何か変化はあったかと尋ねると「若い子がちょっと多くなっただけで、あとは特に変わらないかな……と言うかね、変わらないようにしてるの。うちはオープン当初から営業時間も定休日も何も変えてないのよ(笑)。その方がお店にも来やすいでしょ」。老舗店の凄みは、こういったところにあるのかもしれない。