かのレゲエミュージシャン、ボブ・マーリーはこう言った。
「雨を感じられる人間もいるし、ただ濡れるだけの奴らもいる。」
各所で好評を博している『R-STORE FRIENDS on eyescream』に続く、不動産セレクトショップ『R-STORE』とEYESCREAM.JPによる第2弾”家系企画”、『哲子の部屋』。
世の中に存在する「不思議な家」にフィーチャーし、そのあまりにも哲学的すぎる魅力をR-STORE「チーム・哲子」のお二方とEYESCREAM.JPならではの視点で徹底解剖していく誰得企画である。
第5回:檻みたいな家
例えるならば、そう、ここは「檻の中」。
四方を囲む冷たいコンクリートの壁に申し訳程度に付けられた小さな窓、そして上を見上げれば鉄格子。扉をあけるとすぐ横にある、むき出しのトイレと何処から見ても丸見えなバスルーム。
女子大生が寂しさを紛らわすために飼われたインコでもなければ、見せ物として遠い国から売り飛ばされてきた動物園のライオンでもない、人間であるはずの自分がなぜ檻の中にいるのか?
遠い昔の事過ぎて、その訳は思い出せない。
この”檻”は少し変わっていて、天井がテントのようなビニール素材で出来ている。
雨の日には、このテントに向けて落ちてきた雨粒がテントを打ち鳴らし、かなりの音量となるのだが、これがなかなかどうして。悪くない。
雨粒がテントを打ち鳴らす音、半透明のシートが光を透過し、コンクリートのグレーと混ざることで生み出される、柔らかな空気感。
優しく包まれるような感覚に、気付けば段々と……。
かのレゲエミュージシャン、ボブ・マーリーはこう言った。
「雨を感じられる人間もいるし、ただ濡れるだけの奴らもいる。」
好き好んで「檻の中」に入る人間なんて恐らくいないだろうが、住めば都とは良く言ったもので、長く暮らしているとこんな檻の中でも、しっかりその良さを感じ取れるようになってくる。要は何事も捉え方だ。
おや、今日も隣に新入りが放り込まれたようだな。
※こちらの家は檻ではなく、あくまでも賃貸物件です。
おつむの弱さを哲学で覆い隠さんとすR-STOREの広報部部長とマネージャー。徹子の部屋は結構好き。ボブ・マーリーについては、あまり知らない。と言うか、全然知らない。