「事実というものは存在しない。存在するのは解釈だけである」
という訳で、本日より突如としてスタートするこの連載『哲子の部屋』 は、各所で好評を博している『R-STORE FRIENDS on eyescream』に続く、不動産セレクトショップ『R-STORE』とEYESCREAM.JPによる第2弾”家系企画”。
本連載では、世の中に存在する「不思議な家」にフィーチャーし、そのあまりにも哲学的すぎる魅力をR-STORE「チーム・哲子」のお二方とEYESCREAM.JPならではの視点で徹底解剖していく。
第1回:玄関がバスルームになっている家
記念すべき第1回で紹介するのは、玄関がバスルームになっている家。
「玄関がバスルームになっている家」……言葉だけ聞くと全く意味が分からないと思うが、事実は小説よりも奇なり。そう、言葉通り、この部屋は玄関がバスルームなのである。
こうして文字にしてみると益々カルト感が増すのだが、ひとまずは落ち着いて、以下の文章通りに意味を受け取って欲しい。
この家にはバスルームから入る。つまり、玄関を開けると、そこにはまず風呂があるのだ。
玄関から奥に進むと次に現れるのはトイレ。その奥にガラス戸があり、そのガラス戸を開けるとようやく居間に辿り着く。
これがこの家に存在する事実だ。
そもそも「事実」とはなんなのだろう。
玄関ドアを開けると、そこにはたしかに風呂がある。風呂釜とお湯がでる蛇口、そしてシャワーがあるだけだ。だけれど、風呂釜から「風呂釜」という名前を取り除けば、それはもしかしたら巨大な靴箱なのかもしれないし、シャワーから「シャワー」という名前を取り除けば、それは水が出る機能を持っただけの風変わりなコートハンガーなのかもしれない。
かの哲学者フリードリヒ・ニーチェはこう言った。
「事実というものは存在しない。存在するのは解釈だけである」
目の前にある事も、突き詰めていくと必ずしもそれが事実だと証明は出来ない。あるのは解釈だけなのである。一見ありえないと思われがちなこの部屋の間取りも、捉えようによっては至って普通なのかもしれない。
事実、この部屋はすでに満室なのだから。
おつむの弱さを哲学で覆い隠さんとすR-STOREの広報部部長とマネージャー。徹子の部屋は結構好き。ニーチェについては、あまり知らない。と言うか、全然知らない。