その道のプロが選んだ愛用品を大公開!『俺の商売道具』 第6回 GANGSTER DOODLES

by Keita Miki

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— 自身にとって今回が初めての個展ということですが、その場所として日本を選んだ理由はなんだったのですか?

CULT CLUBのプロジェクトメンバーに誘ってもらったのがきっかけです。はじめは一緒に洋服などを作っていたんですが、その評判が良くて、「作品集として本を出版しないか」と声をかけてもらえたんです。そして出版できる場所を探していた時に、ギャラリーも併設しているこの場所(BOOKMARC)を紹介してもらい、「もし良かったら合わせて個展もやってみるか?」って言ってもらえて。気が付いたらとんとん拍子に話が進んでいった感じですね。

— そもそも落書き自体は、いつ頃から描き始めたのでしょうか?

映像関係の学校に通っていた頃から毎日描いていました。それから映像の製作会社で働き始めて『Post-it®』をキャンバスにするようになったんです。書いたものを少しづつSInstagramやTumblrに投稿しているうちに個人的なリクエストや小さな仕事の依頼が増え始めてきて、その頃にCalvin Harris(カルヴィン・ハリス)から「絵を描いて欲しい」というメッセージをもらったんです。その時に、「これを仕事にしよう」って決めましたね(笑)。

— イラストの対象をラッパーや俳優、ギャングスターにしている理由を教えてください。

僕自身、そういったカルチャーが好きだということもありますが、彼らが身につけるジャラジャラとしたアクセサリーや独特な配色のファッションが僕の作風にマッチするいうことが一番だと思います。絵を描くと本人も本当に喜んでくれるんですよ。それがとっても嬉しかったし、後に出版することになった本ではStones Throw Recordsのメンバーとも一緒にお仕事をすることが出来ました。

— これまでご自身に影響を与えてきた人やモノは何かありますか?

昔は色々なアーティストに影響を受けたりもしたのですが、ある時、それが自分にとってあまり良いことではないと気付きました。無意識のうちに真似をしてしまい、オリジナリティが失われてしまう気がして。それからは周りを意識せずに制作をするよう、心掛けています。でも、当然尊敬するアーティストというのは沢山います。日本人で言うと、宮崎駿さんが大好きです。

— 仕事道具を選ぶ際に重要視してるポイントを教えてください。

僕が使う道具というのは基本、事務用品だけです。安くて誰もが手に入れられる、チープなもの。それは落書きをしていた頃から一貫して変わっていません。

— 絵を描く以外にも洋服や小物、本なども作られていますが、それらは絵を描く際の表現のアウトプットとは異なるのですか?

僕は自分の作るものをアート作品として捉えているのではなく、あくまでマーチャンダイズとして捉えているんです。お金を得られるひとつの手段として、そうした作品を洋服や出版物に落とし込んでいく。そうして得たお金が、結果的には自分の自由な活動を支えてくれることになりますからね。お金をもらって作品を作るとなると、どうしても表現に制限が出てまうじゃないですか。

— 今後の活動における将来展望はどのようにイメージされていますか?

もっと大きなスケールで作品を作ってみたいですね。キャンバスを変えるということでは無く、あくまでも『Post-it®』をベースとしながらも、例えば『Post-it®』をイメージしたような大きな黄色い壁に絵を描いてみたりとか。

— 近年日本でも増え始めているインディペンデントな分野で活動する若いクリエイターに向けて、一言お願いできますか?

何においてもそうですが、チャレンジすることでしか感動や新しい成果は得られないと信じています。仕事は数珠繋ぎなようなものなので、毎日の積み重ねが大事ですよね。だからこそ、成功と失敗を繰り返して、成長していくことが一番の近道だと思います。

GANGSTER DOODLES
カナダはバンクーバー出身のイラストレーター。映像制作会社に勤めていた頃から日常的に描いていた落書きをSNSに投稿しているうちに話題となり、本格的にアーティストとして活動を開始。 身の回りにある素朴な事務用品を使ってオリジナリティとユーモアに溢れたドローイング作品を生み出し、世界的な著名人やアーティストをファンに持つ。

■CULT CLUB
東京都渋谷区代々木5−67−1
TEL:03-6804-9339
http://cultclub.club/

■BOOKMARC
東京都渋谷区神宮前4-26-14 
TEL:03-5412-0351
http://www.marcjacobs.jp/bookmarc/