その道のプロが選んだ愛用品を大公開!『俺の商売道具』 第5回 TAKASHI ”TETSUO” YOSHIZAWA

by Mastered編集部

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— “TETSUO”さんが仕事道具を選ぶ際に重要視してるポイントってなんでしょう?

気に入ったら使い続けたり、リピートしたいという気持ちがあるので、デザインや色に関しても定番で飽きないモノを選ぶことが多いですね。VANSじゃないですが、それを使い続けることで「僕といったらコレ」といったように自身のスタイルに繋がると思っています。あとは昔からアメリカのカルチャーが好きなので、ついそういったアイテムを選びがちですね。やっぱりワクワクするんです。

— スクラップブックなど、アナログのツールをあえて使っていらっしゃる理由は何ですか?

今はInstagramをはじめとするツールが増えて、スクラップブックを持ち始めた10年前とは時代が変わりましたが、デジタルに頼りすぎたくないっていうこだわりがあります。もちろんクイックに調べられたり、とても便利なメリットはあるのですが、紙だったり手書きの良さが好きなんですよね。人間対人間の仕事なので、どんな時も“温かみ”は大事にしています。スクラップブックやペンといったアナログなツールはこれからも使い続けると思います。

— この道を志したキッカケは何だったのでしょうか?

元々何かを作るのが好きで、将来絵を描くことに憧れたりもしたのですが、進路を選択する時期に素敵な美容師さん達にお会いしたことがキッカケで、美容の道に進むことを決めました。紙に同じデザインを乗せてもそれは同じものですが、人はたとえ同じデザインを乗せても、オリジナルになるんですよね。美容師という仕事は、人の数だけオリジナルを創ることができて面白いんじゃないかなという考えに行き着いて、今に至ります。

— どういった経緯でGuru’sで働くことになったのですか?

前に勤めていた美容院で今のオーナーと知り合ったのですが、そこは女性のお客さんがメインだったので、「男の子も入りやすいお店をやりたいよね」と言っていたことに共感したんです。今でこそバーバーなどが流行っていますが、Guru’sがオープンした8年前は、まだそういった流れも少なかったんですよ。それからGuru’sがオープンして、僕は後追いで働かせていただくことになりました。

— Guru’sには独特の「ゆるい空気」が漂っていますよね。

美容院だからっていうのはあるかもしれません。バーバーだとちょっと堅くなったりもするじゃないですか。Guru’sは女性のお客さんもいらっしゃいますし、実は2階もサロンで、家族で来られるお客さんが一緒にカットできるように広めのスペースになっているんです。そして売り場としてスタンドを設けていて、商品を見に来るだけのお客さんもいらっしゃいますし、祐天寺っていう場所柄も相まって、この独特なゆるい空気が生まれているんだと思います。

— スタンドにはどんなモノを置いているのでしょうか?

お客さんでもある周りのスケーターや、アーティストのブランドなどを置いてます。今流行っているブランドも実は初期の頃から取り扱っていたりして、常に目新しいモノがあってなかなか面白いですよ。スタンドっていう言葉も今ではだいぶ浸透したと思いますが、こういうスタイルを取り入れたのは割と早かったと思います。

— お仕事をする上で大切にしていることはありますか?

お客さんの求めるスタイルを実現することはもちろんですが、やっぱり美容師である以上、「カッコいいスタイルを提案したい」っていうのは譲れなないんですよね。きちんと話し合って、お客さんの求めるスタイルと、こちらがカッコいい、カワイイと思うスタイルを合致させる。お互いにとって一番いい着地点を見つけることが全てだと思っています。だからこそ、とにかくコミュニケーションを大切にしています。

— このお仕事をする上でのやりがいは何でしょうか?

やっぱり人との出会いですね。スケボーだったりアメリカンカルチャーだったり、好きなことに触れながら仕事をして、自分のやりたいスタイルを追い求めることで、出会いたい人に出会える確率が上がっていくんですよね。お客さんとお話をする中で知ることもあれば、新しいアイディアが生まれることもある。そしてそのお客さんがご友人を紹介してくださって、さらに素敵な繋がりができて……。そういう日々の出来事がやりがいに繋がっています。

— もしこれから業界を目指す若者に一言伝えるとしたら?

軸は美容に持ちつつも、いろんなカルチャー、そこから派生する遊び、その周りの人に出会うこと。僕は物心ついた頃からアメリカのストリートカルチャーが好きだったし、絵を描くことも好きでした。美容師という仕事とそういう趣味は一見別物のようですが、好きなことを突き進めれば、最終的には全部回収できるんですよね。でも後に繋がるって思いながらじゃないと人は雑にしちゃうので、出会いを大事にしながら、好きなことには貪欲で、色んな世界を見ることが大事なんじゃないかと思います。

■Guru’s Cut & Stand
スケーターやアーティストをはじめ、感度の高い人々が集う東京・祐天寺のヘアサロン。店内にはストリート発のディープな注目ブランドを取り揃える他、スケートやアメリカンカルチャー関連の書籍、VHSが所狭しと並べられており、日々新たなモノゴトが生まれる場所として注目されている。

東京都目黒区祐天寺1-22-10
TEL:03-6412-8953
営業時間:11:00~ / 定休日:毎週水曜日
http://www.gurus-cut.com/