現代の「デートカー」を探る。『酒と泪と男と車』 第1回 菊地晶太 vs 船生光

by Seiya Kato

今では到底考えられない話だが、僕らが産まれたバブル期には自分が乗っている「クルマ」で女の子にモテようという邪まな考えがあったらしい。フェラーリ、ベンツ、ポルシェといった高級外車が飛ぶように売れ、若者達は「デートカー」なる”デートに最適な車”を無理してローンで購入する。そんな時代が、かつて、たしかにあったのだ。
けれども時は流れ、”クルマ”はいつしか男たちにとって、”モテるための道具”から”頼れる相棒”へと変化した。車はその人のライフスタイルを映す鏡であり、しばしば誰にも邪魔されない時間を提供してくれる自室そのものにもなり得る。
本日からスタートする新連載『酒と泪と男と車』では、さまざまな分野で活躍するクリエイターに自慢の愛車に紹介してもらい、その魅力を存分に語ってもらった後、Mastered編集部が招いた3名の女性審査員が「どちらのクルマの助手席に乗りたいか」を完全主観でジャッジ。果たして僕らの”頼れる相棒”は、現代のデートカーになれるのか!?
栄えある初回は、Masteredでもその手腕を振るう菊地晶太と、船生光という2人のカメラマンに登場して頂きます。

Photo:Kazuki Miyamae | Text&Edit:Seiya Kato

カメラマン 菊地晶太の愛車 『トヨタ LAND CRUISER 70 30周年記念モデル』

マニュアル車ならではの、人とクルマの一体感

— クルマに興味を持ち始めたのはいつ頃からですか。

父がカーデザインの仕事をしていて、家にもたくさんのデザイン画がありました。幼い頃からそれを見ていたので、潜在的にずっと興味は持っていましたね。

— このクルマを購入した経緯を教えてください。

以前はボルボの『240』に乗っていたんですけど、壊れてしまったんですよ。その次も四角いクルマに乗りました。とにかくマニュアル車が欲しかったので。

— このクルマのお気に入りのポイントを教えてください。

全然壊れなそうなところです(笑)。まだそんなに古くはないのですが、2年乗って不具合なし。あとは、今時あまり見ないワインレッドっていう”おっさんカラー”、2000年代のクルマなのに最新装備一切なしの無骨さ、マニュアル車ならではの人とクルマの一体感が気に入ってます。

— クルマでの休日の過ごし方を教えてください。

ほぼ毎日のように仕事で乗っているので、逆に休日はおやすみさせてあげてます。カメラと同じく、僕にとってはただの機材であり、道具であり、相棒なので。仕事の日は基本的に朝が早いので、行きは朝日、帰りは夕日に照らされながらドライブしていますね。

菊地晶太(きくちしょうた)

アウトドアとファッションのフィールドを自在に行き来しながら、数多くのメディアに作品を残している。

カメラマン 船生光の愛車 『アメリカトヨタ TUNDRA 2010年式』

いままでトラックにしか乗ったことがない

— クルマに興味を持ち始めたのはいつ頃からですか。

バイクが好きで、高校生の頃から乗り回していたんです。そのうちサーキットとかにバイクを持って行きたいなーと思って、知人から軽トラを買ったのがきっかけです。そこから20歳の頃に日産の『SUNNY TRUCK』、25歳の頃に日産の『DATSUN』、29歳の頃に『FORD BRONCO』と乗り換え、35歳でいまのクルマになりました。もともとトラックが大好きで、いままでトラックにしか乗ったことがないんです。

— このクルマを購入した経緯を教えてください。

直近の『FORD BRONCO』が壊れてしまった際に修理に出したら「100万以上かかるよ、直すならこっち乗りなよ」って紹介してもらったのがこのクルマでした。

— このクルマのお気に入りのポイントを教えてください。

シェルかな。機材が多いので積みやすく、雨でも荷台を使えるからです。あとは、なんといってもエンジン。何人乗っても速い(笑)!

— クルマでの休日の過ごし方を教えてください。

チャリを積んで何処かに乗りに行きます。あとはキャンプ。まだこのクルマを買ってからは行ってないけど(笑)。

船生光(ふにゅうひかる)

日本映画学校の俳優科を卒業し、役者を志しながら演劇の経験を積む傍ら、2007年にフォトグラファーの上保健一郎に師事。2012年の独立後、雑誌やカタログ、広告などを中心に精力的に活動。また、自身のライフスタイルでも傾倒するBMXカルチャーでは、国内外の様々なライダーのトリックを撮影している。

Judgement Time

大学卒業後に某セレクトショップに就職。販売員としてキャリアをスタートさせ、その後アパレルバイヤーとして活動しているMさん。

「サイズがちょうどよく、配色のカジュアル感が今の気分にもマッチしているので、菊地さんの『LAND CRUISER 70』! 生活のニーズに合っているのも◎です」

大学卒業後に某セレクトショップに就職。その後ITベンチャー企業に転職。現在は、エンターテイメント事業部のアシスタントとして勤務しているAさん。

「キャンプやアウトドアが趣味なので、そういった場面にも合いそうなので菊地さんの『LAND CRUISER 70』ですかね。船生さんのクルマも格好良いんですが、車体が大きすぎて、デートの時、駐車場探しでケンカになりそうです(笑)」

幼少期から子役をするなど、表現することを軸に活動。その後、ミスコンでファイナリストに選ばれ、受賞経験も。現在は心理カウンセラー資格を取得し、メンタルトレーニングにまつわるライティングやイベントMC、ライバー、フリーランサーとして活躍中のLさん。

「四角いクルマは男性の格好良さやスマートさが際立ちます。色の特徴でいうと、ブラックは高級感や自信、クールさを表し、レッドは華やかさや潔さ、柔軟性を表します。私は、男性には包容力や温かさを求めるので、どちらもとても素敵だとは思うのですが、今回は菊地さんの『LAND CRUISER 70』で」

総括

デカい車は”男のロマン”! 男のロマンは全然モテない!!