現代の「デートカー」を探る。『酒と泪と男と車』 第3回 西野大士 vs 中山慶人

by Seiya Kato

今では到底考えられない話だが、僕らが産まれたバブル期には自分が乗っている「クルマ」で女の子にモテようという邪まな考えがあったらしい。フェラーリ、ベンツ、ポルシェといった高級外車が飛ぶように売れ、若者達は「デートカー」なる”デートに最適な車”を無理してローンで購入する。そんな時代が、かつて、たしかにあったのだ。
けれども時は流れ、”クルマ”はいつしか男たちにとって、”モテるための道具”から”頼れる相棒”へと変化した。車はその人のライフスタイルを映す鏡であり、しばしば誰にも邪魔されない時間を提供してくれる自室そのものにもなり得る。
本連載『酒と泪と男と車』では、さまざまな分野で活躍するクリエイターに自慢の愛車に紹介してもらい、その魅力を存分に語ってもらった後、Mastered編集部が招いた3名の女性審査員が「どちらのクルマの助手席に乗りたいか」を完全主観でジャッジ。果たして僕らの”頼れる相棒”は、現代のデートカーになれるのか!?
第3回は、西野大士と中山慶人という2人のプレスに登場して頂きます。

Photo:Kazuki Miyamae

NISHINOYA プレス 西野大士の愛車 『MERCEDES-BENZ GELANDEWAGEN 230GE アーベントイヤー 1987年式』

「一生でこれに乗りたい」みたいなリストがあって、このクルマはその中の1台でした

— クルマに興味を持ち始めたのはいつ頃からですか。

高校生の時からバイクやクルマが好きで色々と乗っていました。僕の育った淡路島には電車がなく、クルマやバイクがないと移動できなかったんですよ。なので、興味というよりは常にライフスタイルに車がありました。ちなみに、18歳の時に初めて買ったクルマは『MINI COOPER』でした。

— このクルマを購入した経緯を教えてください。

これまで7台のクルマに乗りました。自分の頭の中で「一生でこれに乗りたい」みたいなリストがあって、このクルマはその中の1台でした。そろそろ買えるかなっていうタイミングになってから半年ぐらいずっと探していて、ようやく見つけた1台です。

— このクルマのお気に入りのポイントを教えてください。

メルセデスが日本上陸した時に限定50台で発売されたアーベントイヤーモデルと言って、ボディの下の方は小石などが跳ねても傷がつかない仕様になっていたり、助手席の端には蛇のようにぐにゃっと曲がるライトがついていたりします。これは助手席で地図を見ながら道案内をするための仕様なのですが、軍にも支給されていた実用的な名残が残っているところが特にお気に入りですね。センターのレッドの配色や、シートのギンガムチェックもかなり気に入っています。

— クルマでの休日の過ごし方を教えてください。

家族で公園に行ったり、遠出したり、海に行ったり。とにかくどこにでも行きます! ただ、このクルマに乗って走っていると、珍しいからか、とにかくよく写真を撮られますね(笑)。

西野大士(にしのだいし)

老舗・アメトラブランドの販売員を経て同ブランドのプレスに就任。
その後、フリーランスとして様々なブランドのPRを担当しながらトラウザーズ専業ブランド・NEAT(ニート)を立ち上げる。
現在は、プレスオフィス・NISHINOYAを経営し、国内外のおよそ20ブランドのPRを担当する。

URBAN RESEARCH プレス 中山慶人の愛車 『BMW 318i(E30) 1990年式』

フルノーマルで、余計なカスタムがされていないところが大きなポイント

— クルマに興味を持ち始めたのはいつ頃からですか。

地元が車文化ということもあり、免許は18歳で取りましたし、マイカーはずっと身近な存在でした。ただ、東京に出てきた当初はクルマを持てる程の余裕などある訳がなく、ここ最近になり、ようやく念願のマイカーを手に入れました。

— このクルマを購入した経緯を教えてください。

クルマに興味を持ち始めた当初から、1980〜90年代によく見られる少し角ばったフォルムが好きで、その年代のクルマに照準を絞っていました。また、自分の住んでいるところが住宅街で、細い道も多いことから、都内でストレスなく乗れる車種を探していて、この2つの条件にドンピシャだったのが、このクルマでした。群馬のお店で取り扱っていたクルマなんですが、わざわざ見に行って、一目で即決でしたね。幸い、距離もそこまで走っていなくて、状態も良かったので、いい出会いだったと思っています。

— このクルマのお気に入りのポイントを教えてください。

先程と重複しますが、コンパクトなので都内で乗るにも全くストレスがないところは気に入っています。前のオーナーさんも大切に乗っていたようで傷みもなく、所有して約3年が経つのですが、大きな修理もないクルマです。あとは、このクルマはフルノーマルで、余計なカスタムがされていないところが大きなポイントですね。

— クルマでの休日の過ごし方を教えてください。

休日は妻と一緒にランチや買い物、美術館などによく行きますね。2人とも古着が好きなので、都内近郊に古着を求め行くことも多いです。遠出をそこまでしていないので、ゆっくり休暇を取って、少し遠出の旅行でもしたいですね。

中山慶人(なかやまやすと)

PR会社を経て、2013年にURBAN RESEARCHのプレスに就任。
現在は、URBAN RESEARCHが展開する全ブランドのPRを担当するプレスマネージャー。

Judgement Time

某カンパニー現役バレリーナのRさん。

「クラシック調のカラーが可愛いので、西野さんの『GELANDEWAGEN』で。スタイル的にアウトドアも最高でしょうし、大きすぎないのも良いですね。車高が高いのが気になりますが、それすら特別感があってワクワクします」

2015年〜2018年にニューヨークへ渡米し、現在はテレビや広告、ファッションのヘアメイクをしているフリーランスのYさん。

Mac Miller(マック・ミラー)のクルマみたいでかっこいいので、西野さんの『GELANDEWAGEN』が良いです! 車内もゆったりしていて心地良さそうだし、無骨な形と上品な色合いのバランスが最高です」

某ラグジュアリーブランドの販売員として勤務しているKさん。

「夜の高速道路が似合いそうだから、中山さんの『318i』! あと、クルマの顔がとってもイケメンです」

総括

クラシックカーを購入する際は、よりレトロなカラーリングを選ぶべし。