現代の「デートカー」を探る。『酒と泪と男と車』 第2回 稲垣友斗 vs 高橋正典

by Seiya Kato

今では到底考えられない話だが、僕らが産まれたバブル期には自分が乗っている「クルマ」で女の子にモテようという邪まな考えがあったらしい。フェラーリ、ベンツ、ポルシェといった高級外車が飛ぶように売れ、若者達は「デートカー」なる”デートに最適な車”を無理してローンで購入する。そんな時代が、かつて、たしかにあったのだ。
けれども時は流れ、”クルマ”はいつしか男たちにとって、”モテるための道具”から”頼れる相棒”へと変化した。車はその人のライフスタイルを映す鏡であり、しばしば誰にも邪魔されない時間を提供してくれる自室そのものにもなり得る。
本連載『酒と泪と男と車』では、さまざまな分野で活躍するクリエイターに自慢の愛車に紹介してもらい、その魅力を存分に語ってもらった後、Mastered編集部が招いた3名の女性審査員が「どちらのクルマの助手席に乗りたいか」を完全主観でジャッジ。果たして僕らの”頼れる相棒”は、現代のデートカーになれるのか!?
第2回は、稲垣友斗と高橋正典という2人のスタイリストに登場して頂きます。

Photo:Kazuki Miyamae | Text&Edit:Seiya Kato

スタイリスト 稲垣友斗の愛車 『VOLVO 940 ESTATE POLAR 1996年式』

現行感はないけどクラシックでもない、ちょうどいい塩梅

— クルマに興味を持ち始めたのはいつ頃からですか。

アシスタント時代ですね。車番をしていたり、リサーチや返却で都内を回っていたりしている時に、何気なく停まっているクルマや通り過ぎる車を見ていて、自分も独立したらかっこいいクルマに乗りたい! と思ったのがきっかけです。東京は色んなクルマが走っているので、見ていて楽しいです。

— このクルマを購入した経緯を教えてください。

服や家具など、1980〜90年代くらいのものが結構好きで、クルマも漠然と現行のものより古いのに乗りたいなぁとは思っていて。最初はVOLVOの『240』もいいなと思ったのですが、あのクラシックな雰囲気は30代前半の自分にはまだ早いというか、乗っている自分を想像できなかったので(笑)。現行感はないけどクラシックでもない、ちょうどいい塩梅の『940』にしました。

— このクルマのお気に入りのポイントを教えてください。

ぱっと見、車体が長めに見えるのですが、意外とそこまで長すぎるわけでもなく。ただ、中は割と広々していて、洋服や色々な物がとにかくめちゃくちゃ入ります。仕事で使うものだし、なるべくストレスの感じないものがいいとは思っているので、トラブルも少なく満足しています。

— クルマでの休日の過ごし方を教えてください。

職業病なのか、ひたすら都内のショップや古着屋、家具屋を回ったりしてます。あとは、洗車。気に入ったシャツに丁寧にアイロンをかけるのと同じように、クルマもこまめに洗車しています。愛着も湧いて気に入っているので、いつ乗っても気分が上がります。遠方の自走もウェルカムです(笑)。

稲垣友斗(いながきゆうと)

2018年にフリーのスタイリストとして独立。
以降、ファッション誌、カタログ、アーティストなど様々な分野で活躍中。

スタイリスト 高橋正典の愛車 『JEEP CHEROKEE 2001年式』

学生の頃に映画で観た、かっこいいアメ車に一目惚れ

— クルマに興味を持ち始めたのはいつ頃からですか。

大学生の頃に映画『アメリカングラフィティ』を観て、かっこいいクルマを買いたい、乗ってみたいと思うようになりました。戦争映画も好きなので、軍用車のようなフォルムのクルマに憧れがありましたね。

— このクルマを購入した経緯を教えてください。

アメ車には上記の映画をきっかけに憧れもあったし、見つけたときに買わないと年々状態の良いものが少なくなってしまうんですよね。なので、日頃からチェックはしていたんですけど、買うつもりなく店に見に行ったらこれがあったので、一目惚れに近い感じで買いました。仕事柄、荷物をたくさん載せるのでサイズ感もちょうど良いんです。

— このクルマのお気に入りのポイントを教えてください。

シルバーともグレーとも言える、絶妙なカラーリングですね。正式にはメタリックグレーって表記らしいんですけど、あまり見ない色なのでとても気に入っています。

— クルマでの休日の過ごし方を教えてください。

買い物に行くことが多いですが、自然がきれいな山や川、BBQなどに行きたいです!

高橋正典(たかはしまさのり)

2017年にフリーのスタイリストとして独立。
以降、メンズファッション誌やタレントのスタイリングを中心に活躍中。

Judgement Time

大学卒業後に某セレクトショップに就職。その後、一児の母となり、現在も販売員として勤務しているMさん。

「昔からクラシックカーに憧れがあったので、稲垣さんの『940』ですかね。こんなおしゃれなクルマをファミリーカーとして使うっていう贅沢をしてみたいです」

生配信ライバーをやりながら自身が所属するバンドグループ、kaamos from tokyoのボーカルとして活躍しているMさん。

「これからキャンプなどアウトドアが盛んになっていく中で最適なクルマだと思ったので、高橋さんの『CHEROKEE』で。車内で音楽を流しながらドライブしたらますます気分も上がりそうですね!」

フリーターのHさん。

「色の感じも正面からの見た目も車高の高さも、ぜんぶ高橋さんの『CHEROKEE』がいい! 街より自然が似合うのが好きです」

総括

自然を愛するネイチャー女子が年々増加中! とりあえずキャンプに行ってみよう!