庄司信也 × 安孫子真哉 × 角張渉の『レコ道 ~ 音楽トキワ荘 2015 ~』 第1回(ゲスト:サイトウ “JxJx” ジュン)

by Mastered編集部

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世の中のほとんどのバンドは時が経てば忘れ去られちゃうんですが、FRUITYの桁違いのセンスっていうのは、今でも脈々と語り継がれているんです。(安孫子真哉)

— 自分で楽器を始めようと思ったきっかけは何だったのでしょうか?

JxJx:もちろんジェリー・ダマーズとか、ジャッキー・ミットーとか、またはオルガンジャズの人たちとかの影響が大きいんですが、原体験的な意味でいえば、またハワード・ジョーンズの話になっちゃうんですけど(笑)、ハワード・ジョーンズがグラミー賞でスティーヴィー・ワンダーと鍵盤でセッションしていたことがあって、それが自分の中ではかなりインパクトがあったんですよね。デュラン・デュランもいたし、洋楽に出会ったタイミングが、キーボードが格好良く見える時代だったってのが刷り込みで入ってるっていうのはあるかもしれないですね。それで家に妹のピアノがあったので、ちょっと習いに行ってみるかっていう、すぐヤメちゃいましたけど。

—レギュラーメンバーのお三方から見たジュンさんはどんな人ですか?

安孫子:とにかくセンスが良いです。後続の面倒見もいいし。本当に憧れます。十代の時聴いたFRUITYってバンドには本当に度肝を抜かれました。いち早くパンクに色々な音楽のサンプリング的な手法を取り入れていたり。残念ながら世の中のほとんどのバンドは時が経てば忘れ去られちゃうんですが、例えば角張君のやってたラジカセキングとか(笑)。FRUITYの桁違いのセンスっていうのは、今でも脈々と語り継がれているんです。

角張:僕も言うならば、ジュンさんのセンスにやられて東京に出て来たようなものなので。まぁ、その辺りは11月に発売された本に書いてあるので、そちらをチェックしてみてください(笑)。

庄司:僕の中ではジュンさんと一緒にいるってことは、甲本ヒロトさんと一緒にいることと同義なんですよ。だからLINEでやり取りするだけでも常にドキドキ(笑)。”庄司くん”ってジュンさんから呼ばれるのさえ、未だに不思議な感覚ですね。

— 逆にジュンさんはこの3人とどんな感覚で接しているんですか?

JxJx:この3人に関して言うと、「知ってる?昔、こういうバンドがいてね……」っていう説明をせずに、最初から細かい話が出来るところが、ものすごく楽でいい(笑)。実際、歳は離れていて、後輩は後輩なんだけど、ある意味友達に近い感覚でいれるってことですかね。

角張:先輩はみんな意地悪だったけど、ジュンくんだけが優しかった(笑)。

庄司:ジュンさんのそのスタンスは今でも変わらないですよね。

安孫子:ジュンさんの世代の方々はハードコアやパンクの人達はもちろん、まだメロコアとかの人達もみんな尖ってましたよね?

JxJx:どうだったんだろう。ただ、例えば、同世代のバンドの人たちで、バンドで食って行こうとか、みんな将来に対して何かしらのマジなビジョンは持っていた人たちが多かった気はするね。だから大きなバンドになっていったと思うんだけど、そんななか、自分たちはそういう類いのビジョンを一切持っていなかった(笑)。とにかく、自分の半径1メートル以内、超至近距離内での面白さを異常に追求していたんだよね。だから、当時は自分達のことを「好きだった」って人の存在を意識したことがなかったっていうか。FRUITYが終わって、YOUR SONG IS GOODを始めてから数年後にそんな人たちが急に現れてきて、ビックリしてたっていうのは覚えてるよね。マジか!って(笑)。しかもそれが自分たちが追求していた「超至近距離内での面白さ」みたいなものを共有できるセンスの人たちだったっていうところで、当然、一緒に遊んでみたら面白かった、というかバンド名だけで盛り上がれるというか。さっきの説明がいらないってところにつながって、最終的に『PUNK飲み』っていう遊びになると(笑)。あと単純に、自分が先輩たちのなかでやってきたところもあったから、年下の若者達っていう存在が、新鮮だったっていうのもあったかな。とにかく、そういう中から「一緒にやりませんか」って声をかけてくれたのが、うちの社長な訳ですけど。

角張:俺、年下に全然優しくないけどね(笑)。

安孫子:いつから一緒にやってるんでしたっけ?

角張:2001年からだね。

YOUR SONG IS GOODのアルバム『YOUR SONG IS GOOD』

YOUR SONG IS GOODのアルバム『YOUR SONG IS GOOD』

— それでは〆に、前回話していたように、各自、”今自分の中でアツいもの”と”今回の1曲”の発表をお願いします。

角張:最近自分の中でアツいのはイウォークですね。

庄司:なんでスター・ウォーズ?

角張:いやスター・ウォーズは見た事無いんだけどさ、この間J-WAVEに行ったらイウォークの人形が置いてあって、何これ超可愛いと思って調べたらスター・ウォーズのキャラだったっていう。実寸大のぬいぐるみ買おうと思ってます。

JxJx:昔、『イウォーク・アドベンチャー』っていうスピンオフ映画があってさ、劇場まで観に行ったんだけど、盛大にズッコケたのを良く覚えてる(笑)。それもまた良かったんだけどね。

安孫子: 俺はやっぱりTwitterかな。

一同笑

安孫子:デビューが最近なんで、まだ全然面白いですね。

庄司:最近、「しょうちゃん、Instagramってどういうことなの?」って聞かれました(笑)。

安孫子:インスタはまだ良く分からなくて、Twitterの方が断然面白いですね。みんなのスタンスがすごく良く分かるから。まぁ、これみんなが数年前に話していた内容の話だと思いますけど(笑)。

JxJx:自分は久しぶりに「海外の人達との交流」っていうのがアツいです。ハワイに友達が出来たんですけど、その友達ってのがハードディガーでついに自分で再発レーベルを始めたりしてて。自分達のアナログ音源とトレードしたり。そういうの、久々に超楽しいですね。あとは単純にハワイは最高って感じで。

庄司:そういう時はバンドで行くんですか?

JxJx: いや、完全にプライベート。新婚旅行で行って、ハマったのがキッカケ。ここ5年で8回行っちゃってる。

— ハワイの何がそんなに魅力的だったんですか?

安孫子:行けば分かりますよ! 1回しか行ったこと無いんですけどめちゃくちゃ良かったです。行く前は「なんで行かなくちゃいけないの?」ぐらいに思ってたんですけど、着いた瞬間、一瞬で「ウェーイ」ですよ(笑)。

JxJx:それに実は、パンク的な隅っこを叩くような楽しみ方も出来るっていう。最近では、8回の渡航によって収集したそういう知識を活かして、全くハワイに興味が無い人をその気にさせるスキルが異常なレベルで上がってきてますね(笑)。そして、将来的には現地のコーディネーターとして活躍したい、これ結構マジですよ(笑)。

庄司:俺は下山事件かな。なんか、あぁいう昭和の未解決事件みたいな話をずっと読んでます。

— なるほど。それでは皆さん、今回の1曲を発表して、お開きとしましょう。

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