「おしゃれに暮らす人」はどんな部屋に住んでるの?
『R-STORE FRIENDS on eyescream』 第1回:フォトグラファーの部屋

by Mastered編集部

「ベッドは人生の1/3を過ごす場所なんだから」なんて言葉を良く耳にするが、冷静に考えてみれば、そのベッドを置いてある自分の部屋にはもっと長い時間滞在している訳で、人生のほとんどの時間を過ごす「部屋」という空間には、ベッドのそれ以上に、自分のスタイルや好みを持ち込みたい。

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「ベッドは人生の1/3を過ごす場所なんだから」なんて言葉を良く耳にするが、冷静に考えてみれば、そのベッドを置いてある自分の部屋にはもっと長い時間滞在している訳で、人生のほとんどの時間を過ごす「部屋」という空間には、ベッドのそれ以上に、自分のスタイルや好みを持ち込みたい。

本日より新たにスタートするこの『R-STORE FRIENDS on eyescream』は不動産セレクトショップ『R-STORE』と共に、「おしゃれに暮らす人」がとことんこだわった「部屋」を分析していく定期連載。栄えある第1回は、我々編集者にとっては馴染み深い「フォトグラファーの部屋」だ。

第1回:フォトグラファーの部屋

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■今回の「おしゃれに暮らす人」
小澤達也(Tatsuya Ozawa) & 岡田ナツ子(Natsuko Okada)

小澤達也、岡田ナツ子、夫婦揃ってともにフォトグラファー。2人で運営する写真を中心とするキッチン併設のスタジオ「Studio Mug」を千駄ヶ谷にオープンさせたばかり。長年の出版社専属フォトグラファーの経験を活かし、ファッション、カルチャーなど活動の範囲は多岐にわたる。

千駄ヶ谷の静かな住宅街のなかに、通り過ぎた季節の数を感じさせる、味のあるマンションがある。築46年のマンションの外観からは想像がつかない、今回の部屋はフォトグラファー夫婦が改装を行い、スタジオとしても使用している場所。スタジオとしての使い勝手だけではなく、夫婦で相談しながら作り上げていった2人の人柄がにじみ出る数々のこだわりを伺った。

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— 扉を開けてびっくりしました、この大空間! いつからスタジオを使っていらっしゃるんですか?

小澤:このマンションはゆくゆく取り壊す予定でしたが、建物のオーナーが変わって、補修して残していける限り残そうと、“賃貸”にして募集を開始したタイミングで出会いました。住居にするのか事務所貸しにするのか決めかねていたようですが、お客さんに会ってから決めようと思っていたようです。たぶん、内装工事もここまでやるとは思っていなかったと思いますけどね(笑)。ここに引っ越してくるまで、私たちは、写真の仕事をする際に自分たちのスタジオを持っていませんでしたのでハウススタジオなどを借りて撮影を行っていました。ですから、ずっと探した末にやっと見つけた部屋でした。

— ずいぶん広いですが、ここはひとつの部屋だったんですか?

小澤:恐らく………。実はあまり全容がわからないんです。私たちが見た時は既にこの広さでガランとしていました。でも一目みて気に入ったので、内装工事をさせてもらうという条件で契約をしました。

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— まず、目に飛び込んでくるのが素敵なキッチンですね。

岡田:「スタジオなのに、キッチン!?」って感じですよね。撮影ももちろんですが、お茶をしたり、人が集う場所をイメージして内装を作り、話し合う中で、このキッチンが出来上がりました。

— 内装はどんなこだわりを伝えて作り上げていったのですか?

小澤:まず、写真の仕事は広いスペースが必要なので、それが第一のテーマでした。極力空間を作りたかったんです。それから、撮影の内容に応じて壁がかけ替えられるように、幾つか壁材のパターンを持ち、臨機応変に対応できるような作りにしてくださいとお願いしました。設計は妻の高校の同級生でコンストラクターの河合宏幸氏HAND creative factoryにお願いしました。彼は家具の工房などで働いていた経験から木の素材を活かしたデザインが得意な人でした。いつもハウススタジオなどを借りる時に気がつく「もう少しこの部分、高さがあったらいいのに」とか「動かせればもっと良かったのに」といったちょっとした要望みたいなものを、できる限りこの小さい部屋に詰めこめればいいなと思って作りました。

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— それは具体的にはどんな部分?

岡田:撮影をしていると「いま白壁があったら良かったのに茶色しかなかった!」なんてことがあるんですね。選べる幅の広さというか、選択肢はたくさんあったほうがいい。だから壁の材質はさまざまなものを採用して、取り替えられるようにいくつかストックも持っています。そういう意味では幅をとってしまう、キッチンを作るかどうかはギリギリまで悩んでいたんです。彼は無し派で、私は欲しかった(笑)。絶対にキッチンがあったらいろいろな事が広がっていく、と思っていました。

— 実際はキッチンを作って良かった?

小澤:良かったですね(笑)。

岡田:キッチンに関してはそれぞれにこだわりがあって、キッチンの位置や、材質について3人で意見が別れました。河合さんは天板を大きめに使いたい、広くしたい、オープンキッチンにしたい、など。でも私たちは極力場所を広く設けるためにコンパクトなキッチンを想像していました。話し合いの末、いまの形に落ち着いたんですが結果的にはキッチンがこのスタジオの顔になっている部分が大きいので、良かったなと思っています。

— お二人は普段どんなジャンルの撮影を手がけているのでしょうか?

小澤:私は主にファッションの撮影ですね。それに付随する商品撮影やモデル撮影なども行います。ですから撮影には白い壁、引きで撮ることのできる被写体との距離などが必要になります。

岡田:私はカルチャー周りですね。もともとは着物撮影がスタートでした。2人で所属していた出版社があって、長年「社カメ(会社所属のカメラマン)」として仕事をしていました。それぞれ独立した後、昨年1つのスタジオとして2人一緒にここを開いたんです。現在は様々なクライアントさんとお仕事をしています。先日は子どもの撮影があって、この空間にキャンプ用のレジャーシート、テントを置いて大騒ぎで撮影しました。

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— 家具やインテリアを選ぶ基準は?

岡田:なるべく物を持ち込みたくないと思っているのですが、やっぱり棚がない、椅子がない、なんて、その時々でインテリアを集めて行ったら自然とこれらが集まったんです。一応、無地のものに統一はしていますね。後は、撮影の際に子どもたちが入りたいと思えるようにちょっとした小物や絵本を集めて置いてあります。

— 部屋を作り上げて行くプロセスを伺っていると楽しそうですよね。

岡田:お互いにカメラマンですので、「こういう空間にしたい」という意見は一致することが多かったのですが、やはり男性と女性では求めることが異なる部分もありました。私にとっては「水回り」はとても大切。キッチンもそうですが、トイレや手洗いを充実させたかった。長時間居る場所ですし、働く人も、招かれる人にとっても心地よい空間って、水回りが充実しているかどうかにかかっているなと感じます。

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— 自分たちの家を1から作り上げていくことに不安はありませんでしたか?

岡田:そういう経験があったわけではありませんが、物事に対して「変化していく楽しさ」って大事だなと思っています。実際にこうして空間に手を入れると、生き返って心地よい場所になる訳ですからね。

小澤:仕事やプライベートでヨーロッパやNYに行くことが多いのですが、そこで見たものを参考にすることも多いですね。日本も「壊して作る」のではなく、「直して使い続ける」文化になっていけば良いなと個人的には思います。

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