2018年4月の「うますぎる店」 3選(Personal Lists)

by Kentaro Kabaya and Keita Miki

巷に溢れる「リストもの」では一切食指が動かないというワガママな僕らの為のリストを編集部員が、そしてゲストエディターが、自由気ままにパーソナルな視点で作り上げる『Personal Lists』。
今月もBAL(バル)の蒲谷健太郎氏をゲストエディターに召集し、2018年4月の「うますぎる店」 3選をお届け。
日々、様々な飲食店に足を運ぶ蒲谷さんが2018年4月に足を運んだ「うますぎる店」をチョイスしてもらいました。

1. メゼババ

こんなお店ばかり紹介していると怒られそうですが、質実剛健なイタリア料理で多くの人を魅了してやまない愛しの亀戸メゼババ。

ちょっとご無沙汰でしたが、高山シェフにしつこく連絡していたら運良く席が空いたようで、「どうですか?」とお声がけいただいた。嬉しい!

以前旅行でイタリアに行った際に、ナポリ、アマルフィ、シチリア、フィレンツェと回ったのだけど、ごはんで印象深かったのはシチリアとフィレンツェ。田舎料理のような家庭的な料理を出すお店を中心に回って、その魅力にすっかりやられた次第ですが、メゼババは現地感ということにおいては右に出るお店はないと思います。

とにかく一口食べた瞬間から、「あぁ、イタリア!」と思わせる説得力が半端じゃない。古典的だけど誰にも真似できない、高山さんの領域までたどり着くまでに、どれだけの努力と、才能が必要かと思うと気が遠くなりますね。旅行に行く価値と同等であれば、その値段も決して高くはないかなと思います。とにかく圧倒的な美味しさ。

まずは泡で喉を湿らせ、ガスパチョ。冷たいスープLOVE。「トマトの旨味が!」とかっていう次元じゃない旨さ。

鯛の温かいカルパッチョ。熱した油をかけることでプリッとした食感と引き出す鯛の甘み。たまらんです。

「次の料理までお時間いただくので」とサービスで頂いた水ナスのフリット。注文を我慢していたので嬉しかったな(笑)。なんかこう力強さがある。こちらの揚げ物も飛び抜けた美味しさがある。

シャンピニオンのソテーは野性味のある旨さ。キノコ料理の美味しさを味わうと、ベジタリアンになれそうな錯覚に陥る。なれないんだけど。そもそもバター使ってるし。(あ、きのこのソテーといえばファントム・スレッド)

赤は上品な軽めをお願いする。そして、久しぶりの鶏バター。胸肉なのにしっとり美味しさが閉じ込められてる奇跡。フィレンツェの銘店ソスタンツァのシグニチャーとしても有名。思い出すな~。劣らぬ美味しさに思わず小躍りする。

ハイハイきましたパスタ。最初はレモンのパスタ。シンプルなものほど力量が試されますよね。ひっくり返る美味しさ。

お次の雲丹のパスタは、「メニューにはないけど出来ますよ」とおっしゃっていたので迷わず注文。太麺モチモチが贅沢高級雲丹と絡んでアホかというくらい美味しい。あとでインスタ見たらカッペリーニで食べてる方がいてそっちも良かったなと思ったけど、全く後悔しないほど美味しかったのでまあいいか。

シメはグラッパやデザートワインで、と思ったけど、ゴッドファーザーでお馴染み結局カンノーリも食べて昇天。腹パン。高山さんごちそうさまでした。

【メゼババ】
東京都江東区亀戸6-26-5
TEL:03-3636-5550
https://tabelog.com/tokyo/A1312/A131202/13163222/

2. BISOU(ビズー)

広島の尾道に旅行に行ってきました。
料理家の重信初江先生が訪れていて、とっても気になっていたお店。

昼に行こうと思っていたお店が臨時休業で、こうなったらお昼を我慢して早く行こうと予約時間を早めてもらった。ワガママを言ったのに快く対応してくれた。まだ明るい時間からお酒を呑む幸福感。

アンオフィシャルだけどTシャツも作らせてもらった『ルイジュリアン10.5%』があったので早速オーダー。ガブガブ飲めて早い時間帯にもぴったり。

最初のオーダーでお皿が運ばれた時に、「やった!この店は最高だ」と確信したチーズのたっぷりかかったカルパッチョ。ルックスの良い意味での裏切り感がすごい。それに劣らない美味しさ。生魚とチーズとは。

マッシュポテトと自家製ボンレスハムと書かれていたこちらも、ハッとするルックス。なんとも食欲をそそる。ハムの下にマッシュポテトが隠れているのでハムですくって食べる。うまうま。

スズキのディープフライも思い切りの良い盛り付けで顔がにやけてしまう。新玉ねぎの甘みがガリガリの香ばしい衣と合う。あったらつい注文してしまう卵料理は牡蠣とパクチーのオムレツ。ちょっと余力を残しておきたいのでここで〆。蜜っぽい白ワインをオーダー。

アプローチが新鮮で東京にはないタイプ。遠方からでもわざわざ行く価値のあるお店。個人的には鎌倉のコマチーナ、筑波のダダダなんかでも同じ感覚を味わいました。尾道に行く機会あれば是非。

【BISOU】
広島県尾道市久保2-5-24
TEL:0848-38-9700
https://tabelog.com/hiroshima/A3403/A340302/34020516/

3.串かつ 一口

尾道の二軒目は串揚げの一口に。
尾道といえばここというほどの有名店。

予約もしていなかったので「入れるかな?」と行ってみると満席。そりゃそうだよな。名前を告げて散歩。フェリー船に乗ってみたり、ぶらぶらと街を散歩。昔の建物がかなり残っていてあまりないタイプの街。「そろそろかな?」と行ってみるがまだいっぱいだったので外で待たせてもらう。満を辞して入店した時にはお腹がすいてきた。

まずはキスをいただく。衣はかなり薄め、上品で控えめな甘さのソース。まったく油を感じさせないほどにサラッとしてる。「うはっ、めっちゃ旨いぞ」とニヤニヤしてしてしまった。

とんからは衣なし。素揚げですな。脂が美味しい。

そして度肝を抜かれた穴子。醤油に本わさびを溶いて、穴子の溝の部分に流し込む。これがびっくりするくらい美味しい。思わず笑顔で「うまっ」と口に出していた。

海老も火の通し具合が完璧で海老の甘みが閉じ込められている。さっきもわりとしっかり食べたけど、いくらでも食べられるぞと、鯨(衣なし)、鯨(衣あり)、臭みもなく赤みの旨さがジュワッと広がる。

イカも衣なし。歯に心地よい抵抗の噛み応え。鹿児島の米焼酎というサワーも美味しかった。

いや~串揚げという概念が180度ひっくり返るほどに美味しかった。高級天ぷらのようなアプローチ(でもお会計は優しい)。天ぷらは蒸し料理というが、串カツも同じだなと。寡黙で真剣な眼差しの大将と、軽妙だがほどよく緊張感がある息子さんの客さばきも見ていて気持ちが良い。

次回尾道に行った際も必ず行きたい。聞きしに劣らぬ銘店でした。

【串かつ 一口】
広島県尾道市久保2-5-24
TEL:0848-37-9723
https://tabelog.com/hiroshima/A3403/A340302/34003235/

POSTED BY

蒲谷健太郎

1999年創業のbalanceweardesignを経て、都市環境に順応したトータルウェアとグラフィックの提案をコンセプトに、1990年代のミックスカルチャーにインスパイアされたリアルクローズを展開する。音楽とファッションの親密な繋がりをものづくりに反映したハイカジュアルなストリートウェアに定評あるBALのデザインを担当。