藤井健太郎のoff-air 第8回:オークラ

by Keita Miki

規制だ、コンプラだ、とネガティブな言葉が飛び交う昨今のTV業界。だけど、そこにはまだまだ尖ったヤツらがいる。マスメディア界の異端児、藤井健太郎がホストを務める連載『藤井健太郎のoff-air』では毎回さまざまな分野の個性を招き、昔ながらのクジ引き形式で出たテーマに沿ったり逸れたりしながら、電波にはのらない放談をお届け。テレビじゃ聞けない裏話や驚きのアイデアが飛び出すかも知れないし、飛び出さないかも知れない。見逃し厳禁、規制がかかるその前に。
第8回目のゲストは、『バナナサンド』、『ゴッドタン』といった人気番組を担当する放送作家として知られ、2021年12月には自身初の著書『自意識とコメディの日々』を出版したオークラ。

Photo:Rintaro Ishige | Text&Edit : Keita Miki | 収録日:2022年3月31日

自分たちの作っているものに価値があって、今の時代にちゃんと商売として成り立つのかってことを知りたくて。(オークラ)

— 毎度恒例ですが、まずはお2人の関係性から伺えますか。

オークラ:顔なじみになったのは2009年のキングオブコント。その時に東京03を一緒に担当をしてくれたのが藤井くんだったんです。当時は今みたいな感じじゃなかったと思うんですけど、突然すごい頭角を現し始めて(笑)。

藤井:まぁ、あの時はコントのお手伝いをするだけでしたからね。

オークラ:同業でリスペクトすべき人だなと思っています。

— プライベートでも会ったりするんですか?

藤井:それはほとんど無いですよね。

オークラ:うん、仕事で会った時に話すくらい。以前から藤井くんと一緒に仕事がしたいなと思っていて、僕の方からちょこちょこアピールしている最中です(笑)。忙しくて全然構ってくれないから。

藤井:いやいや、そんなことはないですけど(笑)。そういえばこの前、さらばのやつ(2022年3月に開催された『さらば青春の光×藤井健太郎 ~テレビでもネットでもできないし、個人事務所じゃなきゃできない映像LIVE~』)に来てくれましたよね。

オークラ:そうそう。僕がやれるジャンルではないんですけど、ああいう、お客さんを集めて直接お金を払ってもらうダイレクト課金みたいなシステムにはすごく興味があって。藤井くんの名前があると、それだけでなんとなく期待しちゃうし、ちゃんとその期待に応える内容になっていたから「これは良いな、こういうことだよな」と思いました。

藤井:労力と採算を照らし合わせたら、全然ビジネス的に割は良くないんですけどね。

オークラ:でもさ、あれを続けていけば今後はもっと大きな会場でも出来るんじゃないの?

藤井:それが、大きい会場は借りられないんですよ。内容的に(笑)。

オークラ:まぁ、内容は微調整出来るでしょ。女の子だけの公演もめちゃくちゃ盛り上がってたって聞いたし、ちゃんとファンが育ってるのがすごいよ。僕は1万人以上のお客さんがいればエンターテインメントはビジネスとして成功するって考え方なので、全然イケると思うんですけどね。普段、無料で提供しているものにお金を払ってくれる人って意外と少ないんですよ。けど、藤井くんの作る笑いはお金を払ってでも観たい人がたくさんいるんだなって。そういう意味では、これから新しいビジネスが始まる感じがしたし、面白かったです。

藤井:冒頭から、すっごいお金の話(笑)。

オークラ:僕も今年で49歳なので、あと何年この仕事を出来るのかなって考えると、やっぱりお金を儲けるシステムは考えておかないと(笑)。

— 実際、藤井さんとしては、さらばのライブの手応えはどうだったんですか?

藤井:2年前に1回やってたんで基本は思っていた通りの反応だったんですけど、たしかに女性限定の公演には不安もありましたね。結果的には、しっかりウケていたので良かったかなと。

オークラ:今後、継続的にやる予定は無いの? あのシリーズというか、タッグを組む芸人が次回もさらば青春の光なのかは分からないけど。要は『水曜日のダウンタウン』を20倍くらい過激にしたような、あの感じ。

藤井:テレビで出来ないような内容っていう意味ではやりたいんですけどね。現実的にはスケジュールの余裕もあんまり無いし、なかなか難しいかも。

オークラ:けど、藤井くんみたいな人が配信とかで稼いでくれないと、今のテレビディレクターは夢が持てないよ(笑)。

藤井:配信が主流の時代になって、芸人さんにしてもそうですけど、コンテンツを生み出す側に球があるようには感じますけどね。

オークラ:なんかお金の話ばっかりしてるように見えちゃうけどさ(笑)、お金が欲しい訳じゃなくて、自分たちの作っているものに価値があって、今の時代にちゃんと商売として成り立つのかってことを知りたくて。だからテレビ番組でも数字が良い番組じゃなく、個性的な番組が気になっちゃうんだよね。ましてや、今はバラエティが変革期を迎えている時期な訳で。そういう中で藤井くんが次にどういうことをやるのか、気になって仕方ない(笑)。

— 2人でこういう話をすることってあるんですか?

オークラ:僕が聞いてばっかりですけどね。藤井くんはこの通り、のらりくらりとしていて、あまり自分のことを話すタイプじゃないから。

藤井:でも、まぁお金がどうこうじゃなく、仕事の健全な話ですよね。僕も基本はやっぱり褒められたいですし(笑)。

オークラ:もっと褒められて良いと思うしね(笑)。一時期、本当に面白いバラエティの特番は映画館で上映した方が良いんじゃないかなって考えてたことがあって。20年前ぐらいの『めちゃイケ(めちゃ×2イケてるッ!)』の特番とかさ、全然映画館で観ても良いレベルだなって。

藤井:今回はテレビじゃなくて映画にしました、的なね。

オークラ:今、地上波でそういう番組をやってる人って藤井くんぐらいしかいないなって個人的には思うし、むしろ藤井くんには映画監督に近しいものを感じるっていうか。なんかすごい褒めてばっかりになっちゃうけど、藤井くんの作品ってヴィジュアルアート的に見ても突出して完成度が高いじゃないですか。テレビって枠の中だとそういうのが理解されないことも多いだろうなと思いながら、いつも観てるんですけど。だから、藤井くんのすごさがもっと広まってほしいんですよね。藤井くんのことをただの悪い人間だって思っている人も多いと思うから(笑)。

藤井:この前のライブとかも観る人にはよっては過激さだけが際立つ内容なんだけど、誰がやっても面白くなる訳ではないぞというか、そこには細かいテクニックもちゃんとあるんだぞ、っていう。だから、ただ単純に過激さだけを評価されても嬉しくないし、もちろん題材ありきなんだけど、「その題材を面白くするのも結構大変なのよ」ってことを理解してほしい気持ちはありますかね。

オークラ:藤井くんの作品は、ナレーションの言葉1つ取ってもいちいち面白いしね。

藤井:そういうのも意外と加減が難しいし、ちゃんと笑えるようにするのって簡単な作業じゃないですからね。

— オークラさんは先日『自意識とコメディの日々』を出版し、藤井さんも2016年に『悪意とこだわりの演出術』を出版。藤井さんは、この連載の第1回目のゲストとしても登場してくれた渡辺淳之介さんとの対談本『悪企のすゝめ 大人を煙に巻く仕事術』の出版も控えている訳ですが、やっぱり本を出すのって大変ですか?

藤井:今度出るのは対談の本なんで、そこまでではないですけど、自分で書くのはめちゃくちゃしんどかったですね。本を出したからといって大して儲かる訳ではないですし、コストパフォーマンスはすごく悪いと思います(笑)。

オークラ:ほんとにそうだよね。100万部とか売れたら話は変わってくるんだろうけど、裏方の話に興味がある人ってそんなに多くないから。

藤井:でも、オークラさんの本は結構売れてますよね?

オークラ:うーん、まぁ多少は儲かってますけど(笑)。

『自意識とコメディの日々』

『悪企のすゝめ 大人を煙に巻く仕事術』

— では、そろそろ1つ目のクジを引いてみましょうか。

オークラ:はい……”最近の邦画”。

— 『ドライブ・マイ・カー』の受賞もありましたので。

オークラ:面白い映画は面白いんですけど、観る人を選ぶ作品が全体的に多いですよね。こう、内に入った世界観というか。

藤井:その意見はめちゃくちゃ分かります。

オークラ:”丁度良い大作”が無いっていうかね。まぁ、映画の方がテレビよりもさらに”しがらみ”が大きいというか、「この人を出すなら3日しかスケジュールが取れないです」みたいな状況の中で、出演者側の事務所が「台詞の量をもっと増やせ」とか平気で言ってくるらしいんですよね。そういうことが多々あると。けど、大手資本が「あの人をキャスティング出来ないならお金払わない」みたいな話もあって、結局は同じようなタレントばかりを起用しちゃう。別に僕が映画界を変える必要は全く無いんですけど、なんかバラエティとかやりながら、この感じをそのまま映画館のスクリーンで見せるっていうイベントはやってみたいかな。

藤井:収益構造的な話も含めて、日本の映画界はちょっと捻れている部分がありますよね。

オークラ:そうそう。ハリウッド映画みたいな開けた感じのものを、今の日本ではなかなか作ることが出来ない。

— 単純に観ている側からしても邦画の”内輪感”みたいなものはすごく感じます。でも、お2人とも邦画もチェックしているんですね。

藤井:観たい気持ちはあるんですけど、僕は全然追いきれてないです。

オークラ:藤井くんは忙しいから。自分で映画を撮ることには興味ないの?

藤井:うーん、ちょっと現状ではイメージが湧かないですね。

オークラ:今やっていることをそのまま映画に持っていっても全然良いと思うけど。

藤井:きっちりした”作りモノ”ってなると、自分よりも得意な人が世の中に山ほどいますからね。自分にとってはもうちょっと遊びがあるものの方がやりやすいというか。

オークラ:けどさ、こないだの尾形くん(パンサー)の落とし穴のやつとか、あれはもう映画じゃない。藤井くんはあえてああいう感動的な感じにしたんだと思うけどさ。実際感動したし。なんか良い映画を観た後に近い感覚はあったよ。

藤井:あれはたまたま。そういう素材が撮れたので(笑)。

オークラ:日本の映画ももっと色々なジャンルがあっても良いのにね。藤井くんが好きにやったら、”それは映画じゃない”って言う人も出て来るんだろうけどさ、それはそれで良いというか。

— 日本で真っ当に”映画”を撮ろうとすると、観客側としてはどうしても外国のものと比較してしまいますしね。素人でも予算の差が露骨に分かっちゃうというか。

藤井:同じ金額払うんだったら『スパイダーマン』とかの方が満足度は絶対高いですからね。

オークラ:今の邦画は訓練された人が観ないと面白くないもんね。普通の女子高生が観ても面白いって思わない気がする。それは演劇の世界にも言えることだけど。実際、演劇のお客さんとか僕らの世代よりもさらに年上だもん。本当に若い人が少ない。

藤井:たしかにちょっと伝統芸能化している感じはあるかも。

— 次のお題にいってみましょうか。

オークラ:くじ引きますね。……”好きな本、好きな作家”。僕は井沢元彦さんの本が好きですね。『逆説の日本史』。

藤井:あの方、元TBSの社員だって知ってます?

オークラ:そうなんだよね。昔、1回だけラジオで話したことがあって。

藤井:僕も昔は結構、本を読んでたんですけど、最近は小説とかは全然読めてなくて。読むのはもっぱらノンフィクションばっかり。不良が書いた本とか(笑)。

オークラ:不良の話、好きだよね~(笑)。

藤井:最近は不良がすぐに本を出すんで。発作的に”買わなきゃ”って(笑)。作家で言うと、村上龍とかは学生時代に良く読みました。書き手としての能力の高さというか、表現一つとっても素人の物書きの延長線上にあるものじゃないなって感じがして、好きでしたね。

オークラ:村上龍の作品は、その上できちんとストーリーにもなってるしね。でも、僕も最近の小説家さんはあまり分からないかも。それこそYouTubeとか、Netflixとか、世の中に選択肢が多すぎて本はどうしても後回しになっちゃいますよね。で、自分で本を書いて思ったけど、身近な人が想像以上に読んでないっていう……

一同笑

オークラ:みんな会った時に感想を言ってくれるんだけど、明らかに最初の50ページくらいの話だったりして。多分、途中で読むのやめたんだろうな(笑)。むしろ、関係のない人の方がちゃんと読んでくれている感じはします。

オークラ
放送作家
1973年生まれ。群馬県出身。脚本家、放送作家。バナナマン、東京03の単独公演に初期から現在まで関わり続ける。主な担当番組は『ゴッドタン』、『バナナサンド』、『バナナマンのバナナムーンGOLD』など多数。近年は日曜劇場『ドラゴン桜2』の脚本ほか、乃木坂46のカップスター ウェブCMの脚本監督など、仕事が多岐に広がっている。

— 次のテーマに行きましょう。

オークラ:……”2010年代”。

— 気付けばもう2022年ですので、お2人にとっての2010年代を総括してもらおうかなと。

オークラ:『水曜日のダウンタウン』っていつから始まったんですか?

藤井:2014年です。

オークラ:まさしく藤井くんの時代だね、2010年代は。

藤井:流石にそれは大げさですけど、僕が世に何かを放てるようになったのは、たしかに2010年代ですね。オークラさんも2010年代の前半は結構テレビの仕事をやってましたよね?

オークラ:2010年代に入ってから、放送作家って職業を見直そうと思って。自分でディレクションをやってみたり、舞台の演出をやってみたり。色々なことにチャレンジしたのが2010年代かな。テレビが全てじゃないって感じがにおい始めてきたのが、2010年代初頭。

藤井:『はねるのトびら』は何年までやってました?

オークラ:2012年。なんとなく2003年ぐらいからお笑いブームが始まったイメージがあって。でも、同時に芸人がパワハラとかコンプラとか、そういうことを言われるようになったのも2010年代なのかな。

藤井:今や芸人以外のMCなんてほとんどいないですもんね。

オークラ:僕達が若い頃は芸人は芸人の番組、それ以外はそれ以外って感じだったけど、どんな番組にも芸人がいて当たり前の時代になったよね。逆にいわゆる”THE お笑い番組”っていうのは少ない気がする。

藤井:番組のパーツとしてお笑い芸人が起用されている感じはありますよね。例えばラーメンの番組だとしたら、ラーメンのVTRを見せて、それをスタジオで食べるんだろうけど、芸人がVTRにもスタジオにもちょっとした笑いを入れてくれる、みたいな。作り手の立場からすると、笑いが無いと編集でリズムが作りづらいんですよね。

オークラ:その分、エンタメがテレビ以外のプラットフォームで充実していって。YouTubeとかも2010年代半ばからって感じだよね。AKB48とか、ももクロとかも2010年代の話だし。

藤井:音楽に関して言うと、2010年代はスーパースター不在って感じがしますね。

オークラ:まぁ、浜崎あゆみとか安室奈美恵とかと比較するとね。ジャンルの細分化が影響しているんでしょうけど、カリスマ不在の時代なんですかね。

藤井:万人に影響を与えるようなカリスマはもう出てこないのかも。

— 次のお題にいってみましょう。

オークラ:……”好きな果物”。

前回のスーパー・ササダンゴ・マシンさんの回で”好きなお菓子”ってテーマが結構盛り上がりまして。今回はオークラさんがゲストなので、果物かなと。

オークラ:ぱっと思いついたのは、みかんですね。

— バナナじゃないんですね(笑)。

オークラ:昔から思ってたんですけど、果物が好きな人って格好良いですよね。果物を食べる人って、人生に余裕がある感じがしますもん。

一同笑

藤井:食べなくても生きていけますからね(笑)。余裕がある感じはする。一人暮らしだったら、まず果物って食べないですもん。

オークラ:王様の食べ物だよね。

藤井:でも、近年でいうと、シャインマスカットはかなり革命的だったかな。

オークラ:いや~あれは革命的だね。おぎやはぎとか、バナナマンとか、たまたま自分の周りには果物が好きな人が多いので、色々と触発はされますよ。先輩が着てるブランドの服を自分も着るみたいな感覚で。

— ちょっと分かる気がします(笑)。じゃあ、どんどんクジを引いていきましょう。

オークラ:……”YouTubeとNetflix”。もうYouTubeは朝倉未来1択ですね。それまでは格闘技に全く興味が無かったんですけど、去年くらいから朝倉未来の影響でめちゃくちゃ好きになっちゃって。

— テレビの世界の人がここ2、3年でYouTubeに一気に流れ込んできて、相対的にYouTubeのコンテンツの質が上がったように感じます。

藤井:面白いものの総量は増えてるんだけど、数が多い分、一撃の力は弱いって感じもしますけどね。今のビジネス的には正しいんでしょうけど、なかなかそこで自分が勝負する気にはならないというか。

オークラ:まさしくその通り。でも、藤井くんだって必ずどこかで次の一手を求められる訳じゃない。

藤井:それはそうですね。ただ、僕の場合は他人からカッコ悪いとか面白くないとか思われたくないって気持ちがすごく強いので(笑)、自分の名前が出るものに関しては、常になるべく全力でやりたいなと。

オークラ:Netflixとか配信系は?

藤井:うーん、まぁお誘いがあればですかね。焦らず、のんびりやりたいなとは思ってまして。

オークラ:今、何歳だっけ?

藤井:41で、もうすぐ42歳になります。

オークラ:のんびりとは言っても体力面の問題はあるけどね。僕は38歳で1回ドーンときて、45歳を過ぎてからもう一発すごいのがきたよ。

藤井:昔みたいに徹夜でいける感じはもう無いですよね。朝まで作業することはあるけど、その後にちゃんと寝ないと。でもたしかに、自分がやれるうち、求められるうちにやっておかないと後悔するよなって気もしますね。

藤井健太郎
TVディレクター
1980年生まれ、東京都出身。大学卒業後にTBSテレビに入社。入社3年目で『リンカーン』の立ち上げに参加し、その後『クイズ☆タレント名鑑』等を演出・プロデュース。現在は『水曜日のダウンタウン』などの番組を手がけ、話題や火種を生んでいる。

オークラ:じゃあ次も僕が引きますね。……”理想のおじさん像”。

藤井:これは難しいテーマ。

オークラ:最近、知り合いのADが辞めちゃったんだけどさ、個人的に結構仲良くしてたのよ。で、辞める前にその子の上司に「ちょっと話聞いてあげてもらえますか」みたいなことを頼まれたから、2人で呑みにいって。自分なりに色々と考えて「今辞めるのはもったいないと思うよ」って感じで引き止めたんだけど、その翌日に会社を辞めてたんだよね。

一同笑

オークラ:結局、若い人はおじさんの言うことなんて聞かないんだよなっていうか(笑)。その時はその子も「ありがとうございます……」ってめちゃくちゃ泣いてたんだけどさ。その場、その場では感動するんだよね(笑)。

藤井:良い話ですね。コントに出来そう。

オークラ:一番面倒くさいのは、自分に影響力があるって思い込んじゃってるタイプのおじさん。たまに親戚のおじさんとかで、やたらと昔の自慢話をする人っているじゃない。結局、おじさんなんて何とも思われてないんだから、それを覚悟して生きるべきなんだよね。それさえ分かっていれば、害の無い、素敵なおじさんになれるんじゃないかな。藤井くんは若い子から相談とかされたりするの?

藤井:いや、全然されないですね(笑)。

オークラ:『水曜日のダウンタウン』のADの子たちは楽しくやってる?

藤井:楽しくやってる方だと思いますけど、どうなんだろ。そんなにギチギチに追い込んだりする人ももういないですし。

オークラ:今の時代はすぐにパワハラだって話になるからね。

藤井:まぁ自分では分からないですけど、相談しやすいタイプではないんでしょうね。

オークラ:みんな藤井くんのオーラにビビっちゃってるんだよ。

藤井:でも、モテそうな雰囲気だけは保っておきたいと思いますけどね、おじさんでも。実際がどうかっていうのは別として。

— 次のお題にいきましょう。

オークラ:……”締め切り”。これはもうギリギリに提出することしか出来ないです、僕は。最近、さらに悪化していて本当にヤバい。

藤井:もともとだいぶ遅いタイプですもんね(笑)。

オークラ:何とかしなきゃいけないとは思ってて。最近は後輩と待ち合わせして、店に一緒に入って、そいつを隣に座らせておいてやってる。

— 後輩を監視役にするってことですね。

オークラ:あとは単純に仕事をちょっと減らしてるかな。間に合わないと悪いので。

藤井:東京03のライブでも、本番の前日に本があがってくるって話ですもんね。

オークラ:最高の設定を思いつくまで、ずーっと考えちゃうんですよね。それはドラマをやっている時もそうだったんですけど。ドラマの台本って意外に「あ、こんなもんで送るんだ」ってレベルで送る人が多いみたいだけど、僕は舐められたくないから、完璧な状態で送りたくて。

藤井:ドラマは準備稿の段階でロケの仕込みとかが始まるんですよね?

オークラ:そうそう、第1稿から第8稿まで出して、その後に準備稿って感じで。そのスケジュール感でやるとドラマ以外の仕事が出来ないってことが良く分かったし、そこまで自分がドラマが好きかって言われるとそうでもないから、あんまり最近はドラマの仕事をやってないんだけど。

藤井:ドラマ専業の作家じゃないと難しいですよね。

— 藤井さんは余裕を持って仕事を進めるタイプですか?

藤井:僕はオークラさんほどギリギリになることは無いですね。作家と違って、最終的な作業もこちら側になるので、ギリギリで進めると結局しんどくなるのは自分だから。

オークラ:ちゃんと大学に行ってた人は締め切りも守るんだよな~。

藤井:いやいや、そんなことはないでしょ(笑)。

オークラ:制作会社とかもっとだらしないから。みんなギリギリ。でも、藤井くんみたいなタイプの方が絶対に良いものを作ると思うよ。

— では、次が最後のお題です。

藤井:僕が引きますね。……”この夏にしたいこと”。最後っぽいテーマで良いですね。

オークラ:僕の今年の目標は、TikTokで動画をバズらせること。自分の名前は出さずに内緒でやろうと思っていて、既に制作も始まってます。

藤井:TikTokerみたいな存在をプロデュースするってことですか?

オークラ:そうそう。ダンスの動画なんだけど、うまくいけばバズるんじゃないかなってアイデアがあって。

藤井:僕は普通に海外に行きたいですね。息抜きに。

オークラ:そういえばさ、前に偶然、宮古島で会ったことがあるよね。飛行機に行くまでのバスの中でさ。

藤井:ありましたね(笑)。今年は最低でも沖縄には行きたいな。