Photo:Rintaro Ishige | Text&Edit : Keita Miki | 収録日:2025年1月28日
—お2人は実家がご近所さんだと藤井さんから伺いました。
藤井:そうですね。一昨年のM-1のタイミングかな、僕が彼のWikipediaを見まして。そうしたら出身の小学校が一緒だったんで「マジか!」と思って。僕が自分のSNSにそれを書いたんですよね。
くるま:はい、そうでしたね。
藤井:で、年が明けてから『水曜日のダウンタウン』に来てもらった時に「実家ってどの辺なの?」という話をしまして。詳しく聞いていくとどんどんと範囲が狭まってきて、そうしたら、もう小学校が一緒どころの話じゃなくて、お互いマンションなんですけど本当に自分の実家の目の前が、くるまの実家だったという(笑)。
くるま:これ以上ない距離感ですよね。まさしく”目の前”。ちょっと怖かったです(笑)。生活していた範囲が本当に全く一緒なので「この公園の植え込みがどうだ」とか、そういうレベルで地元の話が出来ます。
—収録以外でも2人で話すタイミングはあったんでしょうか。
藤井:流石にその収録の合間だけじゃちょっと話し足りなくて、1回ご飯に行きましたね。
くるま:Google Mapの航空写真を見ながら、大人になってからしたことのないトークを展開しました。大人ってこんな話するんだっけ、みたいな。頭がおかしくなりそうでした(笑)。同窓会とかなら全然分かるんですけど。
—それでは早速ですが、1つ目のテーマお願いします。
くるま:……”引き際”。いきなりすごいのが来ましたね。
—まぁ『水曜日のダウンタウン』はTVerで凄い再生回数を叩き出していますし、令和ロマンはM-1で連覇を達成している訳じゃないですか。なんかこう、客観的に見ると天下を取っているような状態にも見えまして。で、そうなってくると、やはり同時に引き際みたいなことも考えたりするのかな、と。
くるま:自分はまだ何も考えていないですね。引くも進むもないというか、まだまだ上り始めた状態だと思っているので。なんならまだ来年のこととかも考えていないんで(笑)。目の前のことで精一杯ですね。
藤井:まぁでも、色々な人を見てきて、こういう引き際は格好良いなとか、そういう理想像はあったりします?
くるま:うーん、難しいですけど、絶頂期というか、自分の最高の状態で活動を終えるみたいなことは考えていないですかね。野球選手とかでもギリギリまで、ボロボロの状態でもやっている人が好きかもしれないです。そっちの方が自分には合ってるんじゃないかなと思いますし。だからM-1とかも本当はこれから先も出続けて、徐々に成績が下がってくるのもそれはそれでエモいんじゃないかなと(笑)。M-1、15年目。身体もネタもボロボロで、1回戦敗退。そういう方が素敵なんじゃないかなと思ってしまいます。藤井さんはどうですか?
藤井:前にこの連載でも話したことがあると思うんだけど、毎週のレギュラー放送はもう今のやり方だと単純にペースがしんどくなってきていて。本当はそれなりに時間をかけて、年に何本か強めのコンテンツを作るみたいな方が自分のスタイルには合っているはずなので、『水曜日のダウンタウン』が終わったら、レギュラー番組はもうあまりやる気がないかな。
くるま:テレビ局の人って定年とかありますよね?
藤井:うん、それはもちろんあるけど。
くるま:皆さん、その後はどうしてるんですか?
藤井:いや、定年っていうのはあるけど、続けようと思えば色々な形で仕事を続けることは出来るから、60歳を越えてからも仕事を続けてる人はたくさんいるよね。特にドラマの人とかは定年超えてもまだまだ現役バリバリの人がたくさんいるし。
くるま:そうか、藤井さんの場合は芸人とは違いますもんね。そういう意味では一応、区切りはあるんですね。
藤井:けど、求められる限りは仕事を続けると思うよ。たくさんはやりたくないけど。何もしなかったら絶対に退屈になってくるだろうし。そう考えたら自分も割とダラダラしたフェードアウトになるのかもしれない(笑)。出演者だけじゃなく、作り手側も最後は求められなくなってくるだろうし。
くるま:たしかにそうですよね。芸人というか漫才師って師匠たちを見てると何歳で辞めるのがベストとか、本当に分からなくなってくるんですよね。歳をとっててもめちゃくちゃ面白い師匠ってたくさんいらっしゃるし、劇場でもしっかりウケてるんですよ。というか、おじいちゃんが人前に立って漫才をやってるって、それだけで面白いんですよね。全部どうでもよくなってて、スベったら「お客さんが悪い」とか言ってるんですよ(笑)。もうそれ、逆にめちゃくちゃ格好良いんじゃないかなとか思っちゃって。
藤井:さっきのドラマの話もそうだけど、やっぱり笑いが一番難しいからね。
くるま:俳優さんとかは年配になればなるほど貫禄が出てきて、それはそれで需要が生まれるみたいなこともありますもんね。
藤井:お笑い以外で何かやりたいことはあるの?
くるま:今の話じゃないですけど、お芝居は真剣にやってみたいですかね。舞台とか。元々興味があったんですけど。めっちゃ芝居が上手くなってからの漫才の方が面白いんじゃないかなと思っていて。自分が出演した作品がヒット作になったら、その映画をネタにした漫才とかも出来るじゃないですか。「今これは何を観てるんだ? 映画? お笑い?」的な。それって意外と漫才の歴史上に無かったものなんじゃないかなと。
—藤井さんはバラエティ以外に興味がある分野ってあるんですか?
藤井:どうですかね、ドラマ的なことは多少考えたりしていますけどね。でも、普通のドラマをやっても仕方ないので、何か自分なりの特殊な要素を加えたもので、あとは何よりタイミングが合えばって部分もあります。じゃあ、次のテーマにいきますね。……”コンプレックス”。
髙比良くるま
1994年生まれ、東京都練馬区出身。慶應義塾大学在学時に、学年がひとつ上だった松井ケムリと「魔人無骨」という名前でコンビを結成。その後、NSC東京校へ入校し、2019年に現在のコンビ名である「令和ロマン」に改名。NSC在学中から『M-1グランプリ』に出場し続け、2023年に初の決勝進出を果たし優勝を勝ち取ると、翌2024年にも優勝し史上初の2連覇を達成した。M-1と漫才を完全考察した著書『漫才過剰考察』(辰巳出版)好評発売中。
—何かありますか? ご自身のコンプレックス。
くるま:これは色々なところで話してるんですけど、中途半端というか、器用貧乏というか。
藤井:あ、それは自分も同じかも。
くるま:練馬コンプレックス(笑)。都会でもないし田舎でもないし、実家も貧乏でも金持ちでもない。そこそこに辛い経験もあり、そこそこに楽しい経験もあるけれど、他の芸人さんがお持ちのような素晴らしいエピソードは1つもありません。話を盛るにしても1すら無いんです。1を10にする、その1が無い。
藤井:何かに特別秀でているっていう認識は僕も子供の頃からずっと無くて、割となんでもそこそこ上手にはこなせるけど、っていう。
くるま:めちゃくちゃ分かります。
藤井:自分がこういう感じになるとも思ってなかったでしょ?
くるま:その通りですね。
藤井:もちろん、自信満々でお笑いをやってきた訳でもなく。
くるま:おっしゃるとおりです。だから「お笑い芸人を夢見て東京に来て、夢、叶えました」みたいな人たちに対してはすごく羨ましい気持ちがありますね。なんとなく流されてきただけで、優勝しようが、連覇をしようが、本気で泣いたりは出来なくて。
藤井:流されて辿り着いたところで頑張ったら、意外と上手に出来た。そういう感覚だよね。
くるま:ストーリーが無いんですよね。みんな人生にストーリーがあって、本当に格好良いなと思います。
藤井:そこは全く一緒だよ。テレビは好きだったけど、別にお笑いをやりたかった訳じゃないし。
くるま:けど、それに対してはもう諦めが付きましたね、自分の中で。もう今更どうしようもないんで。全部諦めてます。
一同笑
藤井:そう考えたら我々はコンプレックスが強いタイプではないのかもね。
くるま:表に出すようなタイプではないですね。もう逆に会いたくないですもん、コンプレックスの強い人に(笑)。大阪で生まれたかったとか、島に生まれたかったとか、芸人になったばかりの頃は思いましたけど。もうでも、それはどうしようもないことなんで。
—では、次のテーマにいきましょう。
藤井:……”仕事と就活”。
—月並みですが、若い時にやっておけば良かったなと思う事や、若い子たちに向けたアドバイス的な話を伺えればと。
くるま:大学生とか高校生とか、ありがたいことに結構若いファンの方とも直接接する機会が多いんですが、「選択肢が多すぎて、何がしたいのか分からない」みたいな悩みは多く耳にしますね。けど、逆に今の時代、健康でさえいればどうとでもなるじゃないですか。悩んで止まっている時間が一番勿体無いですよね。いくらでもやり直しはききますから。
藤井:大学の時に就職することは考えたの?
くるま:1年生で留年しちゃって、諦めましたね。なんかもう良いかなって。もう無理、1年生で留年しちゃうなんて、俺はなんでこんなに雑魚なんだと思って(笑)。
藤井:留年したのは遊んでたから?
くるま:いやもう本当にお恥ずかしいんですが、パソコンがめちゃくちゃ苦手で単位の申請を間違っていたんですよ。前期分しか申請が出来ていなくて。申請していない授業に後期は出ていた訳です(笑)。真面目に大学は行ってたんですけど、途中で大学から言われるまで全く気付いていなくて。で、もう俺こんなことで失敗するんなら、普通の会社に入っても絶対に迷惑かけるじゃん……って。テレビ局のバイトを先輩から紹介してもらって、学費を払いながらバイトしてたらあっという間に4年経ってました。卒業してから何しようかなとか思ってたんですけど、吉本はクビにならないと聞いたのでそのまま吉本に逃げ込んだって感じです(笑)。
藤井:なるほど。普通に企業に就職した同世代はどう? うまくいってそう?
くるま:いや~、僕らの世代はどうですかね、まだみんな結構悩んでるのかな。ちょうど30歳ぐらいで、辞めたり、転職したり、そういう時期なんですかね。もう下の世代との競争は無理ですよ。小さい頃からダンスを踊ってるんですから。20代はダンス出来る奴が大半を占めますよ。俺、ダンス出来ないですもん(笑)。ダンスが出来なきゃ、TikTokは出来ないんです。そしたら、もう仲間じゃない。ダメです、終わりですよ、ダンス出来ないんですから。
藤井:小学校の授業でダンスやってる世代だもんね。
くるま:もうずっとダンスですよ。終わりです、ダンスが出来ない人は。
一同笑
藤井:ダンスはさておき、さっき話していた通り、いくらでもやり直しはきくから一旦チャレンジしてみるっていうのが大事かなとは思いますね。今の時代、必要以上に慎重にいく必要はないのかなって感じます。
—選択肢が多すぎるって話は、たしかにな~とか思っちゃいますけど。
くるま:なんで、自分がやっていることに後からカテゴライズが付いてくる時代なんだと思います。ラジオとか対談とか、この1年、色々な成功者と呼ばれるような人と話す機会があったんですけど、結局みんな、たまたまそれをやってたら他人からこう呼ばれるようになって、「じゃあそれで」って。そんな人ばっかりですよ。でも、大抵の人は企業に入って普通に働いている訳で、起業しなきゃいけないのかって言われたら、全然そんなことはない。本当にやりたいことが無かったら、頑張って銀行とか入ろう。良いじゃん、それで。次、いきますね。……”ストレス解消法”。藤井さん、ストレス溜まってますか?
藤井:どうなんだろうね、仕事しかしてないから、そういう意味では溜まってるのかな。でも自分のやりたくない事はやらなくていい感じになってきているので、ストレスの量自体は少なめだと思う。ただ、社会人になってから20年以上一切運動をしてないから、流石にちょっと身体は動かしたくなってきたかな。けど、単純に時間がないよね。その時間があるなら、もうちょっと仕事のここを詰めたいなとか、そうなっちゃう。
くるま:忙しい。
藤井:完成がない仕事でもあるから、時間があればある分だけ仕事に使っちゃう。遊ぶよりジムに行くより、もうちょっとVTRのクオリティを上げたくなっちゃうし、その方が結果的に自分の満足度も高いんだと思う。
くるま:はぁ~、全然ないですよ、それ。俺、仕事してないんだなって思いました(笑)。僕の場合はストレス解消法っていうか、抑止法ですね。自分の中では、ストレスって発生したらもう終わりなんですよ。解消とかしなくて、もう嫌な日は一生残るじゃないですか。だから、そうなったらダメなんです、絶対。睡眠を充分に取って、栄養もちゃんと取れている状態で、健康な身体に負荷をかけないということに本気で取り組む。当たり前のことなんですけど、意外とみんなやらないんですよね。だから、インフルエンザもコロナも1回もないですよ。たくさん寝て、ちゃんとご飯を食べて、毎日を楽しく過ごしているので(笑)。あとは、自分1人の時間を作っちゃうと色々と考え込んじゃったりするので、とにかく予定を詰めるってことですかね。例えば明日スケジュール空いたら、整体行って、美容院も予約して、夕方から歯医者も行こう、みたいな。予定さえこなしていれば不安にならないので。マイナス思考の人には、考える隙間を与えないことが重要ですね。僕が1人で考える時間に意味なんて無いんですから、そのスペースを与える必要がないんです。
藤井:ネタとか考える時間はどうしてるの?
くるま:全く設けていないです。ネタ作り、してないんです。この3年ぐらいネタ作りって時間は無いですね。移動の時間とか、楽屋とかで喋った内容を「じゃあそれを舞台上でやってみるんで、ちょっと突っ込んでみてください」って感じで。で、実際やってみたらなんか全然上手くお客さんに伝わらなかったから、次はこうしてみよう、と。1日3ステージとか多い時は10ステージくらいあるので、それを繰り返していたらどこかでネタは完成するので。まぁ、動画は全部撮ってもらっているので、それを送ってもらって、これはウケたからやろうとか、そういう”良いパーツを組み合わせる”みたいな作業はしているかもしれないですね。次にいきましょうか。……”好きな動物”。
—ペットとか飼っていらっしゃいますか?
藤井:子供の頃に犬は飼ってましたけど、大人になってからは飼ってないですね。
くるま:なんかそれも練馬の特徴なのかもしれませんね(笑)。ペットを飼っている家って周りにそんなに多くなくて。けど、大人になると動物に興味がないだけで、めちゃくちゃ引かれるじゃないですか。
一同笑
くるま:いやいや本当に。特にお笑い界隈。
藤井:最低限、嫌いではない感じにはしておきたいよね(笑)。
くるま:みんな、めちゃくちゃ生き物が好きなんですよ、お笑いの人たちって。僕は結構フラットなんですけど、もうそれだけで結構ヤバい奴扱いです。
藤井:多分みんなが動物を好きすぎて、平均値が高いんだろうね。
くるま:唯一、ペンギンにだけには興味があって。親がめっちゃペンギン好きだったのもあるんですけど。でも、皇帝ペンギンだけなんですよね。皇帝ペンギン至上主義。家の中に皇帝ペンギンの写真とかも飾ってあって。皇帝ペンギンは自分も格好良いと思います。生き物じゃない感じが格好良いんですよね。生き方が合理的すぎて好きです。赤ちゃんの時は可愛がってもらうためのフォルムをしているのにデカくなったら毛も全部生え変わって、可愛らしいフォルムも捨てて、泳ぐためだけの空気抵抗0の無敵の身体になるんですよ(笑)。マジで格好良いです。次にいきましょう。
藤井:……”好きなお菓子”。
藤井健太郎
TVディレクター
1980年生まれ、東京都出身。大学卒業後にTBSテレビに入社。入社3年目で『リンカーン』の立ち上げに参加し、その後『クイズ☆タレント名鑑』等を演出・プロデュース。現在は『水曜日のダウンタウン』などの番組を手がけ、話題や火種を生んでいる。
—この連載の定番の質問です。
くるま:僕はポテチですね。もう本当に好きで。
藤井:量、食べちゃうよね。
くるま:そうなんです。一袋、全部食べちゃうんですよ。手が止まらないんです。好きすぎて、『ラヴィット!』の利きポテチも全問正解しました。地味な味とかも全部当てて、引かれましたもん、ドン引き。スタジオが変な感じになりました。藤井さんは何かありますか?
藤井:最近、グミ買っちゃうかも。
くるま:へ~、グミ好きなんですね。
藤井:夜中にコンビニに行って新しいのが出てると、一応食っとくかって感じで。
—今、コンビニはグミがめちゃくちゃ充実してますもんね。昔はガムだったコーナーが全部グミに変わった感じがあります。
くるま:ガムは淘汰されましたよね。
藤井:街中に捨てるところも無いから。
くるま:なんか板ガムって格好良いなって思ってますもん、最近。みんながやっていないことって格好良く思えちゃいます。
藤井:たしかに板ガム食べてる人は今いないね。焼肉屋で最後にもらうぐらい?
くるま:あとは、ガムって車文化の一部みたいなところがありますよね。今は車に乗る人は板ガムじゃなくて、ボトルのガムだと思いますけど。ガムについてはこれからも応援していきたいですね。では、次に。……”クソリプとの付き合い方”。
—お2人ともX(旧Twitter)をやっていらっしゃいますので。
くるま:僕は今は見ないようにしていますね。エゴサとかもしないです。XになってからのUI的な問題もありますけどね。Twitter時代は見やすかったんですけど、Xになってから色々と冷めました。あんなに愛していたのに(笑)。Twitterはかなり初期から手を出していて、学生時代は夢中だったんですけど。ありがたいことに本を出せたり、ライブだったり、YouTubeだったり、自分を切り売りすることに多少は価値が出てきているので、SNSに無料であげるのもなんか勿体無いかなという。お金を出してもらっている人たちに申し訳なくなってきちゃって。ただ、他人の長文でのリプ合戦は本当に素晴らしいし、見応えがあると思います。学者さんと社長さんが大量の文字数で言い合っているとか、そういうのはたまらないですね。なんでそんなに収まりがつかないんだろうっていう(笑)。
藤井:そこに終わりはないもんね(笑)。
くるま:そう、お互い、終わりはないし折り合いがつくこともないって分かっているはずなんですけどね。賢い人たちが、それでもなお長文で発信したいっていう謎の欲求、お互いの正義感のもとに発信している落としどころのない会話っていうは、未だに見応えがあります。
—藤井さんは他人のつぶやきとか、見たりしますか?
藤井:フォローしている人たちの発言は見ます。Xの左側、なんていうんでしょう、オススメ欄みたいな、あっち側はあまり見てないですね。
くるま:でも今、デフォルトだと左側にいきますよね?
藤井:そうそう、それを毎回戻さないといけないのが結構手間で。リプで飛んで来たものはある程度目に入っちゃいますけど。
くるま:今はインプレゾンビみたいなのもいて、そうなってくるとリプも全然追えないですよね。もうインターネットは終わりました。全然ダメです。はい、次にいきましょう。……”最近読んだ本”。
—これはそのままですね。
くるま:本、読めないんですよ俺。
藤井:書いたのに?
くるま:地獄でしたね(笑)。
藤井:一冊書くのしんどいよね。
くるま:ほんとに。人によると思うんですけど、自分は会話脳と文章脳がはっきり分かれているタイプというか。たまに文章みたいに喋る人いるじゃないですか。直接話すと違和感があるけど、LINEとかだと言いたいことが上手くまとまっている、みたいな。僕はその逆で、喋っている時は理路整然と喋れるんですけど、それを文字にしようとすると上手にまとまらないタイプなんです。だから、結構特殊な書き方をしたと思います。自分で喋ってそれを録音して、文字起こししてからまとめるって感じで。というか、全然話は変わりますが、Google Pixelの文字起こし機能、あれは秀逸ですね。普通にこんな感じでばーっと喋っても、ほぼほぼその通りに文字起こししてくれるんですよ。
藤井:昔みたいに変にハキハキ喋らなくても良いんだ。
くるま:全然大丈夫です。あっそれで言えば『繁栄』って本を読みましたね。賢い外国の方が書いた本なんですが、少子化とか色々とこれから世界はどうなっちゃうんだって話が多いですけど、長いスパンで見れば確実に人類は繁栄しているんだっていう。ありがとう!って感じの本です。
藤井:僕も買うのは相変わらずたくさん買ってるんですけど、全然読めてなくて、でも、2003年大晦日の格闘技の本(『格闘技が紅白に勝った日 2003年大晦日興行戦争の記録』)は読みましたね。2003年って自分がTBSに入った年で、うっすらと当事者だった部分もあって。当時、バラエティとか情報の部署に所属していたんですけど、格闘班の仕事も少しだけ手伝ってたんです。なんでちょっと事情を知っている部分もあり、面白かったですね。
—ではそろそろお時間ですので、次で最後のテーマにしましょう。
くるま:……”令和のエンターテインメント”。
藤井:M-1の前日に連絡くれたよね。「明日、名探偵津田の”1と2”的な漫才をやります」って感じで。で、実際に見てみて、なんか色々繋がった感があったんだよね。名探偵津田の”1の世界と2の世界”の話がまた違う形で表現されたというか。
くるま:なんか、素直に嬉しかったんですよね。自分なりに漫才をすごく考えた結果として出来たのがM-1の2本目のネタだったので。感じたことのない”被った嬉しさ”もあったし、名探偵津田を見て、なんであの漫才が面白いかがはっきり分かった気がしたんです。
藤井:なんとなく感覚の近い部分もあるのかもね。お互い特に意識はしていないけど、今の時代感とか色々なことを反映して面白いものを考えた結果、自然と被ったのかも。
くるま:転生ものとかも結局はそういうことですよね。もう物語の構造自体が飽和状態で、1周してメタ化させていくしかないというか。
藤井:もう一手間、というね。
くるま:名探偵津田のお陰で自信が確信に変わったんです。「あ、これやっぱり面白いんだ、良かった」って。