— なるほど。真っ当すぎてぐうの音も出ません。次のクジ引き、行きましょうか。
渡辺:……「エンターテイメント」ですね。
— どんどん概念的なものが増えてきますね。
渡辺:僕、これは生涯のテーマだと思ってるんですけど、僕の会社を総合エンターテイメント企業にしたくて。でも、「エンターテイメントってなんなんだろう」ってことが本当に分かんなくて。僕はミーハーなんでディズニーランドも『ボヘミアンラプソティ』も好きなんです。あと、ドラマとかでお母さん死ぬシーンとかがあると結構泣いちゃうんですよ。そのくらい感じやすくて、結構わかりやすいやつなんですけど、真逆の難しい人たちを相手にするときにどうしたらいいのかとか、いつも考えてます。「これはエンターテイメントなのか?」って。やっぱり色々な人の顔が浮かぶんですよ。「この人は満足してくれるかな?」、「この人はよかったって言ってくれるかな?」とか。まだ僕の中にブレない芯みたいなものがあまりないので、いろいろ考えちゃう。
藤井:僕はテレビをやってるから多くの人に楽しんでもらわないといけないし、間口は狭くしちゃいけない。でもその中で好きな人はちゃんと深さも感じられるようなものにしたいなと思ってて。パッと見ただけの人は気づかなくてよくて、上部だけでも面白い。でも、映画とかなんでもそうだと思うんですけど、好きな人はちゃんと突っ込んでさらに面白く感じられるようなものにしたいなと思ってます。あと、サービス精神みたいなものは気にしてるかもしれないですね。ここでこんなものがあったら、オマケがあったらもっと楽しんでもらえるんじゃないか、とか。それがテレビって範囲の外にあってもいいかもしれないし。
渡辺:僕も最近それが分かってきました。藤井さんはルールを守りながら大きなことを出来るようにしてきたのがすごいなと思ってます。僕がインディーでバンドをやってたときとかは誰からも相手にされないし、関わったらヤバい腫れ物みたいになってました。学校もそんな理由で大嫌いだったんですけど、だからこそ中に入って、何かをすべきだったなって。せっかくそこにある箱に入れてもらっているんだから。って、今はめちゃくちゃ思いますね。結局はみ出しちゃって、はみ出したらはみ出したでこんなに辛いのかってことも味わったし。
— ”歩くチンポ”がさらにはみ出しちゃってたわけですもんね。
渡辺:最悪ですね(笑)。
藤井:(笑)。それを聞くと、渡辺さんは”今が一番いい”をずっと更新していってる感じがしますけどね。僕も、「昔、あんときの方がよかったなぁ」って思うことはあまり無いですし。昔に戻りたいとも思わないし、使えるお金が増えたり、やりたいことが形になったり、今が1番楽しい気がします。
渡辺:そうですよね。あれ、なんか最終的には結構いい話になりましたね(笑)。