— そしたら、この辺で次行きましょうか。
くっきー!:……”テレビメディア&インターネットの未来”。うわ、分からへんなこれ。
藤井:分かんないです、僕も。なるようになればいいと思ってます。僕もテレビ局の人間だけどシステムの方はあまり関係ないというか、大きな意味で言えば出てる側と一緒で、与えられた枠のその中のことしか考えてないから。ただ、パターンは増えてると思いますね。
くっきー!:あぁ、そうですね。
藤井:出しどころも増えて、やれることの種類も増えてるから。Amazon Primeの『ザ・ワールドチャネリング』みたいなものも昔だったらテレビでやれても深夜でひっそりで、そんなに注目もされず流れていっちゃいそうだけど、今は目立つところにちゃんと置いてあって、好きな人がそこに集まるようになってるから。多くの人に刺さらなくても、少ない人に深くちゃんと刺さる魅力があればそこにお客さんがついてビジネスになりやすくはなってるので。
くっきー!:インターネット系に関しては芸人としては嬉しいですよね。テレビが太軸にあって、やりたいことがあったらこういうところでパパパンとできるんで。
— くっきー!さんは出られる場所は結構気にされますか?
くっきー!:出られるところはどこでも出たいっていう感じですけど、一応なんとなく覚えてきたというか。ここではコレやったらアカンねんな、っていう。『やりすぎ』で1周したときの感じはアカンっていうのは分かりました。
藤井:アハハ(笑)。
くっきー!:振られるの分かってたら答える事ってなんとなく考えるじゃないですか? 瞬発的に。そのときに3つぐらい出して。昔だったら”ペニス”って言ってたのを”ちんぽこ”にするか”陰茎”にするか、やっぱ”ペニス”で行くかっていうスリーチョイスにはなるんですけど。昔はそれこそ”オメコ!”とかもそのまま言ってたんで、それも女性器って言うようにするとか、”湿りヒダ”にするとか。その辺のチョイスは大人になったので、幅が広がったというか、使われやすいタレントになりました。
藤井:(笑)。
— 売れたいっていう気持ちはどれぐらいあったんですか?
くっきー!:売れたいっていうより”好きなことをやりたい”っていう気持ちの方が強かったですね。ひねくれものでもあるんで、”こんなちゃんとした番組でも関係なくいったれ”っていうのは昔はあったと思いますけど。今はそのチョイスがというか、ギリギリのラインを攻めるのが楽しいというか。「ここではこれ言うたらアカンの、はいはい、分かってますよ。このぐらいにしときましょか?」みたいな。でもいかんせん僕、めちゃめちゃ飽き性なんで、ほんま部活とかも全部1年で辞めてて。なんとなく基礎が分かったら飽きちゃうんです。下手したらお笑いも理解したら辞めちゃうんちゃうか、怖いなと思いつつも。藤井さんはこの先もずっとテレビマンですか?
藤井:どうなんですかね。僕も今は普通に楽しいですけど。最近になってやりたいことが増えてきた気はしますね。テレビの中であっても、例えばドラマとか、ドキュメンタリーみたいなのとか。バラエティももちろん好きですけど、ずっとやってるとやっぱり飽きちゃうから。
くっきー!:それはまたガチドラマですか?
藤井:まぁ、多少変な要素は入れたくなると思うんですけど。
— くっきー!さんがドラマに出るとしたらどんな感じになるんですかね?
くっきー!:でも僕、連ドラとかに何個か出してもろたことあるんですよ。でもフタを開けたら、結果バケモンみたいな役ばっかりですね。ほぼほぼセリフもなく「うわぁ~」とか言ってるだけの。
藤井:(笑)。
くっきー!:本当はセンチなお父さん役とかやりたいですよ。娘が嫁に行く前日にこたつで「お母さん、日本酒ちょっと飲もうかな……」とか。でも来ないっすね。バケモンばっか。物言わんバケモノ。藤井さんがもしドラマとか映画とか撮られる時は、センチな役をぜひ。
藤井:はい(笑)。次のクジ行ってみましょうか。
くっきー!:えーっと、うわ出た。”自分にとってのヒーロー”。ヒーローねぇ、誰やろ? でも憧れてたってことでしょ?
藤井:お笑いはやっぱりダウンタウンさんですか?
くっきー!:ダウンタウンさんととんねるずさんです。小学校のとき観てたのは完全にその2組です。ノリさんもめちゃめちゃ好きでした。ダウンタウンさんは殿堂入りというか。誰観てはりました?
藤井:僕もダウンタウンさんですよ。とんねるずさんは世代が少し違うかもしれないです。
くっきー!:藤井さん今いくつですか?
藤井:今39歳です。
くっきー!:『みなさんのおかげです』とかは?
藤井:やってましたし、活躍もされてたけどドンピシャではなくちょっとズレてて。『仮面ノリダー』とかも、パロディというより普通のヒーローものみたいに見てたり。
くっきー!:そっか。僕は43歳やからね。とんねるずさんとか、無茶苦茶じゃないですか、あの人たち。タカさんが誰かとわ~っとカラんでる中、ノリさんが後ろで急に水に飛び込ん出るのが見切れてたりとか。子供心に「すごい邪魔してはんな」と思ってワロてまいました。そういうのがなんとなくクラッシャーと言うかデストロイな感じはしましたよね。
藤井:音楽的には誰ですか?
くっきー!:音楽はやっぱりパンクバンドですよね。海外系が多かったですね、日本はオイ!パンクってコブラぐらいしかおらんくて。バンドブームやったんでメジャーじゃないとこで言うたらいっぱいおるんですけど。藤井さんはバンドブームよりちょいズレか。
藤井:はい。僕らより3つ、4つ下になるとまたAIR JAMとかの世代でバンドが来てたんですけど、僕らは中学ぐらいからちょうどヒップホップが盛り上がってきたタイミングなんで。
くっきー!:え? 藤井さん、出身どこすか?
藤井:僕、東京です。
くっきー!:だからヒップホップとかあったんすね。滋賀には届いてねぇな、ヒップホップ。
藤井:(笑)。1995、96年ですよ。
くっきー!:カラーギャングとか出だした頃ですか?
藤井:それはもうちょっと後ですね。
くっきー!:怖くなかったですか? カラーギャング。僕めっちゃ怖かったんですよね。色を揃えたギャングってなんやねん、東京行くの嫌やなって。
藤井:(笑)。東京に来たのはわりと遅かったですもんね?
くっきー!:10年ぐらい前ですかね。でもデビューしてすぐの頃、”銀7”、吉本の銀座7丁目劇場に出てたんですよ。あと、『ボキャブラ天国』に出てたんで、それで渋谷に行ったりとかしてたんですけど、怖ぁて怖ぁて。
藤井:そんなに怖くないですよ(笑)。
くっきー!:そのときは大阪拠点だったんですけど、夜行バスで相方と2人で来ました。渋谷のセンター街に入るぐらいのとこに鰻屋ありません? そこにいつも行ってました。「ギャングとかこんなとこ絶対来ぇへんやろ」って言って。