藤井健太郎のoff-air 第3回:くっきー!(野性爆弾)

by Keita Miki

規制だ、コンプラだ、とネガティブな言葉が飛び交う昨今のTV業界。だけど、そこにはまだまだ尖ったヤツらがいる。マスメディア界の異端児、藤井健太郎がホストを務める新連載『藤井健太郎のoff-air』では毎回さまざまな分野の個性を招き、昔ながらのクジ引き形式で出たテーマに沿ったり逸れたりしながら、電波にはのらない放談をお届け。テレビじゃ聞けない裏話や驚きのアイデアが飛び出すかも知れないし、飛び出さないかも知れない。見逃し厳禁、規制がかかるその前に。
第3回目のゲストは、近年色々な意味で存在感を増し続けているコメディアンのくっきー!。無二の個性と実力を持ちながら、長らく不遇の時代を過ごした気鋭芸人、型破りな芸風に隠れて見逃されがちな、その素顔がちょっと見えてきた。

Photo:Shunsuke Shiga | Interview&Text : Rui Konno | Edit:Keita Miki | 収録日:2019年10月31日

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売れたいっていうより”好きなことをやりたい”っていう気持ちの方が強かったですね。(くっきー!)

藤井:よろしくお願いします。

くっきー!:あ、よろしくお願いします。

— 2人の初仕事はどの番組だったんですか?

くっきー!:『(クイズ☆)正解は一年後』とか?

藤井:いや 『(クイズ☆)タレント名鑑』の時とかも確か。

くっきー!:せや。『タレント名鑑』も何回か。

藤井:あとは『キリウリ』とかも。

くっきー!:『キリウリ』ってどんなんでしたっけ?

藤井:(千原)ジュニアさんと宮迫さんがMCで、大喜利のオークションみたいな。

くっきー!:ありましたね!

藤井:そんな感じでわりと昔からですよね。レギュラーで、っていうわけじゃないですけど、僕がくっきー!さんを好きで良く出ていただいてたって感じですね。

— サシでお話しされるのは?

くっきー!:今までは打ち上げでしゃべるとかそんぐらいで、ゆっくりしゃべるのは初めてですよ。こんな対面(トイメン)で。僕は完全にお世話になってる側なんで。出してもろてるというか、死体に血を入れてもらったみたいな。

藤井:いやいや(笑)。

くっきー!:藤井さんが絡むヤツってだいたい売れていません? (レイザーラモン)RGとかもそうやし。(ハリウッド)ザコシショウとかも。

藤井:そうなのかな? まぁ、皆さんもともとが面白いし、時間は掛かっても結果ちゃんと売れることが多いですよね。そうならないこともありますけど。

くっきー!:あかつとかですか?

藤井:あかつは別に面白くないっすね(笑)。

くっきー!:いやいや、あかつオモロいですやん(笑)。まぁ、裏オモロいというか。面を切ってオモロいタイプではないですけど。

藤井:いや、僕はもちろん面白いと思ってるんですけど、一方であかつさんとかには余計なことしちゃったのかなとも思っていて。僕が変に多用してなかったらもっと違う道があったかもしれないかもな、って。なにせ他でまったく見ないですから(笑)。

くっきー!:変な命与えちゃったかなっていう(笑)。

藤井:でも、ザコシショウさんなんかも、さっき言った『キリウリ』のスタジオとかではめちゃくちゃウケてましたからね。特にオンエアに使っていないところで(笑)。昔からああいう芸人の現場ではバッチリなんですけど、それが視聴者に伝わるまでにやっぱり時間が掛かるなっていうのはありますね。

くっきー!:ビジュアルがイカツいですからね? 顔のパーツで見たらすごいクリクリしててカワイイいんですけど、引きで見たらシルエットがえげつないっていう。

藤井:でも、くっきー!さんも芸人の中ではずっとみんなから面白いと思われてたし、ウケてたけどそれが世間に届くまでには時間が掛かりましたもんね。

くっきー!:まぁ、そうですね。

藤井:結果、曲げずにそれがちゃんと届いてるからカッコイイし、よかったなって本当に思いますけど。

くっきー!
コメディアン
1976年生まれ、滋賀県出身。1994年、大阪NSCの13期生として幼稚園時代からの幼馴染、ロッシーと共にお笑いコンビ・野性爆弾を結成。デビューから長らく本名の”川島邦裕”名義で活動していたが、後に”くっきー”へと改名、今夏にはさらに“くっきー!”へと改名をして現在に至る。独自の芸風はもとより、10代の頃から度々バンドとしても活動していたり、現在も芸の一環として絵を嗜んだりと多才な一面も。先日、自身初の旗揚げ公演『チャンネル』を東京・大阪で行ったばかり。

くっきー!:曲げない環境を与えてもらったんで。

藤井:くっきー!さんって普段すごくまともだし常識人じゃないですか? でも前にジュニアさんとロッシーさんと話してたときに、ロッシーさんがくっきー!さんの困った話として、大阪の番組で師匠とロケをやって、飼ってる犬の相談をしたっていう話を……。

くっきー!:ああ、平和ラッパ・梅乃ハッパ師匠って方たちがいて、ほんでその人たちに相談するみたいなやつですね。

藤井:そうです。「飼ってる犬が畳をかじって食べちゃって。で、そのあと吐いちゃって困ってる」みたいな。ボケる感じでもなく真剣に相談したんだけど、実は犬なんか飼ってないっていう。

くっきー!:そうそう。

藤井:で、嘘だってことをバラすこともなくそのままロケが終わって、後日劇場で会ったときに親身になってくれてた師匠から、「あの件だけど……」って言われたら、くっきー!さんはもうその話すっかり忘れてちゃってたっていう。

くっきー!:(笑)。ありましたね。「なんすか? それ」みたいなね。

藤井:そう(笑)。それがむちゃくちゃだな! って。その話を聞いて、そういうところもあるんだなって思ったんですよ。

くっきー!:あ~。でもほんま言い方悪いですけど、どうでもえぇと思ったんですよ。ラッパ・ハッパ師匠、偉大な方ですけど、この人に相談しても何も変わらへんと思って。何の相談もないから適当にしゃべっとったらえぇと思ったんすよね。

藤井:(笑)。”畳食って吐いちゃう”っていう変なリアリティと嘘の具合は流石だなと思いましたけど。

—(笑)。じゃあ早速クジ、引いてみましょうか。

くっきー!:あ、はい。……”マイブーム”ですね。

藤井:マイブームねぇ。

くっきー!:僕、色んな事やってまおうとするんですよ。それこそBMXとか、最近だったらスケボー買ったりとか。ただそれが人生においてはマジでミクロで終わってまうというか。BMXも買って、ガリットチュウの福島とか5人ぐらいにも「買え」って言って買わして、1回集まって公園でやってみたけど、「無理やな」言うてほんま30分ぐらいで諦めてずっと茶すすってるとか。っていう積み重ねですよね。だから今はどっちかって言うとスケボーですよね。継続してるのは……登山くらいか。

藤井:スケボーは結構乗ってるんですか?

くっきー!:スケボーも道で乗る”ペニー”っていうヤツあるじゃないですか? タイヤ長いやつ。あれと、バーって飛んだりなんかする用のヤツ、2台買って。どっちもまだタイヤつるつるした状態ですね。ピクリとものってないです。マジで形から入るんですよ。

藤井:(笑)。

くっきー!:バイクでも免許取る前に先にメット買っちゃうタイプというか。

藤井:でも続いてるブームって言うなら音楽もそうじゃないですか? 今は半分仕事にもなってるとは思うんですけど。

くっきー!:そうか。まぁ音楽はガキの頃からやってて、染み込みすぎててブームというか。

藤井:まぁそうですよね。

くっきー!:もう、自分の一部になってましたねぇ……。

藤井:(笑)。でも芸人より前にバンドがあった感じですよね?

くっきー!:先はそうですね。それで、なんかノリで芸人の方いっちゃった感じです。

藤井:でもなんか根はバンドマンみたいな感じもあるし。あっちもまだやってるんですよね? オイ!(パンク)の方も。

くっきー!:オイ! パンクやってますよ。オッサンばっかで集まって。まぁ、そういう若者誰も引っかからへんような音楽やってるんです。藤井さん音楽とか何かやります? 好きですよね?

藤井:好きですけど、具体的に何かするわけではないですね。学生の頃はちょっとDJやったりとかしてましたけど。

くっきー!:ラップのイベントやったりとかされてましたもんね?

藤井:そうですね。遊びでちょっと。

くっきー!:だから人を使うのが好きなんでしょうね、きっとね。

藤井:どうでしょうね? でも表に立つのは昔からあんまり好きじゃなくて。

くっきー!:裏支配ですか。

藤井:いや……まぁ……。

くっきー!:人民を扱い、玉座に座るみたいな。

藤井:(笑)。

くっきー!:藤井さん、今は番組いっぱい作られてるやないですか? 昔、作られへんとき、下で使われてたときってやっぱりストレス溜まってました?

藤井:溜まることもありましたけど、与えられた範囲の中でやりたいことをやれてたんですかね。割と早めにちょこちょこ自分のやりたいことをやらせてもらえるようになったから、期間としてはあんまり長くなかったかもしれないです。

くっきー!:えぇですね。やっぱり頭いいから。大学とかえぇとこ出てはります?

藤井:いや別にそんなことないです(笑)。

くっきー!:テレビ局なんて頭良くなかったら、ねぇ。ポッと出の「自分中卒ですわ~」とか言う歯ぁ抜けたヤツとか入れないでしょ?

藤井:(笑)。まぁ、入ったら関係ないですけどね。僕の番組には中卒のヤツとかもいますけど、活躍してますよ全然。フリーなんでしっかり稼いでますし。

くっきー!:そうなんすね。まぁ、実力ですもんね。僕ね、吉本芸人カードみたいなのが出たときに後輩とか先輩とか呼んで、「自分がもし劇場つくるなら、どの芸人取っていく?」みたいなのをようやってたんですよ。それが結構おもろくて。絶対誰かが余ったりして。余るの嫌じゃないですか? だからそれを藤井さんにやって欲しいなって。

藤井:まあ、番組作るのもそれに近いことではありますもんね。

くっきー!:それで選んでいったら一番軸、どこ欲しいですか? 今やったら。ダウンタウンさんとか、大物はもうなしにして。次の世代つくってくとしたら。有吉さんとかもなしかな。

藤井:えー……。

くっきー!:だからあるのはザコシショウ、僕、RG、あかつ……あとどのへんやろな。じゃあこの4人やったらどこ行きます?

藤井:あかつは要らないですね(笑)。

くっきー!:消去法(笑)。

藤井:でもそれだったらくっきー!さんですよ。

くっきー!:マジすか? それ今しゃべってるからでしょ?

藤井:いやいや、本当に。

くっきー!:まぁ、一番筋通ったお笑いやってますもんね。

藤井:(笑)。くっきー!さんって変なことをするけど、ベースの能力が完全に高いじゃないですか。直接言われると恥ずかしいかもしれないですけど(笑)。実力のない人が変な事やってもダメなんで。要はピカソと一緒ですよね。ちゃんとした絵を描ける人が変な絵描いてるみたいな。

くっきー!:おぉ……。どうも、ピカソっす(照笑)。

藤井:(笑)、でも絵もマジでそうじゃないですか? くっきー!さん、昔どなたかにTwitterで「ちゃんとしたタッチで描いて」って言われて、実際に描かされてましたよね?

くっきー!:あぁ、ありましたっけね。