藤井健太郎のoff-air 第5回:B.D. a.k.a. Killa Turner

by Keita Miki

規制だ、コンプラだ、とネガティブな言葉が飛び交う昨今のTV業界。だけど、そこにはまだまだ尖ったヤツらがいる。マスメディア界の異端児、藤井健太郎がホストを務める連載『藤井健太郎のoff-air』では毎回さまざまな分野の個性を招き、昔ながらのクジ引き形式で出たテーマに沿ったり逸れたりしながら、電波にはのらない放談をお届け。テレビじゃ聞けない裏話や驚きのアイデアが飛び出すかも知れないし、飛び出さないかも知れない。見逃し厳禁、規制がかかるその前に。
第5回目のゲストは、1990年代からラッパー/DJとして活躍し、現在も音楽活動を続けながらも、この夏、那須塩原市にレコードショップ ・六喩をオープンさせたB.D. a.k.a. Killa Turner

Photo:Rintaro Ishige | Text&Edit : Keita Miki | 収録日:2020年9月15日

都会は都会で好きだけど、今の自分に必要なのはこっちなのかなって。(B.D. a.k.a. Killa Turner)

— 読者にとっては少し意外な組み合わせかと思うのですが、お2人にはどういった繋がりがあるんでしょうか?

藤井:B.D.くんは中学、高校の1つ上の先輩なんです。中学ではバスケ部の部活も一緒で。

B.D.:学生時代は普通に先輩と後輩って感じでしたけどね。卒業してから一緒に遊ぶようになって。

藤井:B.D.くんがラップとかをやり始めてからの方が良く遊ぶようになりましたよね。で、卒業をキッカケに学校の先輩からヒップホップの先輩になったって感じで。当時、各学年に2、3人くらいしかちゃんとヒップホップを好きな人っていなかったので、仲良くなるのも早かったように思います。

B.D.:興味があるものが同じだったから、その流れで仲良くなったんだよね。当時、自分が池袋のレコード屋で働いていて、池袋では良く一緒に遊びました。もう昔過ぎて記憶が曖昧だけど、六本木のZEUSとかでも会ってたよね?

藤井:僕、ZEUSにはほとんど行ってないですね。基本はやっぱりBEDだったと思います。

B.D.:あぁ、そうそう。だから、そういう時代ですよ。

— 2人だけで遊びに行く機会とかもあったんでしょうか?

藤井:いや、そういう感じではないかな(笑)。

B.D.:まぁ、学校の先輩と後輩って立ち位置は卒業しても中々変わらないもんで(笑)。藤井は今でも気を使ってる感じするもんね。

藤井:(笑)。もちろん、流れで2人で遊ぶことになったり、当時、B.D.くんが住んでた家に遊びに行ったりもしましたけどね。あと、一緒にDefJam Japan宣伝カーの仕事したりしましたよね?

B.D.:あーやったね! スピーカーを積んだ宣伝用の車を運転するバイトで、時々、藤井に手伝ってもらってたんだよね。

— こうして2人で話すのは久しぶりですか?

藤井:久しぶりと言うか、メディアでこういう話をしたことは無いですよね?

B.D.:そうだね、藤井がたまにイベントに遊びに来てくれて、その時に話したりはするけど。

藤井:頻繁に会っている訳ではないんですけど、なんだかんだ話をする機会はたまにあって。

B.D.:去年の藤井のイベント(2019年に開催されたイベント『STILL MORE BOUNCE』)にも出たしね。

— B.D.さんに登場してもらうのは、2016年のMastered Mix Archives Vol.66以来になるのですが、那須に拠点を移した理由について再度伺えますか?

B.D.:もう6年くらい前に引っ越してきたんですけど、元々父親が福島の白河の出身で、昔からこの辺りはちょこちょこ来る機会はあったんですよね。だから、那須って土地自体には結構馴染みがあって。一般的な那須のイメージって山の方のエリアで、街の方のエリアに対するイメージはほとんど無いと思うんですけど、自分は昔から街側に良く来ていて。あとは嫁もたまたま那須の人間だったり、子供が大きくなってきたり、色々な事が重なって、思い切って移住しようと思ったんです。

— 移住してから六喩をオープンさせるまでの経緯についても教えてもらえますか?

B.D.:移住してからもしばらくは東京で仕事をしていたので、東京に通いながら生活をしていたんですけど、ふとしたことからラジカセのコレクターとか、共通の趣味を持った人たちと那須で出会って。そんな繋がりもあり、「イベントをやろうよ」ってことで年に1度くらい、この場所を借りてライブイベントとかポップアップイベントをやってたんですけど、やっぱりメンバー各々、仕事もあって、本業との兼ね合いで定期的に開催するのが段々と難しくなってきちゃったんですね。でも、自分は元々ショップスタッフをやっていた経験もあるから、1人でもやれそうだなとか思ってたら、ちょうど「この場所、使わなくなるから借りない」って話を頂きまして。そういう意味では偶然と必然が上手く重なった感じですね。自分自身、20年くらい渋谷で仕事をしてきて、そろそろ独立するかとか、何か違う仕事をやりたいなって思っていたので、良いキッカケになりました。まぁ、これはつい最近の話なんですけど。

— お店を出すことを決まったのが最近ってことですか?

B.D.:そうですね、まだオープンしたばかりで、営業しながら色々と整えている感じです。

藤井:初めて来ましたけど、この辺り、すごく雰囲気が良いですよね。

B.D.:実際、県外から来てくれるお客さんも多いし、地元の人も良く遊びに来るしね。今までこういうお店は無かったから、面白がってくれてる感じなのかな。

藤井:失礼ながら、那須にこういうカルチャースポットがあるってイメージは全く無かったです。

B.D.:このエリアだけだよ(笑)。

藤井:でも、こういった感じで洒落たお店が集まってる感じは面白いですよね。

B.D.:たしかに。東京ではありえない環境かもね。

藤井:ご自宅の周辺はどんな感じなんですか?

B.D.:全然こんな感じじゃなくて、農村地帯、田園風景。音を気にせず出せるくらい隣の家は遠いね(笑)。

藤井:今住んでいる家に引っ越してきたのが6年前なんでしたっけ?

B.D.:そう。東京に住んでいる頃から音を出せる環境はずっと欲しくて。特にコロナ以降はレコーディングも自宅でやることが増えたから、助かってるよ。

藤井:僕、普段他人のことを羨ましいとかあんまり思わないんですけど、B.D.くんが那須に移住したって聞いた時、めちゃくちゃ羨ましいと思ったんですよね。

B.D.:ほんとに(笑)?

藤井:いや、本当ですよ(笑)。もちろん、実際に暮らすとなったらずっと地方でっていうのはちょっとしんどいかなとも思うんですけど、僕は今の仕事の状況を考えるとなかなか東京から離れられないので、B.D.くんみたいに自然の多い場所で家族と暮らしながら音楽を続けていくっていう、そういう人生には素直に憧れます。

B.D.:まぁ、自分自身、全然こうなるとは思ってなかったから。でも、周りに何もない環境で過ごすことで、思考に変化もあったよ。都会は都会で好きだけど、今の自分に必要なのはこっちなのかなって、改めて思った。移住した当初は「コンビニに行くのに車か……」みたいな感じで結構食らってたんだけど(笑)。今はそんなの普通だし、逆にそれが良いかなって。あとはさ、こっちにいると白い靴なんて絶対に履かないんだよ。家を出たら、すぐに土だから(笑)。でも、土に慣れてくるっていうか、段々と服装も環境に合ったものに変わって来るし、こっちは車社会だから、そういう意味でも都会とは全然違う。本当に田舎だけど、これはこれで良いっていうか。満喫してるよ(笑)。

藤井:しばらく東京と那須を往復した結果、こっちでも良いなって思ったってことですよね?

B.D.:東京に通ってた期間も結構長かったからね。

B.D. a.k.a. Killa Turner
1990年代よりラッパー/DJとしての活動をスタートさせ、ソロワークのほか、THE BROBUS、TETRAD THE GANG OF FOUR、THE SEXORCISTなど様々なグループやユニットで活躍。現在は、那須塩原市に移住し、音楽活動を続けながらも2020年夏にレコードショップ ・六喩をオープン。

— 今現在は、ライブや用事がある時だけ東京に来るって感じなんでしょうか?

B.D.:そうですね。でも、今はコロナの影響でライブも配信がメインだから東京に行く機会は少なくて。こっちで制作してることの方が圧倒的に多いです。DJは、バーとかラウンジでたまにやったりしてますけど。ただ、今はお店がオープンしたばかりだし、まずはお店を頑張りたいなって気持ちですね。もちろん、依頼された仕事もなるべく請けようとは思ってますが。コロナが落ち着いたら、このお店でイベントも出来るし、それが今の楽しみです。

藤井:音を出しても苦情とか来ないんですね。

B.D.:こっちだとヒップホップのライブイベントをやる人なんていないから、みんな面白がってくれてるんじゃないかな。意外と那須って音楽イベントが少なくて。でも、今の時代、やっぱりヘッズは沢山いて、俺のことを知ってくれてるB-BOYっぽい子が県外から来てくれたりもするんだよ。

— ちなみにコロナ禍はどのように過ごしていたんでしょうか?

B.D.:お店のオープン作業に入る前は、嫁の実家の農作業を手伝ったりしてました。あとは家でMIXを録ったり、レコーディングしたり、DJ配信をしたり。家で出来る限りのことをやってた感じですかね。個人的には、それはそれで良くて、楽しんでいた自分がいます。

藤井:東京に行かないっていう意味では、今もそこまで生活に変化は無いですもんね。

B.D.:そうそう、全然変わらない。ちょうど東京の仕事を辞めるってタイミングで、コロナが流行してきたんだよね。それが自分にとって良かったのか悪かったのか、まだ分からないけど。

— お店のオープン作業は1人でやったんですか??

B.D.:居抜きだったので、ほとんど内装はそのまま使えて、スタートまでに余り時間がかからなかったのは良かったですね。什器とか細かいものは借りているものもありますが。まだ平日は静かだけど、週末は徐々に観光客も戻ってきていて、最近は色々な場所からお客さんが遊びに来てくれるんです。あとはお店の下がカフェになっていて、そこからも沢山お客さんが流れてくれて。

藤井:覗きに来てくれるんですね。

B.D.:すごい嬉しいよ。大体の人は入り口付近を一周して、「良い感じだね〜」って出て行っちゃうけどさ(笑)。俺らのカルチャーを分かってくれている人なら喜んでくれるんだけど、こっちにそういう人は少ないから。だから、今はそういうお客さんたちに向けて何をしようかなって考えるのが楽しいかな。ヒップホップとは関係無い一般の人たちがどういうものに興味を持つのかなって日々考えてる。例えば、レコードも分かりやすいように一番手前にユーミンを置いたりさ(笑)。

藤井:ははは。ちゃんとそういうのも考えてるんですね(笑)。

— 前置きが長くなりましたが、そろそろクジを引いてみましょうか。

B.D.:はい。……「最近観てよかった映画 or 映像作品」。直近では、Jim Jarmusch(ジム・ジャームッシュ)の『パターソン』かな。すごい良かった。あとは、息子が最近ゴジラにハマってて、特撮系の昔のゴジラの映画も観てる。映像は時代を感じるけど、音楽は今聴いても全然格好良いんだよね。藤井は何か観た?

藤井:最近忙しくて、映画は全然観れてないんですよね……。

B.D.:まぁ、そうなるよね。移動が多い時は本を読んだり、映画を観る時間があったんだけど、こっちで生活するようになってからは、俺もなかなか時間が取れない。

藤井:映画ってまとまった時間が必要ですもんね。本とか音楽は短い時間しか取れなくてもなんとかなるんですけど。

B.D.:家だとテレビは子供たちに独占されてるしさ(笑)。たまにゴジラみたいに一緒に観られるモノもあるけど。

— 自分のためのインプットっていう意味では、どうされてるんですか?

B.D.:ひたすらここで音楽を聴いてますね。自分にとってはすごく良い時間で、家に眠ってたレコードを聴きなおして、新たな発見があったりもしますし。あとは店でレコードの買取を始めたこともあって、色々なジャンルのものを聴くようになって、それも新鮮な感覚です。

藤井:じゃあ次のクジ、引いてみますね。……「インターネット上の悪口問題」。

B.D.:良いね(笑)。でもさ、昔はもっとひどかった訳じゃん?

藤井:2ちゃんねる的なところでの話ですか?

B.D.:そうそう。

藤井:ただ、最近は個人に届きやすいですからね。SNSから本人に直接悪口を言えちゃうっていう。

B.D.:まぁ、匿名で誹謗中傷するのはずるいとは思うけど、それが案外リアルって場合もあるからね。もちろん、悪口は良くないけどさ、直接本人に伝えられるってのは良いよね。悪口だけダメってシステムは作れないだろうし、仮に作ったとしても色々と試行錯誤して、すごい遠回しに悪口言ってきそうだし(笑)。

藤井:(笑)。特定のワードを弾くってシステムだとあまり意味は無さそうですよね。

B.D.:なんかさ、ちょっと俺らの時代とはいじめの種類も違いそうだし、大変な時代だと思うよ。

藤井:お子さんのネット環境とかはどうしてるんですか?

B.D.:今はまだ俺の管理できる状態になってるけど、そのうち絶対に超えてくるからね。そう考えると怖い部分はあるよ。

藤井:携帯は持たせてます?

B.D.:まだ持たせてないけど、家のiPadは使うし、俺の携帯を貸すこともある。田舎だとそこまで必要ないからね。でもさ、東京だと逆に持たせておかないと不安だったりするでしょ?

藤井:たしかに、そうですよね。

B.D.:心配な部分は色々あるけど、そういうのも乗り越えていってほしいかな。自分達の時はLINEとかSNSでのいじめは無かったけど、その分、他に嫌なことが沢山あったと思うし。

藤井:そういえば昔って、金髪でタバコ吸ってる中学生もよくいたし、コンビニに行けばたむろしてる若い子達も沢山いたじゃないですか? 今ってそういう意味のない悪さをする子供が減ってるんですって。すぐ詐欺とか金儲けとかの利益に直結するような悪さにいっちゃうから、無軌道で意味のない悪さをする若者がいないらしいです(笑)。

B.D.:ははは(笑)。

藤井:現代の不良は良くも悪くも合理的っていう(笑)。何事もそうですけど、一見、意味の無いことの方が楽しかったり、実は大事だったりもするんですけどね。

B.D.:なんでも上手いことやっちゃうんだろうね。子供の話を聞いてるとさ、親に反抗する子なんていないんだって。勝手に田舎だからヤンキーも一杯いるんだろうなとか思ってたんだけど(笑)。単純に子供の数が少ないってのもあるんだろうけど。

藤井健太郎
TVディレクター
1980年生まれ、東京都出身。大学卒業後にTBSテレビに入社。入社3年目で『リンカーン』の立ち上げに参加し、その後『クイズ☆タレント名鑑』等を演出・プロデュース。現在は『水曜日のダウンタウン』などの番組を手がけ、話題や火種を生んでいる。

— 六喩にはオンラインストアってあるんですか?

B.D.:お店のオンラインストアっていうのは作ってないですね。基本的にショップの良さは実店舗に持たせたいというか、実際に足を運んだ人に欲しいものを見つけてもらうようにしたいんです。インターネットで売ろうと思えば売れるんでしょうけど、やっぱり足を運んできてほしい。遠いよ、って言われると思いますけど(笑)。那須は観光も出来るので、旅行がてら遊びに来てくれたら嬉しいです。

— では、そろそろ次のクジをお願いします。

B.D.:はい。……「結婚」。

藤井:B.D.くんは何歳で結婚したんでしたっけ?

B.D.:25歳かな。俺はした方が良いと思うけどな。

— 実際にどんな変化がありましたか?

B.D.:良くも悪くも、数え切れないくらいありますよ。でも、人として成長出来た実感はありますね。やっぱり、男って馬鹿じゃないですか(笑)? だからケツを叩いてくれるというか、リードを引いてくれる女性がいた方が自分の場合は色々なことを上手くやれましたね。あとは、田舎にいると結婚してるかしてないかで、他人からの見られ方も結構変わるので。社会的に信用してもらえるようになるというか。

藤井:ははは(笑)。B.D.くんからそういう話が出てくるのは意外ですね。

B.D.:俺がこんなこと言って良いのか分からないけどさ、みんな結婚はした方が絶対に良いよ(笑)。

藤井:なんか良いですね。さっきの話にも戻りますけど、子供がいて、自然があって、音楽があって、って本当に羨ましいですよ。お子さんも音楽は好きなんですか?

B.D.:うん。俺とは好きなジャンルが違うけど、音楽は好きかな。ラップやりたいって言われたらちょっと困るけど。

一同笑

— お子さんはB.D.さんの音源もチェックしているんでしょうか?

B.D.:もちろん。でも、父親だしリアクションはしづらいんじゃないかな。「パパのラップが一番良いよ!」とか言われてもそれはそれで嘘っぽいし。

藤井:(笑)。じゃあ、次のクジ引きますね。……「最近買って良かったもの」。

B.D.:マイク。最近、宅録をするようになってちゃんとしたマイクを買ったんだけど、手に入れてから仕事の幅も広がったし、家でミックスも出来るようになったからすごく良かった。

藤井:これまでは家で録ったことって全く無かったんですか?

B.D.:そうだね、スタジオに行って、エンジニアに録ってもらうって感じ。コロナ以降はスタジオにも行かなくなったし、家で出来た方がコストもかからないから、もう断然、宅録派だけど。

藤井:今の若いラッパーは宅録派が多いですよね。

B.D.:今の子達はPCにも慣れてるし、器用だよ。家の方がリラックスして録れるし、良い部分もあるんだけど、個人的にはスタジオはスタジオでスイッチが入るから好きなんだけどね。スタジオにいると「やべー、俺今日仕事してるな〜」って思う(笑)。結局は自分のモチベーションの問題なんだけどね。

藤井:リリックは事前に書いてからスタジオ入りするタイプですか?

B.D.:うーん、それは時と場合によるかな。手ぶらで行って、1からスタジオで書くってことはまずないけど。事前にある程度アイデアは用意しておいて、それをスタジオでまとめるか、もう出来ているものをスタジオに持っていって、ちょっと付け加えるってことが多い。バブリーな時代は高いスタジオに入って「よーいドン」でリリックを書き始めるみたいなこともあって、俺らはキャリアの初期にそれを見ちゃってたからそれが普通だと思ってたし、スタジオでリリックが書けないとダメだみたいな風潮も当時はあったりしたんだけど、それもいつしか無くなったね。そもそもレコーディングってすごくお金がかかるから、スタジオを借りてる時間が勿体無いし、そりゃそうだよねって話なんだけど(笑)。スタジオに行ったらダラダラやらずに、一発でOKテイクを出すっていうのがプロなのかなって今は思うよ。

藤井:たしかに、テレビ業界も似たような感じで、僕らの前の世代までは編集所に入ってオペレーターと一緒に編集を仕上げていくって感じだったんですけど、今は事前にほとんどの部分をPCで作ってから編集所に持っていくようになりました。

B.D.:そうやって効率化していくべきなんだよね。そっちの方が俯瞰して見ることが出来て、発見もあったりするし。余裕を持って全体を見られるというか。

— 次のくじで最後にしましょうか。

B.D.:……「集めているもの」。ここにあるもの全部ですね

一同笑

B.D.:最近特に力を入れているのは、昔のラジカセとかレコードプレイヤーとか。

藤井:機材でいえばターンテーブルって本当に壊れないですよね。僕も中学のときに買った『MK-3』がまだなんの問題もなく使えてますもん。

B.D.:Technicsはすごいよ。あとは”ラテカセ”っていうラジオとテレビが融合したやつがあって。テレビはもうアナログ放送が終わってるから映らないんだけど、砂嵐が格好良くて買っちゃった。

藤井:CDはもう買ってないんですか?

B.D.:買わないね。買わないけど、貰うからどんどん増えていくんだけど。でも、結局聴くのはMIX CDくらいかな。アルバムをCDで買うってのはデジタルで済ませちゃってるから滅多に無いし、そういうのはなるべくレコードで手に入れるようにしてるから。今は新譜がレコードで出るじゃん? 特に良い音源はレコードとしてもリリースされやすいから。

藤井:新譜は今も結構チェックしてますか?

B.D.:常にチェックはしてるよ。あとは人がSNSで上げた音源とかもちゃんとチェックしてる。気になるものがあればダウンロードもするしね。でも、ダウンロードした音源ってなんか味気なくて、聴き流しちゃうんだよね。やっぱりモノとして手元にあった方がちゃんと聴こうって気になるよ。

藤井:音楽って本来は形がないもののはずなんですけどね。でも、それはすごく分かります。

— ちなみに、B.D.さんは今の藤井さんの仕事をどういう風に見ているんでしょうか?

B.D.:それこそADの頃も見てるけど、素直にすごいなって思いますよ。俺らの周りには派手な奴が一杯いたけど、まさか藤井がテレビの世界に行くとは思わなかったです。でも、その意外性が良いんじゃないですか? 俺が田舎で暮らしているのと一緒で(笑)。

藤井:でも、B.D.くんだって、みんながどんどん辞めていく中で、この歳までずっと音楽を続けている訳じゃないですか。それが出来る人って本当に少ないと思いますよ。

B.D.:俺は好きだから続けてるってだけだよ。続けられること自体がすごく幸せなことだとは思うけど。

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