Vol.99 Febb SPECIAL starring JJJ, Kazuhiko Fujita, Lil’ Mercy and Gradis Nice – 人気DJのMIX音源を毎月配信!『Mastered Mix Archives』

by Yu Onoda and Keita Miki

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Gradis Nice & Young Mas 『L.O.C. – Talkin’ About Money – 』
Febbが15歳の時に出会い、長らく親交を深めてきたプロデューサーのGradis Niceと組んだ初のアルバムにして、Febbが生前最後にリリースした2017年作。”金”をテーマに、スピットする言葉にキレを取り戻したFebbのラップはオーセンティックなテイストと最新のサウンドをミックスし、ブーンバップとトラップを橋渡ししたGradis Niceのビートとの相性が素晴らしく、『THE SEASON』以降の試行錯誤が最高のアルバムへと見事に昇華されている。

— そして、2017年の3作目、Gradis Niceとのアルバム『L.O.C -Talkin’ About Money-』はラップのキレが戻って、彼の好きなテイストが上手くまとまっていますね。

JJJ:俺はこのアルバムに全く関与していないんですけど、NYのオーセンティックなテイストも入ってるし、シカゴ系の治安の悪いノリもあり、さらにリリックの表現の仕方は『So Sophisticated』の延長にあるものですよね。最初に”Roc A Fella”を聴かせてもらったんですけど、すごい良くて。

Fujita:俺も”Roc A Fella”と”The First”が好きだな。

— 個人的には”Roc A Fella”のビデオが見たかったんですけどね。

Fujita:そうですね。みんな、そう思っていたんじゃないですか。

JJJ:でも、みんなが好きそうな曲は、絶対にビデオを撮ろうと言わないんですよ。結局、録ったのは治安が悪い”Yellow×Black”だったから、やっぱり天邪鬼なやつなんです。

— 『L.O.C』は復活作といえる内容でしたけど、また体調を崩して、プロモーションが満足に出来なかったのが残念ですよね。まだ、みんなにきっちり届いていないんじゃないかな、と。

JJJ:作品としては、あいつの好きな渋くて悪いテイストが一貫してあるよね?

Fujita:拳を突き上げるような感じね。俺とFebbの間では何て形容していいか分からなかったので、あいつの好きなテイストを”崖の上のライオン”って言うことにしようって話してましたよ(笑)。

JJJ:はははは。シカゴ系もそうだし、西海岸だったらKurupt、まぁ、でも、あいつの一番は、渋くて悪いやつが集結しているNYヒップホップですよね。

Fujita:そういえば、Febbは10代の時にもニューヨークへ行ってるんですよ。でも、航空券だけでお金を使い果たして、毎日公園にいたらしくて、ニューヨークでもかなり危ないとされるブラウンズヴィル・プロジェクト(M.O.P.やGZA、RZA、Boot Camp Clikらを輩出した悪名高いブルックリンの団地)を1人で見に行ったり、お金もないのにレコード屋に向かって、途中で道が分からなくなって、戻ってきたり、そんなことばっかりやってたみたいですね。あいつの不思議なところは、俺がアメリカに1年くらいいて、聞き取りも話も出来るけど、発音の問題で「えっ、なに?」って言われたりしてたのに、Febbの英語は普通に通じるんですよ。だから、ホントに耳が良かったんだなって。