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— そして、2013年の2月にアルバム『FL$8KS』がリリースされた後、当時の勢いから考えて、Febbのソロが先に出るかと思いきや、いきなりラップを始めたKID FRESINOのアルバム『HORSEMAN’S SCHEME』が3か月後に出て。
Fujita:それも驚きましたね。Jから「佐々木ラップしたよ」っていうメッセージと共にデータが送られてきて。「マジで!?」って。
JJJ:佐々木が初めてラップしたのはSoundcloudにアップされてる”Come In”って曲なんですけど、それを録ってた時、Febbは寝ていたので、起こして聴かせたら、ちょっと悔しそうに「まぁいいんじゃない」って(笑)。その後、Febbと俺はそれぞれソロの制作を始めて、俺の『Yacht Club』(2014年11月リリース)も時間がかかっちゃったんですけど、Febbの『The Season』はそれ以上に時間がかかりましたね。何曲かは手伝ったんですけど、ずっとスタジオに居たわけじゃなかったので、その制作過程はよく分からなくて。
Fujita:ただ、Jの曲を録ってる時にスタジオに行ったら、Febbはめちゃめちゃピリピリしてて、完全にアルバムのモードに入ってましたね。
JJJ:そうそう。『FL$8KS』の時とは違って、ピリピリしてたというか、常に何かしらに怒ってましたね。
Fujita:佐々木がふざけてて、スタジオから追い出されたりしてましたからね。
— 当時聞いていた話では、録りだけじゃなく、ミックス、マスタリングもかなり難航したとか。
JJJ:あいつが自分で見つけてきた(Curren$yの『PILOT TALK』を手がけた)Brian Cidに頼んだんですよね。そういうところも早かったけど、やりづらそうでしたね。でも、『THE SEASON』の音はめっちゃ好きなんですよ。その前までは足し算の発想で音がパンパンだったんですけど、『THE SEASON』は引き算の発想で、音は小さめなんだけど、ずっと聴ける音で、より音楽的なアルバムだなって思いましたし、あのアルバムが出た時は悔しかったですね。
— ラップに関してはいかがですか?
JJJ:好きなのは上野のスタジオで録ってて、その後、録り直した”Deadly Primo”、あと”Another One”かな。この頃のFebbのラップは、文章としては整合性が取れてないというか、接続詞がおかしいんだけど、変なところで繋がる感じ。そこが面白かったですね。
— 『FL$8KS』と『THE SEASON』のラップは勢い重視で、意味が分からないところが多々あるんだけど、全くの無意味かというとそういうことでもなくて。その危ういバランスに引き込まれるというか。
Fujita:分かりますよ。「いかに何も起こってないことを格好良く言うか。それこそがラッパーだ」って、自分にも言い聞かせるように、ずっと言ってて。そう思って聴いてみると、単語の羅列じゃないけど、意味のない、ただ格好いい言葉をスピットしているだけなのかなと思いきや、ちゃんと自分のなかにストーリーがあって、そこに言葉を当てはめていった結果なんですよね。だから、Febbのラップは聴いてて、アガるんだと思う。俺はJのアルバムに入ってる”ICU”にも食らいましたね。
JJJ:”俺、蟹歩き/確かに、だ”ってやつね。意味分かんないよね(笑)「この曲、聴いたやつは集中治療室(ICU)に行くからさ」って言いながら、赤いバンダナ巻いてラップ録ってましたね。
Fujita:あ、それが”MIND”のリリックに出てくる赤いバンダナなんだね。
JJJ:そうそう。あと、俺が好きなのは、CPFから出たWDsoundsのコンピレーション(『#5014CompMostWANTED』)に入ってる”BRAIN”とか。佐々木もそうですけど、この頃のFebbが言ってたことはイケイケですよね。ラップのノリは最強だったし、敢えて静かめに歌ってみたり、テンションも良かった。繰り返すフックがいつも格好良かったし、一貫してニューヨークのヒップホップが好きで、DatPiffもチェックしまくってて、知らないラッパーを教えてもらってましたし、その時々の流行りをいち早く取り入れていましたね。