Vol.99 Febb SPECIAL starring JJJ, Kazuhiko Fujita, Lil’ Mercy and Gradis Nice – 人気DJのMIX音源を毎月配信!『Mastered Mix Archives』

by Yu Onoda and Keita Miki

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Febb 『THE SEASON』
JJJ、KID FRESINOからトラック提供を受けつつ、Fla$hBackSとも異なるラッパーとしてのFebbにフォーカスした2014年のファーストソロアルバム。Ski BeatzやInfamous Mob『Realty Rap』のビートを手がけたE.Blaze、Serious BeatsらUSのプロデューサーに加え、唯一の客演ラッパーでKNZZをフィーチャー。この作品に凝縮されている彼のストイックなヒップホップ観は色褪せることがない。8月21日には2曲の未発表曲を追加し、エンジニアの得能直也が新たにマスタリングを施した『THE SEASON(DELUXE EDITION)』がリリースされる。

— そして、2013年の2月にアルバム『FL$8KS』がリリースされた後、当時の勢いから考えて、Febbのソロが先に出るかと思いきや、いきなりラップを始めたKID FRESINOのアルバム『HORSEMAN’S SCHEME』が3か月後に出て。

Fujita:それも驚きましたね。Jから「佐々木ラップしたよ」っていうメッセージと共にデータが送られてきて。「マジで!?」って。

JJJ:佐々木が初めてラップしたのはSoundcloudにアップされてる”Come In”って曲なんですけど、それを録ってた時、Febbは寝ていたので、起こして聴かせたら、ちょっと悔しそうに「まぁいいんじゃない」って(笑)。その後、Febbと俺はそれぞれソロの制作を始めて、俺の『Yacht Club』(2014年11月リリース)も時間がかかっちゃったんですけど、Febbの『The Season』はそれ以上に時間がかかりましたね。何曲かは手伝ったんですけど、ずっとスタジオに居たわけじゃなかったので、その制作過程はよく分からなくて。

Fujita:ただ、Jの曲を録ってる時にスタジオに行ったら、Febbはめちゃめちゃピリピリしてて、完全にアルバムのモードに入ってましたね。

JJJ:そうそう。『FL$8KS』の時とは違って、ピリピリしてたというか、常に何かしらに怒ってましたね。

Fujita:佐々木がふざけてて、スタジオから追い出されたりしてましたからね。

— 当時聞いていた話では、録りだけじゃなく、ミックス、マスタリングもかなり難航したとか。

JJJ:あいつが自分で見つけてきた(Curren$yの『PILOT TALK』を手がけた)Brian Cidに頼んだんですよね。そういうところも早かったけど、やりづらそうでしたね。でも、『THE SEASON』の音はめっちゃ好きなんですよ。その前までは足し算の発想で音がパンパンだったんですけど、『THE SEASON』は引き算の発想で、音は小さめなんだけど、ずっと聴ける音で、より音楽的なアルバムだなって思いましたし、あのアルバムが出た時は悔しかったですね。

— ラップに関してはいかがですか?

JJJ:好きなのは上野のスタジオで録ってて、その後、録り直した”Deadly Primo”、あと”Another One”かな。この頃のFebbのラップは、文章としては整合性が取れてないというか、接続詞がおかしいんだけど、変なところで繋がる感じ。そこが面白かったですね。

— 『FL$8KS』と『THE SEASON』のラップは勢い重視で、意味が分からないところが多々あるんだけど、全くの無意味かというとそういうことでもなくて。その危ういバランスに引き込まれるというか。

Fujita:分かりますよ。「いかに何も起こってないことを格好良く言うか。それこそがラッパーだ」って、自分にも言い聞かせるように、ずっと言ってて。そう思って聴いてみると、単語の羅列じゃないけど、意味のない、ただ格好いい言葉をスピットしているだけなのかなと思いきや、ちゃんと自分のなかにストーリーがあって、そこに言葉を当てはめていった結果なんですよね。だから、Febbのラップは聴いてて、アガるんだと思う。俺はJのアルバムに入ってる”ICU”にも食らいましたね。

JJJ:”俺、蟹歩き/確かに、だ”ってやつね。意味分かんないよね(笑)「この曲、聴いたやつは集中治療室(ICU)に行くからさ」って言いながら、赤いバンダナ巻いてラップ録ってましたね。

Fujita:あ、それが”MIND”のリリックに出てくる赤いバンダナなんだね。

JJJ:そうそう。あと、俺が好きなのは、CPFから出たWDsoundsのコンピレーション(『#5014CompMostWANTED』)に入ってる”BRAIN”とか。佐々木もそうですけど、この頃のFebbが言ってたことはイケイケですよね。ラップのノリは最強だったし、敢えて静かめに歌ってみたり、テンションも良かった。繰り返すフックがいつも格好良かったし、一貫してニューヨークのヒップホップが好きで、DatPiffもチェックしまくってて、知らないラッパーを教えてもらってましたし、その時々の流行りをいち早く取り入れていましたね。