毎月お届けしているMasteredレコメンドDJへのインタビューとエクスクルーシヴ・ミックスを紹介する『Mastered Mix Archives』も、前回で無事1年続いたということで、今回は4週に渡って1周年を記念したスペシャル企画をお届け。 なんと、過去12本のミックス音源を再び期間限定でダウンロードできるようにします!
しかも、ただの再配信ではなく、THA BLUE HERBにCALM、TRAKS BOYSに(((さらうんど)))、LUVRAW & BTBに七尾旅人などの作品やライヴのPAを手がける敏腕エンジニア、得能直也氏の手によるリマスタリング音源。すでにダウンロード済の方も、是非チェックを。
4週連続の第3回目となる今回は、CHIDA、MOODMAN、CRYSTALの三本立てで、前回同様ライター小野田雄氏と担当編集である私塩川との対談で振り返りつつお届けします!
※ダウンロード期間は終了しました。
→ vol.1 二見裕志・PUNPEE・Max Essa編
→ vol.2 Bushmind・COS/MES・Back To School編
→ vol.4 川辺ヒロシ・LATIN QUARTER・池田正典編
編集 塩川(以下S):CHIDAくんはさすがタイトな仕事をしてくれましたよね。
ライター 小野田(以下O):オールドスクールなものからニュースクールなものまで、一貫してハウス・ミュージックにこだわってDJしてきただけあって、さすがのミックスって感じ。
S:CHIDAくんが主宰するレーベル、ENEも長らく取り上げたいと思っていたし、CHIDAくん自身も信用出来るDJですしね。
O:ダンス・ミュージックって言葉がないから、国境を越える可能性を大いに秘めた音楽だと思うんだけど、CHIDAくんは日本と海外を上手く橋渡ししているDJというか、個人的には彼の見ている新しい風景や音を2011年の終わりに紹介させてもらいたかったというか、日本に限らず、まだまだ音楽が広がっていく可能性はあるっていうね。
S:2011年の夏にはイギリス、ポルトガル、年末はインドネシアでプレイして、2012年もまたヨーロッパを回る予定だし、この春出たアンドリュー・ウェザオールの3枚組ミックスCD『Masterpiece』にもCHIDAくんのトラック(「DANCA」)が収録されていましたもんね。そして、収録されているということでいえば、このミックスには日本人アーティストのトラックをたくさん使っているんですよね。
O:そうそう。日本人アーティストの充実度と、それから海外から見て、日本のどういう部分に興味を持たれているのかっていう点を意識してミックスを作ってもらったという。
S:そして、このミックスもリマスタリングを経て、繊細さが際立ったものになりましたよね。
S:この企画を思いついた時、真っ先に思い浮かんだDJがMOODMANだったっていうくらい、お願いするタイミングを図っていたんですけど、満を持して2012年の一発目に登場していただいたという。
O:なにせ多忙な人だからね。
S:実際、このインタビューをやった翌日に海外に出掛けていったんですよね。
O:いやいや、翌日じゃなく当日だよ。完成したミックスを手に取材場所に現れて、1時間きっかり喋った後、海外に旅立っていったという(笑)。
S:しかも、忙しいなか、作っていただいたミックスがこれまた最高で。
O:レゲエもいいし、ダブステップ・ミックスも聴いてみたいし、MOODMANにはどんなミックスをお願いしようか相当悩んだんだけど、MOODMANの名前の由来であるムード音楽、それから個人的には聴いたことがなかったアンビエントをテーマにオファーさせてもらって。どんなものが仕上がってくるのかなと思ってたんだけど、こちらの想像を超えたところに着地するのが、さすがMOODMANだな、と(笑)。
S:やっぱり、すごかったですね。このミックスをアップしているMixcloudには曲名自動補完機能が付いていて、そのミックスで使ってる曲名を自動的に探してきてリストにしてくれるんですけど、MOODMANのミックスはほとんど"Unknown"だったっていう(笑)。これこそ、ディグだよなって。
O:CRYSTALはMOODMANのやってたパーティ「GODFATHER」に通って、その影響を受けた下の世代のDJにして、CRUE-Lから出たシングル「Heavenly Overtone」も最高だったしね。
S:そして、その後に出た(((さらうんど)))のアルバムも素晴らしかった。CRYSTALがアイドルのプロデュースをするようになったりすると、日本のポップスもだいぶ変わるんじゃないかなとも思っているんですけどね。
O:あと、このインタビューでは彼の音楽遍歴を語ってもらったけど、Traks Boys以前に出したシングルであるとか、彼がかつてやってたALLNIGHTTHINGを含めて、これまで彼が経験したことがここに来て、いい形でまとまってきているように思っていたから、このタイミングで登場してもらえてよかったな、と。
S:僕はかつて彼と一緒に働いていたこともあるので、そういう意味でも感慨深いものがありましたけどね(笑)。
O:なにかといえばCRYSTALのことを言ってたから、親心みたいなものかなと勝手に思っていたんだけど(笑)。
S:親心って、彼の方が1個年上なんですけど(笑)、あれですね、戦友っていう感じですかね〜。
O:そして、このミックスはシューゲイザーを含むロックからテクノ、ハウスのクロスオーバーなものになればいいなと思っていたんだけど、こちらからそう伝えずして、彼はそういう音源を仕上げてくれて。
S:エモさと繊細さが同居したあの感じはCRYSTALらしいですよね。