Vol.26 FORCE OF NATURE – 人気DJのMIX音源を毎月配信!『Mastered Mix Archives』

by Yu Onoda and Yugo Shiokawa

MasteredレコメンドDJへのインタビューとエクスクルーシヴ・ミックスを紹介する「Mastered Mix Archives」。今回登場するのは、世界のディスコ・シーンにその名を轟かすKZAとDJ KENTからなるDJデュオ、FORCE OF NATURE。


近年、個別に海外を回ることが多かった彼らだが、7月中旬にFORCE OF NATUREとして、ロンドン・ヴィクトリア・パークで行われた大型フェス、ラヴボックス出演という快挙を成し遂げ、そのままの勢いでベルリン、ヘルシンキを回るヨーロッパ・ツアーを敢行。2006年のアルバム『Ⅲ』以降、オリジナル・マテリアルはリリースされていないものの、海外における彼らに対する評価は揺るぎないものがある。


今回は、そんな彼らの近況報告がてら、ヨーロッパ・ツアーの話をうかがいつつ、この夏を締めくくるDJミックスを依頼。満を持しての登場となるFORCE OF NATUREのインタビューとDJミックスをお楽しみあれ。

※ミックス音源はこちら!(ストリーミングのみ)

気づいたら、キタちゃんのソロ(『Dig And Edit』)から4年、僕がやってるThe Backwoodsからも3年が経っちゃってて(笑)。(DJ KENT)

— 7月にヨーロッパ・ツアーを行ったということですが、FORCE OF NATUREとして海外を回ったのはいつ以来ですか?

KZA:個々では行ってるんですけど、2人一緒の海外は3、4年振りくらいですかね。

— そして、その最初のギグはグルーヴ・アルマダが主催するロンドンの大型フェス、ラヴボックスでしたが、3日間で15万人が集まる大型フェス出演はいかがでした?

FORCE OF NATURE『III』2006年にリリースされた、今のところFORCE OF NATURE名義のオリジナル作品としては最新となる、傑作3rdアルバム。盟友、笹沼位吉(SLY MONGOOSE)らも参加。

FORCE OF NATURE『III』
2006年にリリースされた、今のところFORCE OF NATURE名義のオリジナル作品としては最新となる、傑作3rdアルバム。盟友、笹沼位吉(SLY MONGOOSE)らも参加。

DJ KENT:かなり豪快な感じでしたね。ステージが何個あるか分からないくらい、色んなところにあって、規模がとにかくデカいし、ステージ裏の移動もゴルフ場にあるようなカートだったんですよ。

KZA:会場をうろちょろしてみたんですけど把握しきれなかったし、全部回れませんでしたね。

DJ KENT:言ってみれば、フジロックがそのまんまの大きさでロンドン市内に来ちゃった感じというか(笑)。

KZA:1日目のトリがジュラシック5、2日目がディアンジェロ、3日目がリル・キムで、ヒップホップやR&B、ダンス・ミュージック中心の都市型フェスというか、ライヴ中心ではなく、DJ中心で、1日5万人、3日で15万人を集めるラヴボックスみたいなフェスは日本で同じことをやろうと思ったら、まだまだ難しいかもしれない。

— そのラヴボックスでお二人が出演されたのは、その3日目にDJハーヴィーがプロデュースした「HARVEY’S DISCOTEQUE」というテントだったんですよね?

KZA:そう。テントの大きさはフジロックでいうところのレッド・マーキー・テントの2倍くらいかな(笑)。

DJ KENT:そのテント自体、天井がかなり高くて、テントの柱が全部竹で装飾されていたり、デコレーションにもお金がかかってて、いい感じでしたし。

KZA:出演者の人選からサウンドシステムをどうするかというところまで、実際にハーヴィーが決めて、出演したのは僕ら2人とRub N Tugのエリック(・D)、イジャット・ボーイズにプリンス・トーマスというラインナップ。サウンド・システムはハーヴィーのモイスト時代から音を任されているミッキー・ボイルさんでした。

— デヴィッド・マンキューソのロンドンのパーティやLN-CCのクラブ・スペースの音響も手掛けられている重鎮ですよね。

The Backwoods『The Backwoods』DJ KENTのソロプロジェクトとして、The Backwoodsの名義でリリースされたファーストアルバム。サンプリング主体のFORCE OF NATUREから、音楽的なアプローチをもう一歩進めた意欲作。アートワークはEYESCREAMブロガーでもあるAkeem The Dream。

The Backwoods『The Backwoods』
DJ KENTのソロプロジェクトとして、The Backwoods名義で2010年にリリースされた1stアルバム。サンプリング主体のFORCE OF NATUREから、音楽的なアプローチをもう一歩進めた意欲作。アートワークはEYESCREAMブロガーでもあるAkeem The Dreamによるもの。

DJ KENT:みたいですね。会場の音がいいのはもちろんのこと、DJブースもミッキー・ボイルがアームをカスタムしたターンテーブルに、日本のアルファ・レコーディングが提供したアイソレーターやイコライザーなんかも用意されていて、DJ環境はばっちりだったよね。

KZA:しかも、DJ中はずっと横に付いてくれていて、出音の調整をしてくれてたし。

DJ KENT:うちらの出演は14時からだったんですけど、海外のフェスに出るのは今回が初めてだったんで、早めに会場へ行ったら、すでにハーヴィーは会場入りしていて、音の調整をやってました。

— プレイする方も遊ぶ方も、そこまで整っていたら文句なしですね。

KZA:俺らもDJが終わった後、ずっと遊んでたんですけど、遊びすぎて、迎えのタクシーが帰っちゃったっていう(笑)。

— ははは。DJの方はいかがでした?

DJ KENT:持っていったレコードはいつもより多少多かったかもしれないですけど、会場が大きいからといって、レイヴ・チューンをかけたりしたわけでもないし。

KZA:硬めのテクノを混ぜたりもしつつ、大箱セットってわけでもなかったし、いつもと変わらずプレイ出来たと思いますね。

— しかし、ラヴボックスのような巨大フェスにディスコのテントが設けられているというのは、ディスコ・リヴァイヴァルを実感させられるというか。

KZA『DIG AND EDIT』屈指のヴァイナルマスターとして知られるKZAが、その膨大なライブラリーからさまざまな音を紡いだ、集大成とも言える1枚。局地的ネットアンセム「徳利からの手紙」のバックトラックとしても一部ではおなじみの「ROUTINE」など収録。2009年リリース。

KZA『DIG AND EDIT』
屈指のヴァイナルマスターとして知られるKZAが、その膨大なライブラリーからさまざまな音を紡いだ、集大成とも言える1枚。局地的ネットアンセム「徳利からの手紙」のバックトラックとしても一部ではおなじみの「ROUTINE」など収録。2009年リリース。

KZA:ハーヴィーもそうだし、(ゲイ・ディスコ・クルー)ホース・ミート・ディスコも一つのテントを任されていたし、イギリスはヨーロッパのなかでも目立ってディスコが盛り上がっているというか、ちょっと特別かもしれないですね。

DJ KENT:面白かったのは、そのバックヤードにイギリスのディスコ界の重鎮たちが勢揃いしていて、その絵が壮観でしたね。

KZA:あのおっさん度の高さね(笑)。ただ、盛り上がってるお客さんは若かったですよ。ハーヴィーのプレイ中には盛り上がりすぎて、若い子たちがブース前に勝手に上がってきちゃったりして(笑)。

— そして、ロンドンのラヴボックス後はベルリンとフィンランドのヘルシンキを回ったんですよね?

DJ KENT:そう。ベルリンは着いてから最初の3日間はヴァイナル・ディグ。ホントそれしかやってなかったです(笑)。

KZA:レコードがびっくりするくらいいっぱいあったよね。

DJ KENT:やっぱり、世界中からDJやアーティストが集まってる街だから、最近、レコード屋が増えてるみたいで、レコード事情はロンドンとは比べものにならないくらいよかったですね。

KZA:で、ベルリン滞在最終日に2箇所でプレイしたんですけど、一つはこないだ代官山AIRでプレイしたセッション・ヴィクティムっていうハンブルグの2人組がキュレーションしたパーティで、プリンス・チャールズっていうクラブの中庭で夕方からクラブが始まるまでの時間帯にバーベキューをやりながら、ゆるい感じで(笑)。

DJ KENT:その後、やった夜のパーティはRAW LIFEの会場みたいな工場跡地みたいな廃墟が会場で(笑)。

KZA:パーティ自体、不思議な感じで、別のフロアではロックとかバンドっぽい曲がかかってたんですけど、そこで3時間プレイして、そこはかなり盛り上がりましたね。

— そして、ベルリンに続く、フィンランドは以前にも行かれたことがあったんですか?

FORCE OF NATURE『expansions』昨年リリースされた、FORCE OF NATURE名義としては久々となるオフィシャルミックスCD。FONらしさここに極まれり、な選曲力と構成力、そしてセンスの光る1枚。

FORCE OF NATURE『expansions』
昨年リリースされた、FORCE OF NATURE名義としては久々となるオフィシャルミックスCD。FONらしさここに極まれり、な選曲力と構成力、そしてセンスの光る1枚。

DJ KENT:いや、2人とも初めてだったんですけど、街はきれいだし、なにより、クラブの音響が最高だったんですよ。さすが、名門スピーカー・メーカー、GENELECのふるさとだなって(笑)。

KZA:遊びに来る人たちは人柄がおっとりしてて、そこまで乱れていないというか、ベルリンの後だっただけに余計にそう思いましたね(笑)。でも、やっぱり、北欧は物価が高いですよね。

DJ KENT:ベルリンで買ったピザが600円くらいだったのに、同じようなピザがヘルシンキでは2,500円くらい。

KZA:レコードも探せばいろいろあるんでしょうけど、ヘルシンキではそこまで買わなかったです。

— パーティはいかがでした?

DJ KENT:ヘルシンキでも2箇所やって、一つはクラブ、もう一つはオープンエアのサンデー・アフタヌーン・パーティだったんですけど、そこまでゆるくはなくて、僕らの前に(デトロイト・テクノDJ)ケニー・ラーキンがプレイしてました。

KZA:そのパーティではDJブースに入ったら、ディスク・ユニオンの袋が置いてあって(笑)。「えー、何でここにあるの?」って思ったら、リル・トニーっていう地元のDJのものだったんですけど、リル・トニーって知ってます?。

— 一時期、LIFEFORCEで頻繁に来日してましたね。

KZA:そうそう。しかも、その袋はユニオンでいっぱい買うともらえるハード・ディガー用の丈夫なやつだったんですよね(笑)。

『サムライチャンプルー music record masta』主題歌をnujabesが手がけたことでも話題を呼んだ、世界的に人気のアニメ「サムライチャンプルー」のサウンドトラック。劇伴はTsutchie(SHAKKAZOMBIE)とFORCE OF NATUREが担当。

『サムライチャンプルー music record masta』
主題歌をnujabesが手がけたことでも話題を呼んだ、世界的に人気のアニメ「サムライチャンプルー」のサウンドトラック。劇伴はTsutchie(SHAKKAZOMBIE)とFORCE OF NATUREが担当。

DJ KENT:そういうツアー中のエピソードってことでいえば、ベルリンでは僕らがサントラを手掛けた(アニメ)『サムライチャンプルー』がドイツで吹き替え版が放送されているらしくて、そのファンだという子が6時間くらいかけて遊びに来てくれたり。

KZA:海外でプレイする時は、いつもそうなんですけど、みんなオープンに楽しもうとしているのか、イマイチだったっていうことがないんですよね。

— 海外に呼ばれて、当日、パーティがキャンセルになったり、トラブルに巻き込まれたこともなく?

DJ KENT:海外で僕らを呼んでくれるのはほぼ知り合いだから、そういう目に遭ったことはないですね。ただ、ホントかどうかは分からないですけど、かつてのロシアはマフィアがパーティをオーガナイズしていた時期があったらしくて、ビッグ・ネームのテクノDJを呼んだら、対抗するマフィアが先に空港へピックアップに来て、知らぬままに呼ばれていたパーティとは別のパーティでプレイしていたっていう(笑)。そういう都市伝説的なネタは聞いたことがあります(笑)。

— はははは。しかし、こうして2人にインタビューするのも久しぶりというか、FORCE OF NATUREとしては2006年の『Ⅲ』以来、オリジナル作品はリリースされていませんよね。

DJ KENT:しかも、気づいたら、キタちゃんのソロ(『Dig And Edit』)から4年、僕がやってるThe Backwoodsからも3年が経っちゃってて(笑)。

KZA:まぁ、今年1月にEndless FlightからミックスCD(『Expansions』)を出しましたけど、ずっと、DJをやってると、なかなか制作モードに切り替わらなくて。

DJ KENT:かといって、データのやり取りから作っていくのはリミックスみたいなことになってしまうので、なかなか難しいんですよね。キタちゃんが東京でDJをする前の日にうちに泊まって、作業出来たらいいんですけどね。

KZA:そういう余裕も欲しいんだけど、当日ぎりぎりまでDJの準備をしちゃうから。

DJ KENT:しかも、DJのスケジュールも結構入れてるでしょ。だから、アルバム作るために少し断ってもらって(笑)。

KZA:(笑)まぁ、でも、SECOでやってるうちらのパーティ「FORCE FIELD」以外でも一緒にDJする機会はあるし、今回の旅は長い時間一緒にいて、そういう制作の話をしつつ、構想も練っているところなので、楽しみにしていて欲しいですね。

「Mastered」は、
2017年5月までEYESCREAM.JPだったサイトが生まれ変わった、
新しいファッション&カルチャーメディアです。