定番パンツを徹底解剖。『マスタードのパンツ辞典』 #29:HEUGNの『George』

by Seiya Kato

デニムにチノパン、スラックス。ファッションブランドが毎シーズンのようにリリースする”定番”と呼ばれるパンツたちは、そのブランドを映し出す鏡だ。
1本の定番パンツを実直にリリースし続けるブランドもあれば、定番パンツをベースに異なる素材やシルエットで多彩なバリエーションのパンツを創り出すブランドもある。そう思うと定番パンツというのは案外、シーズンテーマの設けられた最新コレクションよりも雄弁に、ブランドのスタンスや現在地を物語っているのかもしれない。
Masteredの大人気企画『無地T MANIACS』の派生型として誕生した本企画『マスタードのパンツ辞典』では、移りゆくトレンドに左右されることなく、ブランドがリリースし続けている”定番パンツ”を、編集部員が実際に着用しながら、毎回1本ずつ、じっくりと紹介。
第29回では、HEUGN(ユーゲン)の『George』をピックアップします。

HEUGNの『George』

”幽玄(物事の趣が奥深くはかりしれないこと)”に由来し、シンプルな仕立てと上品さ、奥深い美しさを兼ね備えるアイテムを展開するHEUGN。人の思いを繋ぐ大切なものづくりを根底に、世代を問わず多くの人々に支持されています。今回は、そんな同ブランドのマスターピースのひとつ『George』をピックアップ。

基本情報
ブランド:HEUGN
アイテム名:George
素材:ウール100%(ブラック:ギャバジン、グレー:フランネル)
サイズ:1、2、3
カラー展開:ブラック、グレー
価格:38,000円 + 税

1980年代特有のワイドシルエットからインスピレーションを受けた丁度いいフォルム

1980年代のポストモダンを背景に、当時のハイウエストで腰回りをフィットさせたクラシックなフォルムをイメージして製作された『George』。同ブランドが定番として継続的に展開するテーパードシルエットの『Mick』、ストレートシルエットの『Freddie』に比べ、前から見るとすっきり、横から見るとたっぷりとしたワイドシルエットという、タイトすぎずルーズすぎない”丁度いい”1本です。

■レコメンドポイント

素材には、創業150年の日本の機屋の生地を採用。通常フォーマルウェアに使用されるサテン生地の裏側のギャバンジン目風を表に使用し、ハリの有る風合いを出す特殊な加工を施しています。しっかりとシルエットが表現され美しいラインが描かれるのもポイントです。

ディテール & シルエットチェック

美しいシルエットを構成する2プリーツ仕様。

通常より低く設定されたベルトループは、ベルトでしめた時のウエストの色気を表現。

ややスポーティな片玉縁のポケットを採用。位置を少し低めにすることで、後ろ姿の見え方も◎。

サイズ3で、ウエスト86cm、ヒップ117cm、股上28.5cm、股下75cm、ワタリ39cm、裾幅20.5cm。

サイド。

バック。

実際に着用してみた感想

サイズ3を着用した編集K(身長:183cm、体重:65kg)

「クラシカルな雰囲気が漂う1本ですね。一見シンプルですが、ベルトループやポケットの位置など、細部にまでこだわり抜かれたディティールが非常に好印象です」

総評:星4★★★★☆

着心地:ライト ■■■□□ ヘビー
肌触りの良いフランネル素材が◎。

シルエット:スリム ■■■■□ ルーズ
ドレスパンツをベースにした、太すぎず細すぎない絶妙なシルエット。

コストパフォーマンス:お値打ち ■■■□□ ラグジュアリー
どんなアイテムにも合わせやすい使いやすさが魅力的です。

【お問い合わせ先】
イディアス
http://www.heugn.com/