松尾:そういう意味ではAV女優って仕事は天職だと思うんですが、実際にやり始めてどうですか?
城山:すごく楽しいですよ。デビューしたての頃は自分の性癖に合った作品に出ることが多くて、自分の欲望を具現化したような作品ばかりだったんですけど、最近はSっぽい役とか、普通に生きていたら絶対に自分がやらないようなことをやる機会も増えたので。「攻めるのも楽しいな」って思えるようになりました。自分の性の趣味も広がるし、毎日とても楽しいです。自分自身がドMなので、喜んでるのか、本当は嫌なのか、不思議と分かるんですよね。
松尾:あぁ、肌感覚でね。
城山:そうそう。だから鳥肌とか立っちゃってるの見ると、「おぉ、分かるよ。一緒だね」とか思って、本気でビンタが出来る。そういうことをご主人様に報告している時が一番楽しいですね。
松尾:城山さんの場合は一応、全てがご主人様とのプレイの一環だからね。
城山:ご主人様が送り込んでくれた世界なので、報告は全てするようにしていますね。
松尾:でも段々と出演作が増えてきて、ご主人様も全部は見られないんじゃないですか?
城山:自分が興味の無い作品は見てないと思いますよ。
松尾:ご主人様にも当然、趣味趣向はあるからね(笑)。HMJMの『ノーパン銀行員』は見てくれたのかな?
城山:あれは喜んで買ってましたよ! 私が銀行員時代に色々やっていたことを再現して、且つそれ以上のことをしているので、夢を叶えてくれたって感じたみたいで。「HMJMさんは良いメーカーさんだね」って。
松尾:それは良かった。城山さんと話していると、こういう世界もあるんだなって勉強になりますよ。頭の中の99%をセックスが占めてるんだけど、見た目は真面目に見られるでしょ?
城山:そうですね。銀行で毎朝、新聞の読み合わせがあって、その最中考えていたのは昨日のAVのことばっかりなんですけど。
松尾:業務に支障は出なかったんですか?
城山:通勤中に新聞は読んでいて、それでなんとなく分かるので。なにかと上手く手は抜くタイプなんですよね。銀行、向いてないなとは思いましたけど。
松尾:エロいことしか考えていないのは、多分どこいってもダメですよ(笑)。
城山:社会不適合なのかもしれません。居酒屋でバイトしていた時もお客さんの股間を見て、「これは平常時なのか、勃ってるのか」ってことしか考えてませんでした。
松尾:男の人にそういう側面があるのは、何となく分かるんですけどね。バイト中におっぱい見ちゃったりとか、街でお尻見ちゃったりとか。城山さんの目線はそれと同じですよね。
城山:多分そうですよね。電車で座ってて、前に男性が来たらまずは股間を凝視しちゃいますもん。
松尾:城山さんはすごいですよ。セックスのために世間とか社会とか捨ててますもん。
城山:いやいや、捨ててないですよ(笑)!
松尾:僕もこういう仕事をしているし、撮影してる時とかはどうでも良いって思っちゃうけどさ、撮影が終わって1人で編集作業とかしてると、ふと我に返る瞬間がある訳。
城山:そうなんですね。
松尾:自分で自分のセックスを見返さないといけないからさ。撮影じゃなかったらもっと自由にやれると思うんだけど、どうしても僕の場合はそこに客観性が入っちゃうんだよね。
城山:たしかに私も監督だったら冷静になるのかもしれないですね。分析する側に回るのかも。でも、そう考えたら松尾さんは私より上をいっていて、もはや神の領域にいるんですね。
一同笑
松尾:城山さんからすると、もしかしたらそういうことになるのかも。
城山:最終形態。
松尾:城山さんも十分すごいと思うけどね。君みたいな人は中々いないよ。いつまで発情期が続くんでしょうね。
城山:どうなんでしょう。いつか燃え尽きる日が来るんですかね。でも、ご主人様との関係に関しては、いつか終わると思って生きるようにしてるんです。そうじゃないと、いなくなった時の喪失感がヤバそうなので。さっき話した好きになってフラれちゃった時の経験を活かしているんです。どれだけどっぷり浸かっていても、「別れる日は今日かもしれない」って思いながら生きています。
松尾:なんか格好良いですね。
城山:刹那的に生きていますので(笑)。なので、精神的に捕らえられているようで、自立している部分もあるんです。新しいご主人様を自分で見つけられるような力量は持ち合わせておかないと、って思って。もうご主人様とも3年目だし、正直やり尽くした感はあるんですよね、お互いに。私がAVに出て、それを手に取ったときが彼のピークだったと思うし。もちろん、会えば楽しいし、好きなんですけど、終わりありきの関係だとも思うので。次に行っても全然良いのかなとは思っています。ただ、その時にご主人様に入れてもらってこの業界で働き続けるのかどうかは迷いますけど。
松尾:AVの仕事もどこかで限界は来るだろうしね。今の城山さんの生活を考えれば、天職と言えるけど。
城山:そうなんですよ、良い世界、良い業界なんですよね。私にとっては。