「良いお店」ってのは、案外、世の中にたくさんある。とにかく情報が早いお店、品揃えが自分好みなお店、素敵なマスターがいるお店、居心地が良いお店、長い時間を共に過ごしてきたお店、なんだか分からないけどずっと居たくなるお店。
本企画『あなたの街の「良いお店」』では、毎回EYESCREAM.JPがレコメンドする「良いお店」を1つずつ取り上げ、店主への簡単なインタビューと共にご紹介。
第8回の今回は、長野県・松本市のE N S E M B L E。
この地で10年以上前からセレクトショップをスタートして、明確なイメージと表現力で5年前に2店舗目、今年に入り3店舗となるウィメンズのショップをオープン。松本市内のランドマークとなりつつある同店は、”売ること””買うこと”だけではなく、人も空間も時間も、すべて含めて一つのパッケージとなり、街全体を新たに彩っていく。
#08:E N S E M B L E(長野県松本市)
— 松本市でショップオープンに至った経緯を教えてください。
2005年にD I A L O G U Eという弊社の一号店にあたるメンズのセレクトショップをオープンしました。このお店は、“時間の流れのように無意識に変化していく感覚と向き合うこと”をコンセプトとしていて、[visvim(ビズビム)]や[SOPH.(ソフ)]、[WTAPS(ダブルタップス)]といった普遍性と現代性を兼ね備えたブランドを主軸としたオーセンティックウエアを展開していますシーズンテーマによる変化ではなく、アップデートの変遷を扱うセレクトショップです。
そんな活動の中で、レコードでいうB面といいますか、これも絶対に好きだと思えるスタイルがあって、でもそれはD I A L O G U Eでは表現しきれない部分でもあったので、よりエモーショナルなコレクションを扱うセレクトショップとしてE N S E M B L Eを2011年にスタートしました。
長野県松本市は、自分にとって最も身近な“街”であることが大きいです。90年代には裏原宿のカルチャーを伝える伝説的なショップもありました。そんな過去の記憶もあり、お店をやるなら絶対ここ、というイメージがありました。
— ショップのコンセプトを教えてください。
それぞれ異なる楽器を持ったソリスト達が、どこからともなく集まってきて自由に演奏を始める。ソリストたちの協奏曲—。この店名にはそんな思いが込められています。
ファッションにおいて独自の音色を奏でるデザイナーたちにフォーカスして、彼らのオリジナリティ溢れるクリエーションを自由にミックスしています。固定概念を取り払って、本当にいいものを自分らしく着こなすこと。ファッションが持つポジティブな力を、自由で心踊る瞬間を、上質なクリエーションと共に提案していきます。
また、このお店を仕切るふたり(スナップ参照)のそれぞれの個性が重なり合う様をアンサンブル(重奏)と掛けています。
— セレクトするブランドや店内の商品構成はどのように組み立てていますか。
特定のテーマやイメージに縛られず、自分たちが信じているものをストレートに表現しています。毎日更新しているオフィシャルインスタグラムに最もその熱量が表れていると思います。是非ともチェックしてみてください。
— E N S E M B L Eならではの強みはどういう部分でしょうか。
取扱いブランドだけではなく、お店として強い存在感を追求していきたいので、全体のバランスには特に気を配っています。毎週ディスプレイを変え、内装にもその時々のムードを組み込んでいます。
オンラインストアはありませんが、”服を買うこと”を作業的にして欲しくないし、買い物という体験を楽しんでもらえるような工夫をしていきたい。かといってそれは、何か奇をてらったことではなく、服屋としての”基本”に忠実に、正直な提案を続けていきたいと思っています。
— E N S E M B L Eへ来たらここも行っとけ的なおすすめのグルメを教えてください。
この街にはおいしいご飯屋さんが沢山ありますが、なかでもディテールに熱を感じるお店が好きで良く行きます。
筆頭格はThe Source Dinerさん。ジャンルにとらわれない味はもちろん、音にもこだわりとセンスを感じます。信州に来たからにはお蕎麦が食べたいという方には三城さんに行ってもらいたいですね。ストーリーを感じるお店で、女将さんもクールです。
— 上記以外に行っておくべきスポットがあれば教えてください。
特定のスポットというよりは、全体感というか、空気感がとてもいいです。コンパクトな街なので、一日あれば十分見て回れると思いますよ。観光としては上高地や松本城、まつもとクラフトフェア、セイジ・オザワ松本フェスティバル、リンゴ音楽祭などが人気です。
— E N S E M B L Eの木になる今後の展開を教えてください。
今年の8月に新しい店舗f l a i rをオープンしました。弊社としては初めてのレディースを中心としたお店です。レディースは特に、国内を中心に深い知識とファッション愛を持ちながらも、等身大でリアルな服を生み出すデザイナー、純粋にかっこいいと思える女性が創る服が増えてきたように感じています。
ディテールにも妥協せず、自身の美意識を貫く姿勢は必ずお客様にも響くと信じて買い付けをしています。
街の景色を考えた時に、弊社が提案するメンズウエアとウィメンズウエアを着た見ず知らずの男女が交差する、なんて考えるだけでワクワクします。