「ほんとは意味を知らないけど、わざわざ人に聞くのもなんか寒いな」というファッション用語をわかりやすく楽しく解説する『いまさら聞けないファッション用語辞典』。今週解説する言葉は ”メダリオン”。
【第24回】メダリオン(Medallion)
Illustration:HONGAMA
Instagram:@hongama56
[名詞]
大メダル、(肖像画などの)円形浮き彫り
英和辞典で調べると、上記のような意味が出てきますが、ファッション用語では、靴の飾り模様のことを指します。メダリオンとは、特につま先部分に小さな穴をたくさん開けた装飾で、主にウィングチップシューズに施されています。もともとは、スコットランド地方の湿った空気や泥水を発散する為に考案されたものでした。雨の中を歩いても靴の内部まで水が染みないように、つま先をニ重の革で覆い、水滴が落ちやすいように小穴を施すことで、水が革表面に広がるのを防ぎ、革内部の通気性を高める。純粋に防水を目的としたこのアイデアが、イギリスに渡り、当時の靴職人たちがデザイン性の高い穴を開け始めると、メダリオンは一つの装飾の手法として定着します。英国紳士達は、競うようにメダリオンに自分のイニシャルなどを彫り、自分の地位を表したと言われています。
また、足の甲の辺りに施されている大小の穴を組み合わせた帯状の意匠は、パーフォレーションと言い、メダリオンとパーフォレーションが施された靴をブローグと言います。
言葉の意味は知っていても、歴史までは知らなかったという方も多いのではないのでしょうか? それでは例文へ。
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大学生「革靴を探しているのですが、おすすめをいくつか見せてくだい。」
店員「何かデザインの希望はありますか?」
大学生「就職活動で履くものなので、シンプルでメダリオンもないぐらいのものでお願いします。」
店員「かしこまりました。」
解説:わかりやすくデザインの希望を伝えられましたね。きっと伝わるとは思いますが、”つま先に穴の空いてない靴”という説明だと、少し違和感があるので、メダリオンと言いましょう。
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A「さっきブローグ見てきたんだけどさ、やっぱメダリオンがある方がかっこいいよな〜」
B「わ〜オマリオン懐かしいね〜。ブログやってるんだ? 最近恋人と別れたらしいよ」
A「……。」
メダリオンという言葉自体を知らない場合、響きから意味を連想するのが難しい言葉なので、この際ちゃんと意味を覚えておきましょう。