「ほんとは意味を知らないけど、わざわざ人に聞くのもなんか寒いな」というファッション用語をわかりやすく楽しく解説する『いまさら聞けないファッション用語辞典』。今週解説する言葉は ”ミニマル”。
【第4回】ミニマル(Minimal)
Illustration:HONGAMA
Instagram:@hongama56
まずは定義から、
[形容詞]
最小(限度)の、極小の、極微の
ミニという響きからお分かりのように、最小限のという意味。ファッションにおいても、落ち着きつつはありますが近年のベーシック回帰の流れの中で少し前から頻出していたワードです。無駄がなく洗練されたスタイルはミニマルルック、そういった最小限主義のライフスタイルの人間をミニマリスト、芸術の分野において表現を必要最小限まで突き詰める手法をミニマリズムと言います。
シンプルと同じ意味だと思いました?ただ、ニュアンスの違いとしてあるのが、要素を単純に簡素化するシンプルに対して、ミニマルはそこから不要な要素を積極的に排除していくいったイメージです。ミニマルの方がストイックですね。
また、日本ではミニマムという単語も同じ感覚で使われていますが、英語圏ではしっかり区別されています。とはいえ、”ミニマルなデザイン”と”ミニマムなデザイン”と言われると違いがよく分からないと思います。しかし、ミニマムは”あらかじめ設定された最小限”という意味なので、「最低料金はいくらですか?」といった際に「ミニマムでいくらですか?」とは言っても逆に「ミニマルでいくらですか?」とは言いません。
少しややこしいですが、しっかり使い分けられるとスマートです。例文に行ってみましょう。
まずは正しい例を
◯
A「この前本で読んだんだけど、フランス人は10着しか服を持たないらしいよ。」
B「フランス人の豊かさを象徴してるなー。ファッションって突き詰める程に不要なものが削ぎ落とされて、どんどんミニマルになっていくんだろうね。むやみに着飾るより、よっぽど暮らしの質も高まりそう。」
解説:
フランス人への憧れが強いですね。きっとフランスに行ったことはないのでしょうが、ミニマルの使い方は正解です。
続いて間違った使い方。
×
生徒「今年は、自分の中でミニマルをテーマにしていて、あえて頭を空っぽにして新鮮な気持ちで臨みました。」
教師「あーどうりで。それにしても、答案用紙が白紙は攻めすぎだな。」
解説:
この場合は削ぎ落としたのではなく最初から何もなかったのでしょう。ミニマルとはまた違います。
いかがだったしょうか?今日から覚えたてのミニマルを日常会話で使い倒して、修行僧顔負けの哲学的な思想に酔いしれましょう。