「ほんとは意味を知らないけど、わざわざ人に聞くのもなんか寒いな」というファッション用語をわかりやすく楽しく解説する『いまさら聞けないファッション用語辞典』。今週解説する言葉は ”ナード”。
【第2回】ナード(Nerd)
Illustration:HONGAMA
Instagram:@hongama56
まずは定義から、
[名詞]
1. 無能な人,まぬけ.
2. 仕事にばかり熱中していて社会性のない(つまらない)人.
アメリカのスラングで要は、ガリ勉とか、オタクという意味です。ジョックと呼ばれる主にアメフト部をトップとするアメリカのスクールカーストのヒエラルキーの中で、ナードは最底辺に位置し虐げられる存在です。アメリカの青春映画なんかでイメージができると思います。
これだけ聞くとただ悪い印象を受けるかもしれませんが、ナードがカルチャーに与える影響は非常に大きいんです。◯◯の為にナードが立ち上がる!といった題材の映画、漫画、音楽は星の数程ありますし、学園映画の場合は大抵が意地悪なジョックが悪役でナードが正義で主役ですよね。
ナードがコンプレックスを昇華することで生みだした文化は非常に多く、むしろ現代では「ナード=クール」という潮流が世界的にあると言って良いでしょう。日本だけで考えても、PUNPEE、tofubeatsの活躍、少し前では映画『モテキ』のヒットから、”サブカル”がジャンルとして市民権を得ているように、”ナードさ”というものがいかにクールなアティチュードとして認められているかが分かると思います。
少し長くなってしまいましたが、ナードのニュアンスは掴めたでしょうか?もちろんファッションにおいても、あえてナードな雰囲気を取り入れるスタイルはクールですから使ってみましょう。
それでは例文です。
◯
客「もうちょっと、こうToro Y Moiがかけてるような眼鏡ありません?」
店員「ごめんなさい。Toro Y Moiが分からないのですが。」
客「こう、ひどくダサいのが逆にかっこいいっていうか、ナードっぽいというか、」
店員「なるほど!ナードな雰囲気でしたら、こちらはいかがでしょう?」
客「そう!まさにこれ!この不思議なクリアフレームの丸めがね探してたんです!」
解説:
技ありです。Toro Y Moiが伝わらないという逆境を、ナード一発でひっくりかえしました。買い物の時に自分のイメージを伝えるボキャブラリーとしてナードは覚えておくと便利ですね。
続いて間違っている例です。
×
先輩「さっき買い物行ったら、とんでもなくナードな眼鏡見つけてさぁ」
後輩「ナードって意外とあんまり置いて無くないですか?スーパーの肉売り場にあるのってだいたい牛脂ですよね!?」
解説:
ラードですね。知らない時は勇気を出して知らないと言いましょう。豚の脂をラード、牛の脂はヘットと言います。
これでナードはOKですね!早速ナードを繰り返し口に出して、意味を知らない人が居れば説明してあげて、気持ち良く自己顕示欲を満たしましょう!