世はインターネット時代。次から次へと新しい言葉が生まれ、そして消えていく、なんとも忙しい時代ですが、そんな時代の荒波を華麗に乗りこなすべく、”先月海外で流行った言葉(=バズワード)“を海外の様々なカルチャーに深く精通するAkeem the Dream氏に解説してもらうのが、この連載『先月のバズワード』。
第4回(2016年5月のバズワード)でお勉強するのは「#snitch」であります。
■先月のバズワード 第4回「#snitch」
去年の頭くらいからヒップホップの世界でポッドキャストが大いに盛り上がっているのをご存知だろうか?
ヒップホップの超ナードネタを話し倒すJuan EpsteinやCombat Jack Show、第一線のアーティストのインタビューが人気のRapradar、90年代に一世を風靡したラッパーN.O.R.E.が渋いゲストと強めの酒を飲みながらトークするDrink Champsほか、社会問題や聞きにくい炎上ネタをあえて扱うVLAD Couchには鋭い意見が信条のコメンテイターのLord JammarやCharlamagne tha God などが登場し、現代の社会問題をぶった切る。
このポッドキャスト・ブームの中、歯に衣着せぬ発言で話題を呼んでいるTaxstoneというポッドキャスト・パーソナリティーが大きな注目を集めている。
彼は様々なタブーネタについてコメントするが、先日レジェンドラッパー故2PacとCam’ronはSnitch(スニッチ)だと突然言い始めたのだ。
このスニッチという言葉、聞いた事がある人も居るかもしれないが、警察に対して密告をしたり、証言したり、操作の手がかりになるような情報を漏らす事と、そうした情報を漏らした人の事を指す。歴史的に警察の暴力や弾圧を受けてきたことから警察を根本的に信用せず、口を聞くことすら稀な黒人コミュニティーにとってスニッチは軽蔑される行為で、スニッチした事がバレようものなら冷たい視線を送られ、村八分扱いを受ける究極のNG行動なのだ。
Taxstoneは2pacに関して、東と西海岸のヒップホップ抗争の真っ只中の94年、2PacがレコーディングしていたNYのQuadスタジオで起きた銃撃事件の犯人は、当時敵対していたNotorious B.I.G.の連中なんじゃないかと発言していた事がスニッチ行為に当たるとし、05年に起こったハワード大学の帰省イベントで発砲を受けたCam’ronに関しては、Jay-Zに向けて作ったディス・ソングの中に、「発砲した方を見たらRocafella(Jay-Zのレコードレーベル)のハンドサインを出してたぜ」という一句がイントロに挿入されており、これも間接的なドライ・スニッチ行為(ウエットは完全な黒という意味の反対でドライ)だと指摘した。
Cam’ronはすぐさまインスタグラムのビデオ機能を使ってスニッチ行為とは、警察の取り調べ室の中でゲロる事で、ラップの歌詞でどうのこうの言うのはスニッチ行為ではないと反論。
ついでに自分は取り調べで証言しなかった事が原因でNY州ライカーズ刑務所で服役を経験した事を明かした。
さぁ、あなたならどっち? Cam’ronも2Pacもやっぱりスニッチ??
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