世はインターネット時代。次から次へと新しい言葉が生まれ、そして消えていく、なんとも忙しい時代ですが、そんな時代の荒波を華麗に乗りこなすべく、”先月海外で流行った言葉(=バズワード)“を海外の様々なカルチャーに深く精通するAkeem the Dream氏に解説してもらうのが、この連載『先月のバズワード』。
第2回(2016年3月のバズワード)でお勉強するのは「#If Young Metro Don’t Trust You…」であります。
■先月のバズワード 第2回「#If Young Metro Don’t Trust You…」
今、USヒップホップで一番ホットなプロデューサー、若干22歳のMetro Boominをご存知だろうか。ジョージア州アトランタでキャリアをスタートさせ、仲間のプロデュースチーム808 Mafiaと頻繁にコラボレーションを重ねながらFuture、Drake、Gucci Mane、Migos、The Weeknd、Kanye Westなど、様々なアーティストにトラックを提供し、現代のヒップホップのサウンドスケープを形作っている天才プロデューサーだ。
Metro Boominの曲には、彼が作った曲である事が一発で分かるように必ずタグ(プロデューサーの印みないな音)が曲中に挿入されている。最近よく使用しているのが、人気ラッパーFutureの声を使った ”If Young Metro don’t trust you I’m gon shoot you” というやつだ。カニエの最新アルバム『The Life of Pablo』の曲中で耳にして覚えている人も多いかもしれないが、直訳すると「若いメトロがお前を信用してないなら、俺がお前を撃つ」。
Metro Boominと一緒にミックステープやアルバムを製作し、コンビでヒットを飛ばし続けるFutureのラップから取り出して作ったこのタグ。Futureが絶大な信頼を置くメトロが信用しない物は自分の眼中に無いし、認めない、もっと言うと消してやる!という意味のフレーズだ。
カニエの”TLOP”の世界的なヒットに伴いこの3月、Metro Boominのこのフレーズが音楽の枠を超え、広く世に浸透し始めた。信用できない物事や人に対して使うフレーズ「Does young Metro Trust This?」とか「Does Metro Trust You?」とかいった感じでフレーズが一人歩きしはじめ、あらゆる物事のジャッジを「これってメトロ的にどうなの?」といった感じでメトロ基準でなんでも突っ込むという社会現象になったのだ。
例えば若者は「君とデートするためにふさわしいとメトロが信用している男は俺だよ」と言って女の子を説得するフレーズにしてみたり、ハリウッド俳優Ben Affleckは主演映画『Batman v Superman: Dawn of Justice』について「実際はバットマンとスーパーマンどっちが強いの?」と聞かれると「メトロだったら絶対バットマンを信用していると思う」と発言し、メトロ本人もツイッターで「自分はバットマンを小さい時から信用している」と返していた。
勿論現在行われているアメリカ大統領選挙、共和党候補ドナルド・トランプの抗議集会でも「Metro Boominはトランプを信用していない」のスローガンがプラカードに書き込まれていた。我々も、少し時間をとって自問自答してみよう。
「メトロは自分を信用してくれているだろうか?」
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